【無料記事】傑作売春ノンフィクション対談「赤vs青」八木澤高明×清泉亮【後編】

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 偶然と言えば身も蓋もないが、2015年に売春をテーマとした2つの傑作ノンフィクションが上梓された
 刊行順で紹介すれば、3月に『吉原まんだら 色街の女帝が駆け抜けた戦後』(清泉亮・徳間書店)が、10月に『青線 売春の記憶を刻む旅』(八木澤高明・スコラマガジン)が相次いで発売されたのだ。
 著者の清泉氏と八木澤氏の対談は、前編が、

http://www.yellow-journal.jp/others/yj-00000050/

 となっている。
 今回の後編は、売春そのものに対する考察や、青線地帯が持つ意味など、アカデミックな要素も孕みつつ、極めて興味深い議論が縦横無尽に展開される。

■売買春の合法化を訴えるようになったアムネスティ・インターナショナル

清泉 僕が『吉原まんだら』の取材をしていると、よくソープランドの黒服に間違えられました(笑)若い男性でも意外に日中から吉原を訪れていて、私に「お店の行き方を教えて下さい」と道案内を頼んだりしてくるんです。連れていったらキックバックがもらえるのかなと思ったりしたんですが(笑)吉原を取材で駆け回って実感したのは、売買春を法律で禁止するかはともかくとして、男に都合があってそういう場所に行くように、女性も様々な事情を抱えて働くわけです。ならば一律に売春禁止とは言えないなと痛感しますね。もちろん拒否する女性を無理矢理働かせるのは論外、言語道断です。そうではなく、売春をしなければ明日の食費にも事足りない、子供のミルク代を稼がなければならないという女性が存在するのは事実なんです。そうした背景を無視してまで、売買春は禁止すべきと主張する勇気はありません。それが吉原を歩き回って得た、正直な心情です。

八木澤 私も同感です。そもそも国家も都合に合わせて売春をOKにしたり、禁止したりしてきたわけです。江戸時代のように、遊女が20代前半で死んでいくというなら大問題ですが、今は健康管理もきっちりできる時代でしょう。改めて売春を合法化してもいいんじゃないかと考えることもあります。売春を禁止しても地下に潜ってデリヘルなどで営業していて、それだけ見えにくくなっているわけです。今の状況の方が、逆に危ない気がしますね。合法化によって、国がきちんとしたルールを作る。そうして国民全員が売春と向きあうべきなんです、本当のところは。

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【写真】対談中の八木澤高明氏(左)と清泉亮氏(右)
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