【無料記事】マイナンバーの政府広報で担当省庁が「仕事放棄」 | イエロージャーナル

税と社会保障の共通番号『マイナンバー』制度をめぐり、政府内の足並みの乱れの酷さが顕在化してきたようだ。
例えば、産経新聞のデータベースに「マイナンバー」で検索をかけてみる。すると以下のような記事が並ぶ。

『マイナンバー510万通が来月ずれ込み 最も遅いところは20日ごろ』(11月25日朝刊) 『マイナンバー揺らぐ信頼 配達 大幅遅れ 総務省 日程甘い見通し』 『マイナンバー配達遅れ 居場所不明 重なる誤配 運用は来年1月…見通し甘く』(ともに同27日朝刊) 『葛飾区のマイナンバー印刷漏れ 5000世帯分 総務相陳謝』(12月5日朝刊) 『【編集日誌】マイナンバー、大丈夫なのか』(同6日朝刊) 『マイナンバー通知印刷漏れ、情報取り込み中に停止し処理できず』(同9日朝刊) 『転出証明書誤送付 マイナンバー流出 大阪市で初、2人分』同10日大坂朝刊) 『マイナンバー申請書 氏名の読みに誤表記』(同東京朝刊) 『マイナンバー通知カード 5市町93世帯で印刷漏れ』(同12日朝刊)  

 産経新聞は「政権に近い」と評されることが少なくない。そんな新聞社でも、今回の度重なるミスは庇いきれないということなのだろうか。政治部ではなく、社会部が出稿している記事が多いことは見過ごせないが、やはり、マイナンバーの体たらくに関しては〝右翼〟も〝左翼〟も関係ないようだ。

『届かぬマイナンバー 通知カード配達1割 総務相「12月になる可能性」』(11月14日 朝日朝刊) 『40都府県 12月まで配達 マイナンバー 510万通、20日完了』(同27日 読売朝刊) 『マイナンバー通知カード 不在で自治体に返送500万通を超える 日本郵便』 『マイナンバー通知カード作成漏れ 5市町184人分追加 事務処理ミスなど』(ともに12月11日NHKニュース) 『マイナンバーまた印刷漏れ 93世帯分』(同12日 朝日朝刊)

『マイナンバー184人分印刷漏れ』(同 毎日朝刊)

 読売新聞だけは役所に〝配慮〟した見出しが多い印象もあるのだが、いずれにしても問題点を指摘する報道ばかりなのは間違いない。  日本人は自分たちを真面目で勤勉というイメージを持っている。仕事はノーミスでやり遂げ、納期も完璧に守る──はずだったのに、今回はミス連発だ。まるで発展途上国のようではないかと揶揄されても仕方がない……。  原因の1つに、制度の主務官庁は内閣府だが、総務省や経済産業省など、関係省庁が多岐にわたっていることもあるようだ。特に広報業務、それも全国民を対象とする重要PRを各省庁で押しつけ合っているという。

 遂に消費者庁が「広報活動の遅れにより、マイナンバー制度に混乱を招く恐れがある」と内閣府に対し、事実上の行政指導を行う事態に発展している。マイナンバーに全幅の信頼を寄せている日本人など皆無だろうが、我々の予測を超えて、相当に深刻な状況に陥っているようなのだ。

■―――――――――――――――――――― 【購読記事の文字数】約2100字 【写真】内閣官房のマイナンバー公式サイト

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