【完全無料記事】「原発再稼動反対」米山隆一・新潟県知事が「再転向」の噂

nigata2016-12-14-14-17-04

 10月の新潟県知事選で「反原発」を掲げて勝利した米山隆一知事(49)が、早くも正念場を迎えている。

 共産、社民党などからの推薦(民進党は自主投票)を受けた米山知事だが、以前は「原発は再稼動させるべき」との持論を展開していた。そのため「反原発の主張は、知事選に勝つためのポーズに過ぎないのでは?」との疑問が根強いのだ。県議会は現在、自民と公明が多数を占めている。米山知事の「反原発路線」が、どこまで本気なのか試される、ということになるだろう。
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【写真】米山隆一知事・公式サイトより
http://www.yoneyamaryuichi.com/
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 医師である米山知事は、新潟で旧日本維新の会から衆院選や参院選に立候補し、これまで苦杯をなめてきた。

 その際、選挙公約として「全ての原発は原則として再稼動させるべき」と主張してきた。東京電力福島第1原発事故後に書いた自身のブログでも、「原発は地震や津波で壊れたのではない。津波に伴う全電源喪失によって冷却できなくなったのが原因だ」などと訴えていたのだ。関係者が明かす。

「米山氏は次期衆院選に民進党から出馬する準備を進めていたのですが、前知事の泉田裕彦氏が出馬を見送ると、共産と社民党に担がれて知事選に挑んだわけです。東電柏崎刈羽原発の再稼働が焦点となる中で、共産、社民両党と政策協定を結び、出馬会見で『考え方が間違っていた』と持論を引っ込め、泉田前知事が掲げた『反原発路線』を継ぎました。これによって米山氏は、県民から人気が高かった泉田前知事の後継者と位置付けられ、自民、公明両党が推した森民夫・前長岡市長(67)に大差をつけて当選したわけです」

 さて、ここで一応、なぜ前知事の泉田裕彦氏が出馬を見送ったのか。経緯をおさらいしておこう。

 泉田氏は4選を断念した理由として、地元紙『新潟日報』の敵対報道を挙げて問題となったことは記憶に新しいが、事情に詳しい関係者は「日報なんて関係ないよ。泉田さんは八つ当たりしたんだよ」と一笑に付す。

 真相は、反原発を標榜する泉田知事に辟易した地元財界の離反だった。「泉田おろし」で団結し、対抗馬の全国市長会会長、森民夫・長岡市長(67)を支援する方針を固めた。これを泉田氏が察知した、というのが基本的な構図だ。

 原因は東電柏崎刈羽原発をめぐるスタンスの違い。泉田氏は「再稼働反対」の急先鋒として有名だったが、これで干上がった地元経済界は再稼働を強く要求。自民党本部も泉田知事との従来の協調路線と決別して森氏を支持する構えを見せた。

 ここに至って、ようやく登場するのが新潟日報だ。風向きの変化から「反泉田」の論調にシフトしていく。

 先に火蓋を切ったのは森陣営。2017年5月、県市長会と町村会の連名で『泉田県政を検証する文書』を公表、泉田知事の県政運営に関する問題点を指摘した。この中で泉田氏の行政運営に対して「原発再稼働で東電や国と対立し、県経済に著しい打撃を与えている」と厳しく批判した。

 また7月の参院選では、野党統一候補の森裕子氏が当選し、自民党の中原八一氏は落選との結果に終わる。泉田知事は森、中原両候補を応援していたが、中原氏が大差で敗れたため、泉田氏を支援する自民党県議団への批判が噴出した。

 関係者は「特に泉田氏の後見人とされる党県連会長の星野伊佐夫県議に対し、県市長会や町村会は会長辞任を求める事態にまで発展しました」と振り返る。

「自民党と財界にそっぽを向かれた泉田氏は、出馬を諦らめざるを得なかった。ところが『真の原因は反原発で行き詰まったため』と明かせば、他の反原発首長に迷惑をかけてしまう。そこで新潟日報のせいにした、というわけです」

 泉田氏だからこそ、の「反原発票」が、米山氏にも引き継がれるかが焦点だったわけだが、米山氏は鉱脈を掘り当て、「泉田前知事の後継者」として当選を果たすことができた。しかしながら、新知事になってみれば、やはり前知事が直面したのと同じ「四面楚歌」な状況が待ち構えていた。

 当選直後には「現状では再稼動は認められない」と選挙中の主張を繰り返したが、東電とは協議する姿勢を見せるなど、反原発路線は「早くも一歩後退した印象」(地元関係者)なのだという。それこそ東京では、米山知事を切って捨てる式の意見は根強い。

「泉田前知事は福島第1原発事故の前から、原発の利用には懐疑的だった。それだけ勉強していたのは事実。それに比べて米山知事の『反原発』は付け焼刃に過ぎない」(政府関係者)

 現在の新潟県議会は、原発再稼働を求める自民、公明党が3分の2をおさえ、米山知事を推薦した共産、社民党は少数与党だ。

 県民の支持をバックに自民党ともパイプを持っていた泉田前知事と異なり、自民党と対立した米山知事が「反原発路線」を鮮明にすれば、議会運営は紛糾必至である。

「自民党県議団が議会で米山知事に揺さぶりをかけ、政府が原発利用で新潟県にとって有利な条件を申し出れば、米山知事は再び転向する」

 本丸とでも言うべき電力業界のさる関係者は、こんな〝シナリオ〟を披露するが、果して知事と県民の選択は、どのようなものになるだろうか。