【無料記事】千代田区長選・現職勝利で「石川VS内田」黒い原点 | イエロージャーナル

 千代田区長選は小池百合子を〝担いだ〟形となった現職・石川雅己氏の勝利に終わった。

 報道では今のところ、『週刊朝日』(2017年2月17日号)の「豊洲移転きっかけは「小池派区長説」を追う」が唯一、気を吐いた印象だ。

 とはいえ、石川区長が築地市場の移転に絡んでいたことを示し、特に都庁港湾局長時代の辣腕に触れたことは重要だが、その背景には踏み込めてはいない。  

 答えを先に示せば、港湾局長時代の石川氏は、既に内田茂都議の実質的な傀儡だったのだ。記事では、石川が都局長として政策を立案したように書かれているが、当時から都庁では内田都議の後ろ盾がなければ、誰も局長などの幹部ポストには就けなかった。

 つまり石川区長こそ「内田茂チルドレン」の筆頭格なのだが、いまだに正確な報道が行われていない「なぜ石川区長と内田都議は反目したのか」というポイントを詳報してみようと思う。

■―――――――――――――――――――― 【著者】下赤坂三郎 【記事の文字数】2500字 【写真】千代田区公式サイト「区長選挙開票結果」より

(http://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kurashi/senkyo/kucho/kihyo.html)

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 まずは元千代田区職員に、もつれた糸を解き明かしてもらおう。

「決定的なきっかけは2008年、内田茂さんの落選です。この時、例えばゼネコンや、政治ブローカーといった〝都政関係者〟の間で、『これで内田は終り』という雰囲気が蔓延したんですね。そしてゼネコンなどが内田さんの代りとして注目したのが、01年に千代田区長に当選していた石川雅己さんでした」

 これまでは「内田茂チルドレン」たる千代田区長だったが、周囲が「親離れ」を勧めてきたわけだ。そしてチルドレンたるご本人も、やぶさかではなかったらしい。

「さる都政ブローカーが、赤坂の焼肉屋で都やゼネコンの関係者を招く宴会を、定期的に開いていたんです。そこに石川さんも姿を見せていたんですが、非常に用意周到なんです。公用車の利用記録を残してしまうと、反石川派の区議から追及されるので、赤坂見附の交差点で公用車を降りて、赤坂の繁華街を1人で歩いて来るわけです。ところが、この振舞が内田さんの逆鱗に触れてしまうんです」(同・元千代田区職員)

 内田都議は石川区長のこれまでになかった用心深さを目の当たりにして、何と「ゼネコンとの折衝役という自分の役割を奪い取ろうとしている」と見抜いてしまったのだという。男の勘も、こういう時は恐ろしいものがある。

「この頃は例えば、紀尾井町にある参議院清水谷宿舎の建て替えに焦点が集まっていました。石川区長は内田さんを抜きにして、ゼネコンや不動産業者と直接、ラインを持つようになります。ゼネコン側も歓迎しました。となると内田さんからすれば『俺の力で千代田区長になったくせに』と面白くないのは当然でしょう。庇を貸したら母屋を乗っ取られたわけですから」(同)

 一方、1999年に初当選した石原慎太郎・都知事は、2003年、07年、と再選を重ねていく。そして07年には猪瀬直樹氏が副知事に就任する。  

 ご記憶の方も少なくないだろうが、清水谷宿舎の建て替え問題は「江戸時代から続く貴重な緑地」として反対運動が根強く行われていた。ところが都政トップが石原=猪瀬のコンビとなってからの08年12月、「都心に残る貴重な緑を保護すべき」と計画の断念が表明された。

「石川区長は、改革派を自称する猪瀬直樹・副知事が都政入りすると、陰では蛇蝎のごとく嫌っていました。ところが猪瀬さんと内田さんの対立関係が明らかになると、一転して猪瀬さんを選挙応援に招いたんです。今回も同じですが、石川区長は改革イメージを前面に出すことで当選してきました。とはいえ、ゼネコンと金融機関の強固な支援が当選の最大要因ですから、改革派は見せかけだけですね」

 弊誌は『【無料記事】千代田区長選の「小池VS内田」は真っ赤な嘘』の記事を掲載した。
(http://www.yellow-journal.jp/politics/yj-00000442/)

 文中で、

<千代田区長選で真に重要なのは石川氏の選対本部に、1人のキーパーソンが参加していることだ。その名を鈴木重雄氏という>

と書いたが、この点に関して、都政クラブの記者氏に現状の解説をお願いしよう。

「石川区長の万歳三唱で、鈴木氏は真後ろに立っていましたね。関係者の間では、週刊文春の『反・内田茂キャンペーン』のネタ元は猪瀬氏と鈴木氏の2人という見立てが強固なんです。本来であれば情報参謀といった役割ですから、万歳のような表舞台に出るタイプの人じゃないんです。黒子の自覚は充分お持ちのはずで、あれはわざとでしょうね。都庁の幹部たちに『自分は小池百合子と近いぞ』とアピールする狙いだったんでしょう」

 何よりも内田VS石川のバトルが雄弁に物語るが、政治の裏舞台ともなれば、はったりやら化かし合いが横行する。自分を大きく見せるために、ありとあらゆる手を打たなければ生き残れない世界だ。都政クラブの記者氏は「今回の千代田区長選で、本当の勝者は鈴木さんですよ」と苦笑する。

 だが石川区長の素性に詳しいジャーナリストの見立ては、少し違うようだ。

「鈴木さんは旧住専の富士住建の関係者であり、その利害を背負っています。ところが石川区長が持つ千代田区のプロジェクトは巨大すぎてゼネコンしか対応できないんです。そのため、鈴木さんは小池都知事への近さを武器に、都議選への関与を画策していくのではないでしょうか」

 千代田区政に妙味が存在しないのであれば、小池都政に食い込めばいい、というわけだ。確かに金と票を持つ者にとっては、政治家など出入り業者に等しいだろう。

 いずれにしても、石川区長の再選で、千代田区内の開発は一気に加速するに違いない。弊誌は最後に「真冬の怪談」を付け加えて、この稿を終わらせよう。

「利権にどっぷりと漬かっている区議も少なくありませんが、これからは今以上に気を付けるべきでしょう。昨年も重鎮区議の1人が政務調査費の問題で書類送検されましたが、問題は誰が捜査を動かしたかということです」(前出の区長の素性に詳しいジャーナリスト)

 ジャーナリスト氏によると、少なくとも石川区長が特別秘書を使い、区議の政務調査費や不正行為の数々を徹底して調べていたのは事実だという。

 脛に疵を持つ者たちが、必死にバトルロワイヤルを戦っている姿が浮かぶ。それが千代田区政の実情なのだ。

(無料記事・了)