【完全無料記事】第105回きのうの1面〈葛尾村〉6月12日(日)の一般紙から

1men2016-06-13 11.14.01

 6月12日(日)朝刊のテレビ欄で、朝のニュース・情報番組は次のような内容紹介となっていた。

▽おはよう日本(NHK)
・きょう避難指示が解除 福島・葛尾村の住民は

▽シューイチ45分SP(日本テレビ)
・超高級寿司&超豪快肉

▽サンデーモーニング(TBS)
・早くも舌戦…参院選の争点は
・米大統領選に第三の男
・中国軍艦が侵入
・イチロー秒読み
・桐生今季最速
・女子高生の快挙

▽新報道2001(フジテレビ)
・違法性ないと調査公表 舛添都知事…辞任否定 
 議会の追求はどこまで 国民が望むけじめは?

 では新聞はどうだったのか。2016年6月12日付(日曜日)の日経を含む一般紙の見出しを見てみよう。

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【写真】葛尾村の公式サイトより
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【1面見出し】
▽読売新聞(約926万部)
「乳がん判別困難 伝えず マンモグラフィー 自治体の7割 131市区調査 高濃度の乳腺 日本女性の半数」
▽朝日新聞(約710万部)
「ワタシの政治 身の回りから」
▽毎日新聞(約329万部)
日本のゆくえ 現場を歩く 2016参院選 ⑧アベノミクス「町工場 2日に1軒消滅 「倒産3割減」の陰で」
▽日経新聞(約275万部)
「パナソニック 中国でEV基幹部品 車大手と合弁生産 エコカー最大市場開拓」
▽産経新聞(約161万部)
「南シナ海問題めぐり攻防 中国、豪紙使い政治宣伝 資金難メディアと提携、別刷り発行「比に正当性なし」 日本、国際会議で抑止 首相、ASEM出席検討」
▽東京新聞(約51万部)
明日を選ぶ2016参院選「日米同盟深化 その先は 法廃止へ野党集結促す」

 日曜らしい1面トップとなった。目を引くのは読売、毎日、産経というところだろうか。参院選の記事は今後、増える一方になるわけだ。

【コラム】
▽読売・編集手帳
(就活中の学生に対する企業選考が6月1日に解禁)

「老人が青年に説く。人は10年で、やっと階段の前に立てる。30年で階段をのぼり切る。そして、のぼり切ったところから、人生の本当の勝負が始まるのだ、と◆宮本輝さんの小説『三十光年の星たち』である」
「選んだり選ばれたりはすぐれて人間臭い営みである。その結果に納得できない若者もいよう。今年は学生有利の売り手市場、復活戦に臨む機会がまだまだあるとの見通しも聞く」

▽朝日・天声人語
(日本のおにぎりの歴史と、震災地でのおにぎり)

「間もなく熊本地震から2カ月を迎える。被災直後、現地のスーパーやコンビニで水とともに真っ先に売り切れたのは、おにぎりだった。炊き出しが始まって最初に配られたのもおにぎりだ。被災地で何より頼れる非常食だろう▼日本のおにぎり史は2千年前にさかのぼる」
「「私にバナナかおにぎりの差し入れを」。熊本地震の直後、現地から政府にせがんだ情けない副大臣がいた。同じころ対照的なふるまいを避難所で見た。おにぎりを受け取る際、両手を合わせ頭をたれるおばあさんたちの姿だ。命をつなぐおにぎりに感謝する古来の祈りのように見えた」

▽毎日・余録
(福島県葛尾村で避難指示解除)
(http://mainichi.jp/articles/20160612/ddm/001/070/143000c)

「昨年のノーベル文学賞を受賞したベラルーシの作家、スベトラーナ・アレクシエービッチさんの著書に「チェルノブイリの祈り」がある。30年前の原発事故に翻弄された人たちの声を収めた▲作家は過去の出来事を聞き取りながら、こう感じたという。「私は未来のことを書き記している……」。そして福島の事故は起きた▲本の中に、放射能で汚染されたベラルーシの村に一人とどまるおばあさんが出てくる。「二度ともどらないつもりで出ていったものは一人もおりません」。寂しくなると墓地に行き、母や夫に話しかける。「ここに放射能なんかあるもんかね。チョウチョがとんでるし、マルハナバチもぶんぶんいってるよ」。彼女はそう言って泣いたが、この先も村を出ようとは考えていない▲写真家、本橋成一さんの写真集「ナージャの村」もチェルノブイリ事故で汚染された故郷に残る農民たちを写した作品だ。ある高齢の女性が飼っているヤギにいとおしそうに語りかける。「シロや、シロや。乳しぼりをするかい。餌は食べたかい。シロや、わたしのシロ」▲村人は原発事故の前と同じように暮らし続けている。ジャガイモやソラマメを育て、若者の結婚式を祝う。彼らの表情は生き生きとしている。放射能への不安があっても、ここでの生活を選んだことの意味を思う▲福島県葛尾村できょう、一部区域を除いて避難指示が解除される。帰るのか、帰らないのか。その判断を迫られること自体の理不尽さ。ベラルーシの村でも葛尾村でも、土地に根付いた暮らしが脈々と営まれてきた。それは原発が造られるはるか昔からのことだ」

▽日経・春秋
(規制や前例遵守が阻む新しい商機)

「ニュービジネスの担当記者をしていたころ、オフィス街の路上で自家製の弁当を売る人たちを取材したことがある。街角のベンチャー起業家である彼らの商売の壁は何か。保健所。警察。そうした公の規制を乗り越えた後も残る壁があった。付近の飲食店からの反発だ」
「店主はいずれ自前の店を構えたい日本の若者や、アジアなどから来た人々。誰もが挑戦者だ。珍しい料理が安く早く買えると、若い会社員らが列を作る。法的にグレー。前例がない。そうした点に皆がこだわっていたら、今のにぎわいはなかった」

▽産経・産経抄
(地震の発生確率)
(http://www.sankei.com/column/news/160612/clm1606120004-n1.html)

「米国の実業家、カーネル・サンダースは1006回目の挑戦でようやく笑ったという。
 ▼フライドチキンの独自製法とフランチャイズ方式の売り込みが成功するまでに要した、交渉の回数である。机上の計算だと、可能性1%の物事は450回挑めば99%の確率で報われる。可能性が0.5%でも、2千回の挑戦で成功確率は99.9956%になるらしい(『知ってトクする確率の知識』サイエンス・アイ新書)。
 ▼サンダースの営業が「全力投球」だったか「数撃ちゃ当たる」式だったかは寡聞にして知らない。結果的に、成功率0.5~1%の狭き門をたたき続けて扉は開かれた。余人が同じ確率を前にして、まねできるかどうか。1回目でニコリとできるかもしれない。2千回の挑戦が骨折り損で終わることもある。さいの目と違い現実味を伴わぬ確率への接し方は難しい。
 ▼政府の最新予測では、震度6弱以上の揺れに見舞われる確率は東京都庁のある新宿区で47%という。「30年以内」とした期間の解釈は悩ましいが、コイントスと同等の高確率である。「きょうかも」「いや、ずっと先でしょう」と胸の内で問答をしているようでは、地震列島の住民として落第であろう。確率「8%弱」の土地で起きたのが4月の熊本地震だった。
 ▼2年前の予測に比べ、南海トラフ沿いの地域も確率が高まっているという。思い立ったときが「備えどき」と身辺を見回す機会としたい。〈新札でお釣りを返す店先の雨に備えた朱の傘五本〉西村真千子。過日の産経歌壇にこうあった。地震への備えも同じだろう。歌にある店のように慌てず騒がず、日頃からさりげなく備えたい。
 ▼命という温かな授かり物を守る。その作業に、確率論が入る余地などあるまい」

▽東京・筆洗
(秋田県鹿角市で、熊に襲われたと見られる3人が亡くなった)
(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016061202000126.html)

「その昔、小学校の机は二人用だった。一つの机に二人が並んで使う。明治期の資料によると二人用の採用は経費上の判断なのだそうだが、これによって、過去の小学生は一人机の導入まで、不毛な領土争いに巻き込まれたとは大げさか▼使った世代は覚えているか。あの机は境界がどうも不明瞭で、同席した子ども同士の口喧嘩が起きやすい。「消しゴムが、はみ出ている」「足が(机の)地下の国境を越えた」。大人なら、ほぼ中央を境と見なし、互いに挑発しない知恵もあるが、あの年ごろではそうもいかぬ▼深刻な境界の乱れや消失が問題の背景になっている。人間とクマの境界である。秋田県鹿角市で、男女四人が相次いでクマとみられる動物に襲われて亡くなった▼いたましい事故のほかにも、今年は、東北地方で臆病なはずのツキノワグマの出没が目立っていると聞く▼山村では過疎化などに伴い、耕作放棄地が増加し、かつて人とクマをうまく隔てていた中山間地帯が消えかかっている。人の生活圏とクマの生息地がじかに接しあるいは重なるようになり、悲劇につながっている。人とクマがあの机に座っている。事故はさらに増えるだろう▼人里と山林の間の緩衝地帯をどう取り戻すか。それは農山村をどう再生させるかという人間の問題でもある。最近の若者の田園回帰の志向を聞かぬでもないが、その道は険しい」

 コラムも日曜らしく、綺麗に分かれた。それぞれ手堅くまとめているが、読後感に満足は少ない。さらりと軽く流れてしまった印象だ。