【完全無料記事】第109回きのうの1面〈英議員射殺〉6月17日(金)の一般紙から

1men2016-06-18 23.25.42

 6月17日朝刊のテレビ欄で、朝の情報番組は次のような内容紹介となっていた。

▽あさイチ(NHK)
・①有村架純 あまちゃん青春時代の春子熱演秘話
  映画で新境地
・②コブクロ新曲熱唱!
・③満島ひかりも生出演

▽スッキリ!!(日本テレビ)
・詐欺容疑45歳美魔女タレントが逮捕! 素顔は…
・上海ディズニー開園! 続出マナー違反…行列中に小便
・注目の都知事選行方は? 映像を発掘! 蓮舫爆笑…舛添氏から求愛された過去を告白

▽羽鳥モーニングショー(テレビ朝日)
・45歳「美魔女」を逮捕 不倫相手と共に詐欺か テレビ映像公開
・衝撃 クマがラーメン店のドア激突…何が
・舛添氏の疑惑うやむや? 今後は

▽白熱ライブ・ビビッド(TBS)
・TV多出演45歳美魔女 不倫相手と保育園詐欺 豪遊の私生活
・米紙が〝SEKOI〟と報道 舛添氏は片付け登庁へ 
・ポスト巡り女の闘い?

▽とくダネ!(フジテレビ)
・①逮捕…45歳の有名〝美魔女〟不倫相手と650万円詐欺
・②ポスト舛添の㊙素顔〝東京の顔〟どう選ぶ
・③「人に笑われて…」大記録! イチロー原点

 では新聞はどうだったのか。2016年6月17日付(金曜日)の日経を含む一般紙の見出しを見てみよう。

■――――――――――――――――――――
【写真】殺害されたジョー・コックス英労働党下院議員(コックス氏のFacebookより)
■――――――――――――――――――――

【1面見出し】
▽読売新聞(約926万部)
「円高加速103円台 金融政策 日米、変更見送り 株485円安」
▽朝日新聞(約710万部)
「英議員 撃たれ死亡 52歳を拘束 EU残留派支持 離脱懸念 株安進む 円一時103円台」
▽毎日新聞(約329万部)
「炉心溶融「使うな」指示 原発事故で東電社長 第三者委報告書」
▽日経新聞(約275万部)
「ドル緊急供給を検討 日米欧、英離脱に備え 市場安定に万全 円、一時103円台 日経平均485円安」
▽産経新聞(約161万部)
「蓮舫氏 土地事前に意欲 民進 参院転出、近く判断」
▽東京新聞(約51万部)
「「炉心溶融使うな」社長の指示 4年間公表せず 第三者報告書 把握していた東電事故調」

 それぞれニューズバリューは高い記事が並んだ。
 誤報となったのは、産経新聞の「蓮舫出馬意欲」だ。ご存知の通り、蓮舫氏は出馬しないことを明らかにした。
 東電の炉心溶融問題は、釈然としないことばかりだ。何よりも、特にテレビ局が「官邸の意向」という音声を拾っておきながら、今回の第三者委員会の報告を初報のように報じているところだ。
 率直に言って、菅直人も信じられないし、東電と第三者委員会も疑わしい。かといって、テレビ局も片棒を担いでいたのではないかという不信感が芽生えた。こうなると、新聞・通信社が垣根を越えて一致団結し、調査報道を重ねるしかない気もするが、それは正真正銘の夢物語だろう。

【コラム】
▽読売・編集手帳
(来年5月からJR東日本が「トランススイート四季島」を運行開始)

「狐がおいしそうな葡萄を見つけた。食べたいのだが、高い所にあって跳び上がっても届かない。狐は捨てせりふを残して立ち去る。「こんな葡萄、酸っぱいに決まってるさ!」。イソップ寓話の『狐と葡萄』である」
「最近は年齢のせいか豪華列車の旅よりも、お金を積んでも二度と行けない追憶の旅に心ひかれている」

▽朝日・天声人語
(日清食品の社員食堂「カブテリア」は株価で翌月の昼食メニューが変わる)

「時価総額という指標がある。発行済み株式数に株価をかけ、企業価値を示す数字として使われる。だがグーグル級の企業の価値が50兆円だの60兆円だの言われても、縁遠い身にはピンと来ない▼即席麺でおなじみの日清食品ホールディングス経営陣もこの問題にぶつかった。「5年後に時価総額をいまの倍の1兆円に高める」という目標を掲げたものの、社員に自社株の動きを意識してもらうのが難しい」
「この先もし、世界同時株安の波が押し寄せたらお目玉が延々と続く。社員の体重も減らないかと余計なことを案じた▼カブテリアはきょうが初のご褒美デー。5月末の株価好転を祝い、築地からマグロを取り寄せる。社員の目の前で解体してみせるというから何ともうらやましい」

▽毎日・余録
(イチロー日米通算4257安打へ)
(http://mainichi.jp/articles/20160617/ddm/001/070/130000c)

「「日本で積み上げてきた安打だけでなく、凡打も、ぼくの技術を磨いてくれた」。これは2008年、イチロー選手が日米通算3000安打を達成した時の言葉である。日米の記録を合算することに対する米国での批判を踏まえた発言だった▲「日本で培われた技術でヒットを打っている。ですから18歳や19歳の時に米国に来ていたらなんて発想はない。(日本のレベルは低いの声には)米国でのヒットのほうがペースは早いよと言い返しますけどね」(「自己を変革する イチロー262のメッセージ」)▲それから8年、イチロー選手が日米通算4257安打を放った。ピート・ローズ氏がもつ4256安打の大リーグ記録を超えたのである。偉業を祝福するスタンドの拍手と歓声にイチロー選手はヘルメットを取って応えた▲「この記録をゴールに設定したことはないが、チームメートやファンの方からああいう反応(拍手)をしてもらいうれしい」とは当人の控えめな喜びの言葉である。日米通算記録をめぐる両国の温度差は大きいだけに、周囲からの温かな祝福には格別な感慨があろう▲一昔前はベースボールと野球は別物だなどという米日比較文化論がまかり通った2大野球愛好国である。だがベースボールも、野球も、そのグラウンドには同じ天才と努力を愛してくれる神様がいる。そのことを身をもって示したイチロー選手の4257安打だった▲「ヒットの本数は超えたけど、彼の存在を超えたわけではありません」はマリナーズの球団記録を更新した時の前記録保持者への言葉だ。超えるべき高峰はすでに心にしっかり刻みつけていよう」

▽日経・春秋
(舛添都知事政治資金問題)
(http://www.nikkei.com/article/DGXKZO03714810X10C16A6MM8000/)

「喫茶店のタマゴサンドについてあれこれ論じていたから、よくあるB級グルメ番組かと思ったほどだ。舛添要一東京都知事への世間の反発がどんどん強まっていた1週間ほど前、テレビのワイドショーでは舛添さんの「サンドイッチ疑惑」を取り上げるのに熱心だった。
▼突っ込まれていたのは1万8000円の領収書である。政治資金パーティーとして催した勉強会でタマゴサンドを出した。その代金だとする弁護士の説明に、ある番組は「タマゴサンドをそんなに注文する客がいるか」。で、大量のサンドづくりを再現してみせ、かくも大変なのに店側が覚えていないと首をかしげていた。
▼たしかに不審な点は多々あって、うやむやを徹底検証するのは大事なことだ。もっともそこに反応して世論があれほど高まったのは、多くの疑惑が数万や数十万単位のカネだったからでもあろう。金額がセコい、そしてわかりやすいのである。これが何千万何億何十億だと、ちょっと別世界の話になるからおかしなものだ。
▼セコい不正だって不正は不正だが、気がつけばあちこちにセコくない問題も転がったままではある。あの甘利明さんの一件は結局どう説明されたのか。2020年五輪招致をめぐる「コンサルタント料」の謎は……。世の中がタマゴサンドで留飲を下げているうちに、うやむやの術が効いてくるんじゃないかと心配になる」

▽産経・産経抄
(イチロー日米通算4257安打へ)
(http://www.sankei.com/column/news/160617/clm1606170003-n1.html)

「イチロー選手は2004年、年間安打262本で、大リーグ最多安打記録を打ち立てた。しかし、ケチをつける声もある。ジョージ・シスラーが257本打った1920年当時、試合数は154試合だった。イチロー選手は162試合での達成だから、比較にならないというわけだ。
 ▼大リーグ通の医師、向井万起男さんは、イチロー選手は41本、シスラーは33本と、2位選手との差に注目する。統計学の手法も使って、同時代の選手からの「傑出度」をはじき出し、イチロー選手の本当の凄さを証明してくれた(『愛人の数と本妻の立場』)。
 ▼そのイチロー選手が、今度はピート・ローズ氏が達成した、大リーグ通算最多安打記録を抜いた。日米での合算だから、もちろん大リーグの公式記録にはならない。イチロー選手が最初から大リーグでプレーしていたら…。昨夜は、大リーグ談議で盛り上がった居酒屋も多かっただろう。
 ▼それだけに、ローズ氏によるイチロー選手の偉業を貶めるような発言は、残念でならない。野球賭博問題で、球界からの永久追放処分が解けない、苛立ちのせいだろうか。
 ▼通算最多本塁打記録を持ち、現在はイチロー選手が所属するマーリンズの打撃コーチを務めるバリー・ボンズ氏が、興味深い提案をしている。まだ一度も顔を合わせたことのないイチロー選手とローズ氏に、話し合いの場を設けようというのだ。
 ▼ローズ氏といえば、豪快なヘッドスライディングが売り物だった。もっとも向井さんによれば、意外に盗塁は少ない。俊足で内野安打も多かった、イチロー選手との大きな違いである。日米の安打製造機が、まったく異なる野球観を披露し合う。ファンにとって、たまらないイベントになるだろう」

▽東京・筆洗
(イチロー日米通算4257安打へ)
(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016061702000139.html)

「好投手の投げ合いで、試合は1-1のまま延長戦に入っていた。監督は打席に向かう選手を呼び止め、言った。「あのネットを越えてこい」▼この選手は前の打席で、右翼のネットを直撃する当たりを放ったが、球場が狭すぎてシングルヒットになっていた。ならば、本塁打しかない。そんな指示に選手はニヤッと笑って応え、見事に本塁打を打ってみせた▼この痛快な逸話の主人公は、中学三年だった鈴木一朗選手。今は愛知県内の中学校で校長を務める橋本伊佐美さん(59)が野球部の監督だった時に体験した、イチロー伝説の序章である▼日米通算4257安打を達成したきのう、イチロー選手(42)は、自分の歩みを「僕は子どもの頃から人に笑われてきたことを常に達成してきているという自負がある」と語った。「常に人に笑われてきた歴史、悔しい歴史が僕の中にあって、これからもそれを達成していきたい」と▼記者会見でも「引退するまでに若いチームメートに伝えたいことは?」との質問に、「彼らが(現役を)辞めるときぐらいまで(僕も)やっていたいと思っていますよ」と答えると、記者席で笑いが起きた▼イチロー選手は、「少なくとも五十歳」までは現役を続けるとも言っている。五十一歳の背番号51。思わず笑ってしまいそうだが、その笑いもまた、新たな伝説に向けた活力源にしてしまうのだろう」

 コラムはイチローが毎日、産経、東京で競作となった。
 だが全紙の中で最も読ませたのは日経だろう。内容は正論だ。
 とはいえ、こうした見解・意見を、どれだけ精力的に全マスメディアが報じたとしても、一般有権者の行動というのは全く変わらないに違いない。