2017年2月14日

【無料記事】フジテレビ「エビ中訃報スクープ」の問題点

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 2月8日、アイドルグループ『私立恵比寿中学』、通称「エビ中」のメンバー、松野莉奈さんが突然亡くなった。致死性不整脈の疑い。18歳、あまりにも若すぎる死だった。

 この衝撃的な訃報を報じたのは、所属事務所の公式発表ではなく、フジテレビの報道番組『FNNスピーク』(月〜金曜・11時半〜11時55分)のスクープニュースだったことをご存じだろうか。

 少なくとも報道関係者にとって、スクープほど〝勝ち負け〟が明確なものはない。報じた側に絶対的な正義があり、破れた側の主張は「言い訳」「弁解」と受け取られるのが普通なのだ。

 ところが今回に限っては、フジテレビの報道姿勢に疑問の声が少なくないという。それも「負け惜しみ」ではなく、それなりの根拠があるというのだ。

 テレビ局の関係者が明かす。

「通常、芸能人の訃報は所属事務所の発表を踏まえて報じることが大多数ですが、稀に特定のメディアが独自情報を得ることもあります。その際でも、所属事務所や遺族など関係者の確認取材が必要であることは言うまでもありません」

 昔は確認が取れれば瞬時に報道できるテレビ局、共同や時事といった通信社の独壇場だったが、近年は新聞も公式サイトでのネット速報で対応できるようになった。

 そのため不謹慎な言い方だが〝競争〟も激化しているようだ。それが背景にあるのかは不明だが、フジテレビのスクープは相当に「掟破り」だったと悪評が強いという。

「信じられませんが、フジテレビは関係者の確認を取っていないと言うんです。警察関係者の情報提供だったらしく、信頼性が高いと判断したとの話なんですが、その判断はどうなんでしょうか……」(同・テレビ局関係者)
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【写真】松野莉奈さん公式ブログより
http://www.lineblog.me/tag/%E6%9D%BE%E9%87%8E%E8%8E%89%E5%A5%88?blog_name=ebichu
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 別のテレビ関係者が、詳細を明かす。

「所属事務所に何度も連絡を取ったのに、全く繋がらなかったそうです。ただ、確かな情報だったので、報じることにしたと言います」

 所属事務所さえ出し抜いた大スクープ、とふざけるわけにもいくまい。少なくともネット上では死を悼む圧倒的な声の影に、所属事務所の対応が遅いとする見方も散見されたが……。

「事務所の責任はゼロと言っていいのではないでしょうか。それこそ、ご遺族は亡くなってすぐマスコミに大きく報道され、心を痛めているそうです。所属事務所にさえ詳細を伝えていない段階で、これほどニュースが広まってしまったことに困惑しておられるのは間違いありません」(同)

 先行報道の結果、事務所も混乱してしまったようだ。正確な情報が公表される前、ネット上では死因について「ウィルス性脳症」や自殺説など様々な憶測が垂れ流しになってしまった。

 別のテレビ関係者が、警鐘を鳴らす。

「ご遺族からすると、朝に119番通報を行ってから、たった6時間で娘の訃報が全国ニュースで報じられているわけです。しかも、自分のところに一切、確認の取材がなかった。これで困惑しない方がおかしいと思います。報道に携わる者であれば、誰もがスクープを狙って当然ですが、さすがに訃報は細心の注意を払わなければ、更なるマスコミ不信を招くだけだと思います」

 事務所の対応が遅れたとする指摘も、実際のところは亡くなってすぐに発表、という方がむしろ稀だ。遺族の意向により、密葬を済ませてからマスコミ対応、というケースも決して少なくない。それぐらい神経を使う方が、むしろ社会的通念には合致するのではないだろうか。

 もちろん、事件や事故など、何よりも速報が求められるニュースが存在することは論を俟たない。報道に必要な確認作業──俗に言う「裏取り」──もケースバイケースとしか言いようがなく、どんな内容のニュースであっても、必ず関係者に取材を申し込まなければならないというわけではない。警察情報だけで報じても、それが正解という状況もありうる。

 とはいえ、18歳の女性芸能人が死亡したことを、警察情報だけで速報していいのかということになると、様々な意見が出るのではないだろうか。

 少なくとも芸能人にとっては、訃報は最後の「舞台」とも考えられる。改めて故人を輝かせる報道が理想型であるはずだが、今回の場合は、単に遺族の感情を傷つけるだけという結果に終わったのではないだろうか。社会と「マスゴミ」の乖離が、又しても浮き彫りになってしまった格好だ。

(無料記事・了)

2016年12月5日

ASKA再逮捕「大興奮」の「マスゴミ」と「冤罪」の噂

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 11月28日、覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで、歌手のASKA(本名・宮崎重明)容疑者が逮捕されたという衝撃ニュースが飛び込んだ。ASKA容疑者は容疑を完全に否定しているというが、執行猶予中に起きた再犯疑惑のインパクトは比類がなかった。

 しかし今回の逮捕劇はASKA容疑者の行状だけでなく、報道倫理の側面でも注目を集めている。まずは時系列で「マスゴミ」が繰り広げた大騒動を振り返りたい。

午後2時ごろ、当時は「元被告」だったASKA容疑者に対し、覚せい剤取締法違反容疑で逮捕状が請求されるというニュースが舞い込み、マスコミはASKA容疑者の自宅前に集結した。

 それから約5時間後の午後7時前、自宅車庫のシャッターが開き、車に乗ったASKA容疑者が姿を表す。マスコミは車に向かって突進。警察が制止に入るも間に合わず、現場は恐ろしくカオスな状況となる。

 ASKA容疑者は車のドアを開けて抗議するも、出庫は断念。車体前方のエンブレムは折れ、シャッターもボコボコに壊されていく様子がテレビで生中継され、視聴者に強烈な印象を与えたに違いない。

 タイミングよくというか何というか、この一連の大騒動が収まったところで、民放は7時からのバラエティー番組に切り替えた。ところが、この後の様子を「インターネットテレビ局」を謳う『AbemaTV』が完全生中継を行う。午後8時半頃、捜査員がASKA容疑者を任意同行すると、AbemaTVが自宅から桜田門の警視庁に入るまでをオートバイで追跡したのである。

 更に逮捕翌日には、ASKA容疑者を乗せたタクシー車内の映像が、複数の情報番組で放送される。これにはTwitterなどで「プライバシー権の侵害だ」という意見が続出。テレビでも松本人志や宇野常寛が問題点を指摘した。また新聞も特集ページが組まれるなど、今回の報道には「倫理性」にも注目が集まったのだ。

 逮捕翌日、筆者は別件の取材で、さる現場を訪れたのだが、記者たちはAbemaTVの話題で持ちきりだった。

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【著者】玄場岸也(ジャーナリスト)
【購読記事の文字数】2600字
【写真】ASKA容疑者の自宅前で繰り広げられた大騒ぎ(撮影 産経新聞社)
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2016年11月24日

【完全無料記事】宇都宮連続爆発・犯人の「知識」入手法と「模倣犯恐怖」

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(※この記事は完全無料です。会員登録は必要なく、末尾の「了」で記事は終わります)
 10月23日、栃木県宇都宮市の宇都宮城址公園などで相次いで爆発や火災が発生。周囲にいた3名が負傷した「宇都宮連続爆破事件」が発生した。栃木県警は公園内で自殺したと見られる栗原敏勝容疑者(72)が、いずれの事件にも関与したとみて殺人未遂容疑で書類送検している。

 この事件に関する報道では栗原容疑者の「元陸上自衛官」という経歴に大きな注目が集まった。「元自衛官なら爆発物も作れるだろう」という先入観からだ。マスコミは当初、「連続爆破」という事件そのものに関心を集中させていたのだが、時間が経つごとに「元自衛官」という経歴にシフトしていったのだという。大手紙社会部記者が振り返る。
「初報が入ってきた時は、とんでもない大事件が起きたと驚きました。ところが3か所で爆発、火災が発生したにもかかわらず、人的被害は幸いにも3人が負傷した程度でした。おまけに容疑者も自殺し、率直なところ、取材方針が定まらなくなってしまったんです。すると元自衛官という情報が入ってきて、そういう経歴だから連続爆破を起こすことができたんだろうと仮定して、自衛隊の専門家や自衛官OBなどを探す取材に奔走しました」

 最近は「マスゴミ」などと評判は悪くとも、一応はプロだ。取材でメシを食っている連中が「元自衛官だから連続爆破事件を起こせた」と考えたのだから、視聴者や読者の方々が同じことを思っても不思議はないだろう。実際、犯行に使われた爆発物は栗原容疑者が自作したものだと見られている。

 しかしながら、本当に自衛官経験者なら、爆発物の知識を得ることができるのだろうか。実際に爆発物を訓練などで使用した経験のある現役の陸上自衛官に話を聞くことができた。まず栗原容疑者が動画投稿サイトにアップしていた自身の自衛隊人事記録から読み解いてもらったところ、意外なことが分かった。
「容疑者の人事記録を見ました。平成11年、1999年に退官したのですが、最後は北宇都宮駐屯地にある航空学校宇都宮分校(※編集部註:現在は「航空学校宇都宮校」)の校長として勤務。退官時は2等陸佐でした。それなりに優秀だったということですね。ただ、肝心の爆発物に関する知識を、どこで手に入れたのか。それには『職種』と『特殊技能』が重要になってきます」

 栗原容疑者の「職種」は、「通信科→特科→航空科」と変更した履歴が残されている。「職種」とは「営業」や「事務」といった一般企業における「部署」を指す。そして自衛隊で爆発物を扱うのは「普通科」「施設科」「武器科」であり、容疑者が自衛隊内で爆発物に関する知識を得たとは考えにくいのだという。
「彼が自衛隊で得た『特殊技能』も、通信系と気象系の資格しか確認できませんでした。こうしたことから考えると、少なくとも自衛隊で爆発物を訓練中に使用するどころか、知識を得る機会もなかった可能性が高いと思います」(同・陸上自衛官)

 我々が無意識のうちに心の中で描いてしまった「爆発物のプロとして勤務していた元自衛官」というイメージは、まさに虚像だったのだ。ならば、どうやって栗原容疑者は爆発物を作成したのか。その謎も、陸上自衛官が解く。
「全焼した容疑者の自宅から花火が押収されたそうですし、爆発物の中に釘やビー玉が入っていたことなどから考えると、火薬だけを使用した、非常に初歩的な爆発物だったと推測できます。要するにインターネット上の知識を、そのまま使ったんでしょう。あれぐらいの爆発物は、市販されているものを組み合わせれば作成できるんです。またコインパーキングで車が燃えた際、何回か爆発音が聞こえたと報じられましたが、もしかしたら爆発物の周囲にプロパンガスなど、強い可燃性を持つ物を置いて、威力を高めた可能性も考えられます。難しいのは雷管の作成なのですが、もしかしたら自衛官時代、訓練時に現物を盗んだのかもしれません。とはいえ、自作も不可能ではありません」

 三菱重工爆破事件などを引き起こした東アジア反日武装戦線が1974年、爆弾の製造法などを記した地下出版『腹腹時計』が発禁になったことなど今は昔。ネット上では爆発物の材料入手法や製造方法を解説しているサイトがいくつもある。実際に製造して爆破させる動画さえ公開されているのだ。爆発物のエキスパートという線が消えれば、栗原容疑者がネットで知識を得た可能性は高まる。

 それにしても、自殺に使用した爆発物の威力は相当なものだったようだ。容疑者の足はちぎれ、肉片が飛び散っただけでなく、破片も周囲約140メートルにわたって飛散し、付近の住宅の窓を破損させてしまっている。
「栗原容疑者が事件を引き起こした背景や動機については現在、様々なことが分かってきています。妻との離婚調停に不満があり、それが連続爆破事件の引き金となったようです。容疑者のSNSには『全てに負けた。私は社会に訴える』といった趣旨の文章や、『自暴自棄に陥っている』とのコメントも書き込まれていました。特に注目を集めているのが『通り魔事件秋葉原を見習うか』とのコメントです。2008年に東京・秋葉原の路上で7人が死亡、10人が負傷したことは記憶に新しいですが、容疑者は類似の犯行を目論み、連続爆破事件を計画した可能性があります」(テレビ局社会部記者)

 事実、当時は『宇都宮城址まつり』が開催されており、爆発が起きた時間帯は中学生から大人まで約300人の行列が通過する予定だった。
「大惨事を免れたのは、文字通りの偶然でした。行列の進行が遅れたため、爆発に巻き込まれなかっただけなんです。もし祭りのスケジュールが時間通りだったなら、負傷者3人では済まなかったでしょうね」(同・社会部記者)

 だが事件発生時こそ、マスコミは大きく報道していたが、その熱はいつものように1週間あまりで冷めてしまい、今ではニュースが流れることは滅多にない。だが、この連続爆破事件が、もとから日本に潜んでいた危険性を、更に悪化させた懸念があるという。陸上自衛隊幹部が重い口を開く。
「今回の事件をマスコミは『連続爆破事件』と報じています。これは故意ではないのでしょうが、ミスリードの危険性があります。あの事件の本質は、他人を巻き添えに自爆するというテロそのものです。容疑者は自爆テロという目的を明確に持ち、それを実行しました。日本で初めて発生した自爆テロなんです。これが何を意味するのかといえば、第2、第3の犯行が起きる危険性が高まったということです。初犯が生まれれば、必ず模倣犯が追随します。我々は現在、2020年に行われる東京オリンピック・パラリンピックを念頭に置いた様々な対テロ訓練を実施しています。宇都宮の事件は重要なケーススタディとして今後の訓練・教育に組み込むつもりですし、おそらく警視庁の公安部でも詳細な検証を始めているでしょう。日本の危険度は1段階上がりました。それほど深刻なテロ事件だったというのが我々の認識です」

 あれだけ海外のニュースでは自爆テロについて取り上げながら、いざ国内で発生した時には自爆テロと認識、指摘できないでいるマスコミ。これも平和ボケ日本のなせるわざ、まさにマスゴミということか。 しかし、この爆発事件で日本は自覚の少ないままに、また一歩テロという底の見えない闇に近づいてしまったようだ(了)
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【写真】爆発があった宇都宮城址公園付近の駐車場(撮影・産経新聞社)
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2016年8月30日

相模原障害者殺傷事件で「謝礼を要求した〝友人〟」と払ったテレビ局

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「日本のためにやった。私は救世主だ」──女性9人の殺人容疑で再逮捕された植松聖容疑者(26)は取り調べで、未だに重度の障害者に対する侮蔑を繰り返しているという。「障害者は不幸を作る人」などの自説を展開することも珍しくなく、反省の色は微塵も感じられないという。
 神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で19人が死亡、27人が重軽傷を負った殺傷事件は8月26日に発生から1か月を迎えた。いまだに現場には多くの記者が投入され、日夜、取材を続けている。しかし現場では、テレビ局、それも複数の取材活動が「報道倫理に抵触するのではないか」と囁かれているのだという。問題は、ずばり「関係者に対する取材謝礼」だ。

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【購読記事の文字数】4900字
【写真】送検される植松容疑者を乗せた車両に群がるマスコミ各社(撮影・産経新聞社) 
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