2017年3月15日

【無料記事】東芝「原発損失」の原因「オプション契約」の〝闇〟

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 深刻な経営危機に陥った東芝。屋台骨を揺るがした米原発事業をめぐり、またひとつ、不可解な闇が広がる。米原発事業をめぐり、不可解な「オプション契約」の存在が判明したのだ。

 これは東芝が買収した米原発会社・ウェスチングハウス(WH)が、原発を発注した米電力会社との間で締結したもので、電力会社が一定以上の建設費用の負担を拒否できる内容となっているのだ。

「これではあまりに発注の電力側に有利すぎる」と業界関係筋は疑念を強めており、WH経営陣が何らかの不正をはたらいた疑いも指摘されている。

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【写真】Westinghouse Electric Company公式サイトより
http://www.westinghousenuclear.com/
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 東芝がWHの原発建設事業で7000億円近い損失を被り、今年度は債務が資産を上回る債務超過に転落する見通しであるのは報道の通り。このため、東芝は稼ぎ頭の半導体事業を切り離し、過半数の株式を売却して資金を捻出する方針を余儀なくされている。

 ただ、東芝の内外からは、「経営陣が米原発事業の巨額損失の存在を知ったのは昨年末だった。WHからの報告が遅れたためだが、会社の屋台骨を揺るがす巨額損失がなぜ、突如として発生したのだろうか」と疑う声が根強く残っている。

 東芝や業界関係者の話を総合すると、巨額損失が発生した直接の原因は、WHが米電力会社と締結していた「オプション契約」が行使されたことだった。WHは、この電力会社からサウスカロライナ州で建設する2基の原発を受注したが、電力会社が工事遅延によって発生する損失を抑える契約も追加で結んでいたのだ。

 このオプション契約では、電力会社がWHに支払う金額は最大76億8000万ドルとし、これを上回った金額は全てWH側が支払う――との内容になっている。福島原発事故の発生に伴い、米国でも原発の安全基準が強化され、工事が遅延して建設費や金利が膨れ上がり、WHに巨額の損失が発生したとされる。

 しかし、関係筋は疑念をこう語るのだ。

「疑問なのは、この契約が結ばれたのが2016年5月だったことです。福島原発の事故があって、このオプション契約の時点ではすでに原発工事の大幅な遅延は明らかにわかっていた。なぜWHがこの段階で、わざわざ巨額費用を負担しなければいけなくなるような不利な契約をしたか、意味がわからない」

 東芝関係筋によると、米電力会社側はこのオプション契約を締結するため、約5億ドルをWH側に追加で支払っている。このため、「オプション契約を仲介した米国の金融会社からWH側にバックマージンが支払われた疑いがあるのでは」との見方が東芝内外から出ている。

 東芝関係筋は「会社に損害を与えることを分かってオプション契約を結んだのであれば、明らかな背任だ。あるいは、電力会社と金融会社が組んでWHを嵌めた可能性も捨てきれない」と指摘する。

 東芝をめぐる闇はまだまだ解明しきれていないのである。

(無料記事・了)

2017年3月9日

【無料記事】東芝「会見&広報契約社員募集」の異様

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 創業以来最大の危機に直面する東芝。危機を乗り切るため東芝は本社で記者会見を年末の12月27日と2月14日に開いた。しかしその評判が余りに悪い。メディア関係者は「とにかく異様な会見だった」と口を揃えるのだ。

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【写真】東芝公式サイトより
http://www.toshiba.co.jp/index_j3.htm
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 2016年12月27日未明、NHKが「東芝の米国子会社が巨額減損」と報じた。それを受け同日夕方、東芝の綱川智社長の会見は開かれた。

 東京・浜松町の東芝ビル39階の最上階。大会議室の会見場に着いた記者は不思議な光景を目撃した。

「あれ? 何で1番前の席が空いているの?」

 綱川社長や経営陣が着席する目の前の席である。訝しく思いながら後方の席に座る。会見直前、ある人物が東芝の広報担当に付き添われ一番前に着席した。全てを悟った記者は思わず「はあ」と溜息を漏らした。

 会見終了後「この会見は記者以外にも証券アナリストが出席していた」ことを知る。そして前列の席はその証券アナリストたちのためだったとも理解した。

 あろうことか東芝は、重大な会見だというのに、経営陣へ優しい質問をするアナリストたちを前に座らせ、記者たちと、厳しい質問を行うアナリストは後ろに追いやったのだ。当然、記者たちは抗議した。

「アナリストを同じ会見に呼ぶのまでは許せる。しかし席を用意するのはおかしくないか」
「先着順にすべきだ」

 東芝はこの時点で、米国の原発の減損額を4000億円弱と見積もっていた。この金額なら17年3月期決算の債務超過の転落はないからだ。

 しかし年が明けた1月8日と19日に内部告発が届く。「経営陣による『不適切なプレッシャー』があった」と。ここで事態は急展開。「一気に膿を出さなければ持たない」となり、7100億円の減損に追い込まれ債務超過転落が避けられなくなった。

 その内容を公表予定だった2月14日、東芝は決算発表を延期する。しかし集まった記者からの突き上げもあり同日18時30分に東芝ビルでの会見を設定した。そして会場に到着すると、

「おいおい、また前の席が空いている」

 そう。再びアナリスト向けに一番前の席を用意していたのだ。会社存亡の危機に立っていながら、経営陣への配慮を忘れない。これがビジネスマンの鏡なのか。

 前列に陣取るアナリストたちは一切質問をしない。ただパソコンを打ち、ノートにペンを走らせるのみ。質問は後列の記者とアナリストだけだった。

 会見が終了した2日後、転職情報サイト「DODA」に東芝が広報職の契約社員を募集したことが話題になった。「メディアコントロールできる人材」が欲しいというものだ。この募集を見た記者は会見の異常性を心から理解することができた。結局のところ、東芝は心底、メディアが怖いのだ。

 だから東芝は、この後に及んでもメディアを管理したいと考えている。しかしながら、こういう態度こそが、かえって記者の怒りを買うのだ。広報としての能力はゼロどころかマイナスと言っていいだろう。

 会見に出席した記者は「正直、屈辱を受けた印象だ」と口を揃える。仕切り直しとなった3月14日の決算会見はどうなるのか。興味津々で記者たちは待っている。

(無料記事・了)

2017年1月11日

東芝「債務超過回避」か──減損額を大予測

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 仕事納めが翌日に迫った2016年12月27日午前1時すぎ、NHKが「東芝の米国子会社が巨額減損」と報道。その日の夕方には、東芝の綱川智社長など経営陣が会見を行った。

「グループ会社ウェスチングハウス(WEC)の子会社『CB&Iストーン&ウェブスター(S&W)』ののれん代が数千億円規模にのぼり、一部または全額を減損する」と発表。NHKの報道を認めたわけだ。

 年末年始の東京株式市場は「トランプ相場」に沸いていたが、それでも東芝株は下落する。減損が明らかになる前の株価は443円だったが、当日に急落。12月29日には一時232円まで暴落し、年が明けた1月6日時点でも287円と発覚前より約35%安と低迷を続けた。

 そしていま、投資家をはじめ市場関係者は、「果たして巨額減損は実際いくらなのか」に注目する。同時に「債務超過への転落はあるのか」と固唾を飲んで見守っている。

 東芝の仕事始めとなった2017年1月5日、複数の記者から減損額を尋ねられた志賀重範会長は「確定していない。数字は言えない」と回答。いまだ市場の疑念を晴らすまでには至っていない。

 ならば取材過程で浮かび上がった事実を検証し、弊誌が減損額を予測してみよう。
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【記事の文字数】2000字
【写真】2016年12月27日に発表されたプレスリリース『CB&Iの米国子会社買収に伴うのれん及び損失計上の可能性について』
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20161227_2.pdf
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2016年8月29日

業界内で公然と囁かれる「新日本監査法人」の「経営危機」

shin-nihon2016-08-26 11.40.02

 東芝(東京都港区芝浦)の不正会計問題を巡り、同社の会計監査を担当していた新日本監査法人(東京都千代田区内幸町)からの顧客離れが止まらない。すでに40社以上の大手上場企業が新日本との契約を打ち切り、別の監査法人に変更することを決めたというのだ。

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【購読記事の文字数】1300字
【写真】新日本有限責任監査法人(アーンスト・アンド・ヤングジャパン)公式サイトより
http://www.shinnihon.or.jp/index.html
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2016年7月26日

「綱川智」新社長就任でも不協和音の「新生東芝」

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 東芝の新社長を巡り、社内外で不協和音が高まっている。前任の室町正志氏が退任、6月に医療機器部門出身の綱川智氏が新社長に就任した。この人事を主導したのは経産省だったが、有力ステークスホルダー(利害関係者)の1つである銀行団は成毛康雄副社長を推す考えを持っていたのだ。

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【購読記事の文字数】1100字
【写真】綱川智・東芝代表執行役社長(東芝公式サイトより)
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2016年5月10日

【無料記事】『マイナンバー』トラブルの原因は「無責任ドリームチーム」

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 社会保障と税の共通番号『マイナンバー』のトラブルが、相変わらず続いている。
 コンピューターの故障など、一部の自治体でカードを交付できない事態が相次いだ。激しい批判が噴出する中、地方公共団体情報システム機構は4月27日、「トラブルの原因を特定し、システムを改修した」と発表した。
 だが、交付の現場では未だに混乱が続いているようだ。東北のブロック紙・河北新報は5月、仙台市の担当者が「劇的に改善されたという感じはしない」との不安を報じている。
 実際、機構の西尾勝理事長は4月27日の会見で、不具合の責任については「細かく考えるところには至っていない。もっと詰めて検証しないといけない」と説明するにとどまった。そのため一部の業界関係者は「根本的な改修には至っていないのではないか。最悪の場合、トラブル再発もあり得る」と懸念しているという。

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【購読記事の文字数】1300字
【写真】内閣官房のマイナンバー公式サイト
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2016年4月12日

「社長辞任」「後継不在」「子会社売却〝サギ〟問題」東芝で噴出する悪評

toshiba2016-04-12 15.20.16

 東芝の室町正志社長が、周囲に辞意を漏らしていることが分かった。
 文字通り「針のむしろ」の日々は、本人の覚悟を上回ったのかもしれない。あまりにも厳しいストレスに室町社長は「もうこれ以上、社長を続けることはできない」と弱気なのだという。
 とはいえ、もともと室町社長は「危機的な状況を乗り切ったら、後継に道を譲る」と発言していたのだ。
 いわば「暫定トップ」と言える。レームダックどころの騒ぎではない。
 三日天下は既定路線なのだから、いつ辞任するかなど具体的な報道に関心はない。そんなものはニュースでも何でもない──こんな風に考える方も、決して少なくないだろう。
 とはいえ、室町社長の発言は、東芝が今でも迷走を続けている「象徴」と見なすことはできそうだ。
 おまけに今の東芝は「東芝メディカルシステムズ」の売却問題でも、相当な関係者の怒りを買ってしまった。
 東芝迷走の現状を、深掘りしてお届けしよう。

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【購読記事の文字数】3600字
【写真】東芝の2016年度事業計画説明会資料より
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