2016年6月19日

【完全無料記事】110回きのうの1面〈三菱自補償〉6月18日一般紙

1men2016-06-19 11.39.23

 6月19日(土)朝刊のテレビ欄で、朝の報道番組は次のような内容紹介となっていた。

▽おはよう日本(NHK)
・ロシア陸上リオ五輪 出場は 為末大さんに聞く
・英議員銃撃続報
・PTA活動にあえぐ働く親…負担減の模索
・多摩で人気カロム!?

▽ウェークアップ!ぷらす(日本テレビ)
・ついに退場 舛添氏民意に逆らえず 与野党に聞く次は誰?
・18歳選挙権スタート
・上海DLから生中継

▽週刊ニュースリーダー(テレビ朝日)
・「気になる人物10」
・ポスト舛添は誰だ? 桜井か蓮舫か丸川か?
・イチロー4257安打!!
・45歳〝美魔女〟詐欺
・みそ汁に薬物妻

▽サタデープラス(TBS)
・勝間和代 1カ月6万円節約できる㊙時短生活密着
・脳が若返る!! 京都の旅
・中尾彬73歳 本気で挑戦

▽めざましどようび(フジテレビ)
・イチロー世界一の軌跡&25年の映像振り返り
・舛添知事会見発言集 あのお金はどうなる?
・そばの祭典で新食感
・三浦友和の素顔公開 
・焼鳥&金賞豆腐散歩

 では新聞はどうだったのか。2016年6月18日付(土曜日)の日経を含む一般紙の見出しを見てみよう。

【1面見出し】
▽読売新聞(約926万部)
「三菱自、補償1台10万円 燃費偽装4車種 不正は全車種 特別損失計650億円に」
▽朝日新聞(約710万部)
「三菱自 改ざん9車種 国に報告 燃費不正 全29車種 9車種最大10万円賠償」
▽毎日新聞(約329万部)
※企画連載『チャイナセンセーション』第3部 国境を越える民①「共産党幹部「子どもに日本国籍を」代理出産で逃避準備 男児の口座へ20億円」
▽日経新聞(約275万部)
「サムスン、アップルに供給へ 有機EL、スマホ用 普及に弾み 7200億円投じ5割超増産」
▽産経新聞(約161万部)
「銃撃の女性議員死亡 英、EU残留派に勢い 現地メディア「トーン変わる」 『英国の選択』国民投票6・23 民主主義揺るがした凶弾 煽情的論戦が招いた悲劇」
▽東京新聞(約51万部)
※規格連載『貧困の「実相」フードバンクかわさきからの報告』【上】「サインなき飢餓 「衣・住」の前に「食」削る」

 読売、朝日、日経がストレートニュース。毎日、東京が連載をトップに据えた。産経は両方を半分ずつとした。
 読み応えという意味では毎日の企画が群を抜いていた。リードを引用しよう。

<東京都新宿区歌舞伎町を拠点とする「闇の代理出産ビジネス」を利用して、子どもをもうけた中国人依頼主2人が毎日新聞のインタビューに応じた。いずれも中国共産党中央で要職に就く幹部の親族という。子どもは日本国籍を取得しており、30代女性は中国からの逃避準備が目的と証言した。また40代男性は、代理出産で生まれた子どもの口座に20億円超の資産を移したことを明かした>

 ストレートニュースではないものが1面トップというのは個人的には苦手なのだが、それを差し引いても極めて興味深い記事だった。

【コラム】
▽読売・編集手帳
(明日は父の日)

「昭和のコメディアン、フランキー堺さんのお宅には「パパごはん」と呼ばれる料理があった。パパ(=フランキーさん)の好物という意味らしい。エッセーによればご飯にみそ汁をかけたもので、いわゆる「猫まんま」である」
「あずは「父の日」。<毎日が父の日でありし昔かな>(江國滋)。普段は子供たちの好みが優先されがちな食卓にも、その家その家の「パパごはん」が並ぶことだろう」

▽朝日・天声人語
(調律師の世界)

「そのピアノで出なかったのはラの音だけだった。なのに駆け出しの調律師が気負いすぎ、次々に音を狂わせる。ふがいなさに打ちのめされ、涙をこらえる▼宮下奈都さんの小説「羊と鋼の森」にそんな場面がある。全国の書店員が選ぶ「本屋大賞」をこの4月に受賞した」
「当方、弾くことをあきらめて久しい。聴く方も遠ざかっていたが、小説を読んで何年かぶりに家の古いピアノの天板を開けた。中のメモに調律師の方々の名が残る。「羊」の毛に包まれたハンマーと「鋼」の弦が並ぶ小中に見入った」

▽毎日・余録
(東電・第三者検証委員会「炉心溶融/損傷」問題)
(http://mainichi.jp/articles/20160618/ddm/001/070/145000c)

「スルメは縁起が悪いからとアタリメに言い換えるのを「忌み言葉」という。古くは伊勢神宮に奉仕した皇女、斎王の御所で用いられた「斎宮の忌み言葉」があった。神慮をはばかって仏教の用語や不浄な言葉を他の表現に言い換えたのである▲僧侶は「髪長」と反対の意味に言い換えられ、仏を「中子」と呼んだのはお堂の真ん中に置かれているためだった。寺は「瓦葺」、経文は「染紙」である。また死は「治る」、病は「休み」、血は「汗」と言い換えられた▲さて、こちらはどんな“神慮”をはばかった忌み言葉か。東京電力福島第1原発事故当時、「炉心溶融」の言葉を使わぬように清水正孝社長から指示があったという第三者検証委の報告である。代わりに「炉心損傷」が用いられたから、死を治るに言い換える類いか▲驚いたのは、社長が「首相官邸の指示」としてこれを伝えていたという話である。だが報告は「官邸の誰からどう要請を受けたのか解明にいたらなかった」という。早速、当時首相の菅直人、官房長官の枝野幸男両氏からは事実無根との反論が出る成り行きとなった▲炉心溶融を長く認めなかったのも、結局のところ「隠蔽と判断はしない」とした第三者委である。聞き取りは東電関係者に限られ、官邸の圧力の有無はやぶの中に放置されたかたちだ。みごとうやむやにしたのは国家的危機にあって国民の目をくらました責任だった▲不吉な言葉の言い換えは、口に出た言葉は現実になるという言霊信仰に根ざすらしい。日本の原発を動かしてきた文化と組織風土を思えば、何か空恐ろしくなってくる「原子力村の忌み言葉」だ」

▽日経・春秋
(イギリスEU離脱問題)

「英紙に伝説の見出しがある。「英仏海峡濃霧――欧州大陸孤立」。天気によって、大陸の人たちはこんな目にあう。なんと不幸なことか。島国の目線がよく分かると、英国のジャーナリスト、パクスマン氏が「前代未聞のイングランド」(小林章夫訳)で指摘している。
▼海に囲まれていることで、貿易によって世界の富を集め、大帝国を築いた。安全を守ってくれるのは長い海岸線であり、大陸はただ迷惑なだけだ。孤立こそが強みという「島国妄想」が何世紀にもわたって刻み込まれている。だから「ガリヴァー旅行記」や「宝島」など島を巡る冒険談や財宝探しの物語も生まれたそうだ。
▼妄想が膨らみすぎたのだとすれば恐ろしい。欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票を前に、残留派の下院議員が殺された。議論は過熱気味だったから、事件の背景に移民流入やEUが政策を決めることへの不満、大帝国への郷愁などがあったのかもしれない。犯人が「英国第一」と叫んでいたとの報道もある。
▼金融市場では動揺が広がっている。英国民は冷静に現実を見てほしい。EUなしで国は立ちゆかない。離脱となると他国も同調する。そういえば大英帝国勲章を受けたアガサ・クリスティーの代表作の舞台も島だった。登場人物が次々に殺され「そして誰もいなくなった」。英国が孤立を選べば、EUを似た状況に陥れる」

▽産経・産経抄
(東電・第三者検証委員会「炉心融解/損傷」問題)
(http://www.sankei.com/column/news/160618/clm1606180003-n1.html)

「「『それは私がしたことだ』と私の記憶は言う。『それを私がしたはずがない』-と私の矜持は言い、しかも頑として譲らない。結局-記憶が譲歩する」。哲学者のニーチェは、こう喝破した。自尊心やうぬぼれは自身の記憶を美化し、都合よく修正してしまう。
 ▼東電福島第1原発事故当初、炉心溶融(メルトダウン)の公表が遅れた問題で、東電の第三者検証委員会は16日、当時の清水正孝社長が首相官邸の指示により「この言葉は使わないように」と指図したとする報告書をまとめた。
 ▼報告書は官邸の誰が具体的な指示、要請をしたかは解明していない。ところが、当時の首相だった菅直人氏は早速反応し、「指示したことは一度もない」とのコメントを発表した。検証委に対しても「第三者とは言えない」と矛先を向けた。
 ▼真相は藪の中だが、記憶が容易に書き換えられるものであるのは事実だろう。例えば菅氏は、東電が第1原発からの全面撤退を検討していたと主張し、平成24年4月の政府事故調査委員会の聴取にこう証言した。「清水社長は私が(全面撤退はダメだと)言ったときに『そんなこと言っていませんよ』なんて反論は一切なかった」。
 ▼だが、菅氏はもっと記憶が鮮明だったはずの23年4月には、参院予算委員会で「社長は『別に撤退という意味ではないんだ』ということを言った」と答弁していた。「そういうことではありません」「そういうつもりはないけれども」…。清水氏とのやりとりに関する菅氏の発言を追うと、清水氏の言葉が日に日に弱まり、ついには反論はなかったことになとうっていく。
 ▼当事者の証言であっても、うのみはできないのが難しい。原発事故対応には、解明を待つ不明点がまだ多い。」

▽東京・筆洗
(東電・第三者検証委員会「炉心融解/損傷」問題)
(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016061802000135.html)

「<アレどこだ? アレをコレする あのアレだ!>は、サラリーマン川柳の秀句。ファジィ(あいまい)という言葉が流行語になっていた二十数年前にはこんな川柳も生まれた。<ファジィ課長 「あれ」「これ」「それ」を連発し>▼さて社長にこう命じられたら、どうするか。「その件は、官邸とあれと、きちんと事前にしっかり、あれしといて」。発言の主は、福島第一原発事故が起きた時の東京電力の社長である▼なぜ東電はあの時、「メルトダウン(炉心溶融)」という言葉を使って事態の深刻さを、国民にきちんと説明しなかったのか。どんな経緯があり、誰に責任はあるのか▼そういう疑問を検証する「第三者委員会」の報告書によれば、五年前の三月十四日、原発の燃料損傷を記者会見で認めることについて、部下から了承を求められた社長の答えが「あれと、あれしといて」だったというのだから、なかなかのファジィ社長だ▼さらにあきれるのは「第三者委」の検証のファジィさだ。真相究明には欠かせぬ当時の官邸関係者や官僚の証言を得ようとせず、事情を聴いたのは東電社員らだけ。過去をしっかり調べ、教訓を現在と未来に生かそうという熱意なくして何のための検証だろう▼原発事故で避難生活を強いられる人が、今なお九万人もいる。いくらあいまいにしようとしても、決してごまかせぬ現実だ」

 東電の第三者検証委員会の問題が、毎日、産経、東京の3紙で競作となった。新聞社の名前だけを見れば原発推進VS反原発という構図だが、内容はそれほどでもない。
 特に産経は菅直人VS東京電力という図式に対し、〝社是〟である反民主=民進のコラムを書くためには東電に肩入れしなければならないはずだ。
 ところが、やはり現時点で「東電の応援」は無理があるようだ。そのためか、いつもの産経抄とは異なり、歯切れの悪い文章が目立つ。
 それにしても、第三者委員会の信頼性がどんどん失われていると思っている方は多いのではないだろうか。

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【写真】三菱自動車公式サイトより
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2016年6月18日

【完全無料記事】109回きのうの1面〈英議員射殺〉6月17日一般紙

1men2016-06-18 23.25.42

 6月17日朝刊のテレビ欄で、朝の情報番組は次のような内容紹介となっていた。

▽あさイチ(NHK)
・①有村架純 あまちゃん青春時代の春子熱演秘話
  映画で新境地
・②コブクロ新曲熱唱!
・③満島ひかりも生出演

▽スッキリ!!(日本テレビ)
・詐欺容疑45歳美魔女タレントが逮捕! 素顔は…
・上海ディズニー開園! 続出マナー違反…行列中に小便
・注目の都知事選行方は? 映像を発掘! 蓮舫爆笑…舛添氏から求愛された過去を告白

▽羽鳥モーニングショー(テレビ朝日)
・45歳「美魔女」を逮捕 不倫相手と共に詐欺か テレビ映像公開
・衝撃 クマがラーメン店のドア激突…何が
・舛添氏の疑惑うやむや? 今後は

▽白熱ライブ・ビビッド(TBS)
・TV多出演45歳美魔女 不倫相手と保育園詐欺 豪遊の私生活
・米紙が〝SEKOI〟と報道 舛添氏は片付け登庁へ 
・ポスト巡り女の闘い?

▽とくダネ!(フジテレビ)
・①逮捕…45歳の有名〝美魔女〟不倫相手と650万円詐欺
・②ポスト舛添の㊙素顔〝東京の顔〟どう選ぶ
・③「人に笑われて…」大記録! イチロー原点

 では新聞はどうだったのか。2016年6月17日付(金曜日)の日経を含む一般紙の見出しを見てみよう。

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【写真】殺害されたジョー・コックス英労働党下院議員(コックス氏のFacebookより)
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【1面見出し】
▽読売新聞(約926万部)
「円高加速103円台 金融政策 日米、変更見送り 株485円安」
▽朝日新聞(約710万部)
「英議員 撃たれ死亡 52歳を拘束 EU残留派支持 離脱懸念 株安進む 円一時103円台」
▽毎日新聞(約329万部)
「炉心溶融「使うな」指示 原発事故で東電社長 第三者委報告書」
▽日経新聞(約275万部)
「ドル緊急供給を検討 日米欧、英離脱に備え 市場安定に万全 円、一時103円台 日経平均485円安」
▽産経新聞(約161万部)
「蓮舫氏 土地事前に意欲 民進 参院転出、近く判断」
▽東京新聞(約51万部)
「「炉心溶融使うな」社長の指示 4年間公表せず 第三者報告書 把握していた東電事故調」

 それぞれニューズバリューは高い記事が並んだ。
 誤報となったのは、産経新聞の「蓮舫出馬意欲」だ。ご存知の通り、蓮舫氏は出馬しないことを明らかにした。
 東電の炉心溶融問題は、釈然としないことばかりだ。何よりも、特にテレビ局が「官邸の意向」という音声を拾っておきながら、今回の第三者委員会の報告を初報のように報じているところだ。
 率直に言って、菅直人も信じられないし、東電と第三者委員会も疑わしい。かといって、テレビ局も片棒を担いでいたのではないかという不信感が芽生えた。こうなると、新聞・通信社が垣根を越えて一致団結し、調査報道を重ねるしかない気もするが、それは正真正銘の夢物語だろう。

【コラム】
▽読売・編集手帳
(来年5月からJR東日本が「トランススイート四季島」を運行開始)

「狐がおいしそうな葡萄を見つけた。食べたいのだが、高い所にあって跳び上がっても届かない。狐は捨てせりふを残して立ち去る。「こんな葡萄、酸っぱいに決まってるさ!」。イソップ寓話の『狐と葡萄』である」
「最近は年齢のせいか豪華列車の旅よりも、お金を積んでも二度と行けない追憶の旅に心ひかれている」

▽朝日・天声人語
(日清食品の社員食堂「カブテリア」は株価で翌月の昼食メニューが変わる)

「時価総額という指標がある。発行済み株式数に株価をかけ、企業価値を示す数字として使われる。だがグーグル級の企業の価値が50兆円だの60兆円だの言われても、縁遠い身にはピンと来ない▼即席麺でおなじみの日清食品ホールディングス経営陣もこの問題にぶつかった。「5年後に時価総額をいまの倍の1兆円に高める」という目標を掲げたものの、社員に自社株の動きを意識してもらうのが難しい」
「この先もし、世界同時株安の波が押し寄せたらお目玉が延々と続く。社員の体重も減らないかと余計なことを案じた▼カブテリアはきょうが初のご褒美デー。5月末の株価好転を祝い、築地からマグロを取り寄せる。社員の目の前で解体してみせるというから何ともうらやましい」

▽毎日・余録
(イチロー日米通算4257安打へ)
(http://mainichi.jp/articles/20160617/ddm/001/070/130000c)

「「日本で積み上げてきた安打だけでなく、凡打も、ぼくの技術を磨いてくれた」。これは2008年、イチロー選手が日米通算3000安打を達成した時の言葉である。日米の記録を合算することに対する米国での批判を踏まえた発言だった▲「日本で培われた技術でヒットを打っている。ですから18歳や19歳の時に米国に来ていたらなんて発想はない。(日本のレベルは低いの声には)米国でのヒットのほうがペースは早いよと言い返しますけどね」(「自己を変革する イチロー262のメッセージ」)▲それから8年、イチロー選手が日米通算4257安打を放った。ピート・ローズ氏がもつ4256安打の大リーグ記録を超えたのである。偉業を祝福するスタンドの拍手と歓声にイチロー選手はヘルメットを取って応えた▲「この記録をゴールに設定したことはないが、チームメートやファンの方からああいう反応(拍手)をしてもらいうれしい」とは当人の控えめな喜びの言葉である。日米通算記録をめぐる両国の温度差は大きいだけに、周囲からの温かな祝福には格別な感慨があろう▲一昔前はベースボールと野球は別物だなどという米日比較文化論がまかり通った2大野球愛好国である。だがベースボールも、野球も、そのグラウンドには同じ天才と努力を愛してくれる神様がいる。そのことを身をもって示したイチロー選手の4257安打だった▲「ヒットの本数は超えたけど、彼の存在を超えたわけではありません」はマリナーズの球団記録を更新した時の前記録保持者への言葉だ。超えるべき高峰はすでに心にしっかり刻みつけていよう」

▽日経・春秋
(舛添都知事政治資金問題)
(http://www.nikkei.com/article/DGXKZO03714810X10C16A6MM8000/)

「喫茶店のタマゴサンドについてあれこれ論じていたから、よくあるB級グルメ番組かと思ったほどだ。舛添要一東京都知事への世間の反発がどんどん強まっていた1週間ほど前、テレビのワイドショーでは舛添さんの「サンドイッチ疑惑」を取り上げるのに熱心だった。
▼突っ込まれていたのは1万8000円の領収書である。政治資金パーティーとして催した勉強会でタマゴサンドを出した。その代金だとする弁護士の説明に、ある番組は「タマゴサンドをそんなに注文する客がいるか」。で、大量のサンドづくりを再現してみせ、かくも大変なのに店側が覚えていないと首をかしげていた。
▼たしかに不審な点は多々あって、うやむやを徹底検証するのは大事なことだ。もっともそこに反応して世論があれほど高まったのは、多くの疑惑が数万や数十万単位のカネだったからでもあろう。金額がセコい、そしてわかりやすいのである。これが何千万何億何十億だと、ちょっと別世界の話になるからおかしなものだ。
▼セコい不正だって不正は不正だが、気がつけばあちこちにセコくない問題も転がったままではある。あの甘利明さんの一件は結局どう説明されたのか。2020年五輪招致をめぐる「コンサルタント料」の謎は……。世の中がタマゴサンドで留飲を下げているうちに、うやむやの術が効いてくるんじゃないかと心配になる」

▽産経・産経抄
(イチロー日米通算4257安打へ)
(http://www.sankei.com/column/news/160617/clm1606170003-n1.html)

「イチロー選手は2004年、年間安打262本で、大リーグ最多安打記録を打ち立てた。しかし、ケチをつける声もある。ジョージ・シスラーが257本打った1920年当時、試合数は154試合だった。イチロー選手は162試合での達成だから、比較にならないというわけだ。
 ▼大リーグ通の医師、向井万起男さんは、イチロー選手は41本、シスラーは33本と、2位選手との差に注目する。統計学の手法も使って、同時代の選手からの「傑出度」をはじき出し、イチロー選手の本当の凄さを証明してくれた(『愛人の数と本妻の立場』)。
 ▼そのイチロー選手が、今度はピート・ローズ氏が達成した、大リーグ通算最多安打記録を抜いた。日米での合算だから、もちろん大リーグの公式記録にはならない。イチロー選手が最初から大リーグでプレーしていたら…。昨夜は、大リーグ談議で盛り上がった居酒屋も多かっただろう。
 ▼それだけに、ローズ氏によるイチロー選手の偉業を貶めるような発言は、残念でならない。野球賭博問題で、球界からの永久追放処分が解けない、苛立ちのせいだろうか。
 ▼通算最多本塁打記録を持ち、現在はイチロー選手が所属するマーリンズの打撃コーチを務めるバリー・ボンズ氏が、興味深い提案をしている。まだ一度も顔を合わせたことのないイチロー選手とローズ氏に、話し合いの場を設けようというのだ。
 ▼ローズ氏といえば、豪快なヘッドスライディングが売り物だった。もっとも向井さんによれば、意外に盗塁は少ない。俊足で内野安打も多かった、イチロー選手との大きな違いである。日米の安打製造機が、まったく異なる野球観を披露し合う。ファンにとって、たまらないイベントになるだろう」

▽東京・筆洗
(イチロー日米通算4257安打へ)
(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016061702000139.html)

「好投手の投げ合いで、試合は1-1のまま延長戦に入っていた。監督は打席に向かう選手を呼び止め、言った。「あのネットを越えてこい」▼この選手は前の打席で、右翼のネットを直撃する当たりを放ったが、球場が狭すぎてシングルヒットになっていた。ならば、本塁打しかない。そんな指示に選手はニヤッと笑って応え、見事に本塁打を打ってみせた▼この痛快な逸話の主人公は、中学三年だった鈴木一朗選手。今は愛知県内の中学校で校長を務める橋本伊佐美さん(59)が野球部の監督だった時に体験した、イチロー伝説の序章である▼日米通算4257安打を達成したきのう、イチロー選手(42)は、自分の歩みを「僕は子どもの頃から人に笑われてきたことを常に達成してきているという自負がある」と語った。「常に人に笑われてきた歴史、悔しい歴史が僕の中にあって、これからもそれを達成していきたい」と▼記者会見でも「引退するまでに若いチームメートに伝えたいことは?」との質問に、「彼らが(現役を)辞めるときぐらいまで(僕も)やっていたいと思っていますよ」と答えると、記者席で笑いが起きた▼イチロー選手は、「少なくとも五十歳」までは現役を続けるとも言っている。五十一歳の背番号51。思わず笑ってしまいそうだが、その笑いもまた、新たな伝説に向けた活力源にしてしまうのだろう」

 コラムはイチローが毎日、産経、東京で競作となった。
 だが全紙の中で最も読ませたのは日経だろう。内容は正論だ。
 とはいえ、こうした見解・意見を、どれだけ精力的に全マスメディアが報じたとしても、一般有権者の行動というのは全く変わらないに違いない。