2016年11月10日

【検証・小池劇場③】カジノ賛成派知事の後ろ盾「二階幹事長」

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 小池百合子・都知事の誕生で、IR(統合型リゾート)=カジノ推進派が勢いづいていることは意外に知られていない。舛添要一・前都知事はカジノに反対していたが、小池知事は前向きな態度を示しているのだ。関係者が最新状況を明かす。
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【購読記事の文字数】1300字
【写真】セガサミーホールディングス公式サイト「株主の皆さまへ」より、里見治会長
http://www.segasammy.co.jp/japanese/ir/management/message.html
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2016年6月20日

【完全無料記事】111回きのうの1面〈18・19選挙権〉6月19日一般紙

1men2016-06-20 12.33.31

 6月19日(日)朝刊のテレビ欄で、朝の報道番組は次のような内容紹介となっていた。

▽おはよう日本(NHK)
・18歳選挙権が施行
・輝け! 控えの球児たち

▽シューイチ(日本テレビ)
・雨ぬれず 絶品巡る地下道ツアー こだわり肉ハンバーグ&DJコー絶賛フグ麺
・新都知事選び 町の声は
・最新食グッズ&発売前未来けん玉で中丸絶叫
・上海ディズニーの魅力
・信じられない砂の彫刻

▽サンデーモーニング(TBS)
・英議員殺害…EU残留か離脱で英国大揺れ
・都知事辞職へ
・米史上最悪の銃乱射
・ローズ越えのイチロー
・卓球最年少優勝

▽新報道2001(フジテレビ)
・与野党9党首が集結! 参院選へテレビ初対決
・舛添知事辞職…次の顔は? 残された課題は

 では新聞はどうだったのか。2016年6月19日付(日曜日)の日経を含む一般紙の見出しを見てみよう。

(ここまで表示)
【1面見出し】
▽読売新聞(約926万部)
「東海地震想定 大震法 南海トラフに拡大 政府検討 余地前提から転換」
▽朝日新聞(約710万部)
「18・19歳 240万人に選挙権 改正公選法施行 「「若者向けの公約 守って」 与野党9党と討論会 各党、政策模索 国会論戦に変化」
▽毎日新聞(約329万部)
※企画連載 チャイナセンセーション 第3部国境を越える民②「携帯回収業者が窓口 安全求めカネ流出 生き延びる地下銀行」
▽日経新聞(約275万部)
「新車販売500万台割れ 国内、5年ぶり低水準 今年見通し 車離れ、燃費不正追い打ち」
▽産経新聞(約161万部)
「闇カジノ問題受け 選手の行動規範 半数見直し 五輪全競技団体 法令順守献酬も」
▽東京新聞(約51万部)
「米軍保護下 栄養失調や感染症 沖縄戦22収容所 住民6400人死亡 収容ピーク時は33万人超」

 日曜の新聞らしく、少し地味(?)な紙面が目立った。話題性がありそうなのは日経だろうか。それにしても以前は「若者の車離れ」が盛り上がったわけだが、もはや「日本人の車離れ」ということなのかもしれない。

【コラム】
▽読売・編集手帳
(他山の石を忘れた日本人/舛添都知事政治資金問題)

「針の山は地獄で強いられる苦痛であり、針の筵は精神的に居たたまれない状態をさす」
「自社製品の性能偽装が糾弾されている最中に、別の製品のデータをごまかしていたメーカーがある。学校に無償で問題集を渡してきた教科書会社の社員は、同業者の謝礼問題が発覚しても我が身を省みなかった◆針の筵の東京都知事は他の政治家にどう映っただろう
後任を打診される中に、万が一、すねに傷持つ方がいたら、正直に申告するのがいい。さもないと、あとで針千本のまされかねない」

▽朝日・天声人語
(イギリスEU離脱問題)

「それは政治家として、あまりにみっともない「公私混同」だった。支給された経費で自宅を修理したりテレビを買ったり、はてはペットのえさ代をまかったり。どこかの知事の話ではない。2009年、英国で暴かれた国会議員たちの所業である▼」
「16日には残留を訴える議員が殺害される事件まで起きた。議論ではなく憎悪と暴力に身を任せた結果なのか。熟議を取り戻さない限り、どんな投票結果になっても英国の人々は後悔することになる」

▽毎日・余録
(児童労働)
(http://mainichi.jp/articles/20160619/ddm/001/070/136000c)

「「そのこはとおくにいる/そのこはぼくのともだちじゃない/でもぼくはしってる/ぼくがともだちとあそんでいるとき/そのこがひとりではたらいているのを」▲谷川俊太郎さんの詩「そのこ」の書き出しだ。「そのこ」は、西アフリカのガーナで朝から晩まで働いている。チョコレートの原料となるカカオの木に登り、ナタを振るって実を落とす危険な仕事だ。「ぼく」は会ったこともなく、名前も知らない▲児童労働をなくす活動を支援する谷川さんが詩にし、塚本やすしさんが絵をつけて、5年前に絵本(晶文社刊)となった。本の中の「そのこ」は最初から最後まで後ろ姿しか見せない。いつも重い荷物を頭上に掲げている。どんな表情なのか、わからない▲1億6800万人の子どもが働かされているという。世界の5〜17歳の人口の1割以上になる。奴隷状態にある子どもを助け出したり、地域や家庭に子どもを働かす問題や教育の大切さをわかってもらったり、各国のさまざまな団体の地道な活動で少しずつ減ってはいる。だが、歩みは遅い▲詩はこう締めくくられている。「ちきゅうのうえにはりめぐらされた/おかねのくものすにとらえられて/ちょうちょのようにそのこはもがいている/そのこのみらいのためになにができるか/だれかぼくにおしえてほしい」▲安い労働力に支えられた、安価な製品を求めたがる先進国の消費者がクモの正体かもしれない。ならば、できることを「ぼく」に教え、歩みを速めるのは「わたしたち」大人の役目である。国連は、向こう10年で児童労働を根絶させる目標を掲げる。時間は多くない」

▽日経・春秋
(上場企業の手元資金は昨年度末で109兆円と過去最高)
(http://www.nikkei.com/article/DGXKZO03797040Z10C16A6MM8000/)

「経団連会長を務めた土光敏夫氏は、余生はブラジルで畑を耕しながら送るつもりだった。行政改革の仕事を引き受け実現しなかったが、この国には最も愛着があったという。きっかけは1958年、石川島重工業(現IHI)社長のとき、造船所の建設を決めたことだ。
▼政情不安などのリスクが大きく、「狂気の沙汰」との声もあったなかでの決断だった。日本からは大勢の技術者を「骨をうずめてこい」と言って送り込んだ。幸い船の建造は伸び、現地の人材養成にも貢献。その後の海外展開の礎になる。苦労が多かっただけにブラジル進出は、経営者として誇れる実績の一つだったろう。
▼土光氏には倹約家のイメージがある。稟議書にはすぐ目を通し、差し戻す。これを繰り返して経費を当初の3分の1ほどに切り詰めた。しかし、必要な投資には思い切ってお金を使った経営者でもあった。航空機エンジンの工場を建てる際には社員を前に壇上に立ち、拳を机にたたきつけながら事業への意気込みを語った。
▼いまと土光氏の時代とでは経営環境が違う。グローバル化が進んだ現在は景気の先行きへの不透明感が以前より強い。とはいえ、経営者が投資に慎重になりすぎていないかとも思う。上場企業の手元資金は昨年度末で109兆円と過去最高だ。お金は使うべきところには使う。メリハリの大切さはいまも変わらないだろう」

▽産経・産経抄
(18・19歳選挙権)
(http://www.sankei.com/column/news/160619/clm1606190005-n1.html)

「記事を書く際に、平仮名を使うか片仮名を使うかで迷う言葉がある。「つけ」か「ツケ」か。「ちらし」か「チラシ」か。基本的には語源の和洋で書き分ければよいが、読みやすくするために片仮名で書く日本語も多い。その一つが「ビラ」である。
 ▼由来は江戸時代の寄席という。町の往来に張られた宣伝の紙が風でびらびらなびく。ゆえに「ビラ」。張り紙やポスターを意味する英語の〈bill〉が転じた、とする外来語説に比べて安直で頼りない。いずれにせよ、読者諸氏には片仮名表記がおなじみだろう。
 ▼江戸期のビラは独特の「寄席文字」で芸人の名が書かれ、文化の薫りがあった。当節は激越なアジビラに限らずアンケートを詐称した形式もある。設問に「安保関連法(戦争法)」と記した紙が、宮城県の高校で配られたのは昨秋だった。ビラ事情も油断ならない。
 ▼折しも19日に改正公職選挙法が施行され、一部の高校生や大学生ら18歳以上の約240万人が有権者としてルーキーイヤーを迎えた。参院選を控え、高校付近や通学路で生徒にビラをばらまく運動員への対応をどうするか。各地の教育委員会は思案投げ首という。
▼難解な政治用語が若者を選挙から遠ざけているのか、政治課題を知ろうとしない若者が問題なのかは議論が割れよう。安倍晋三首相が「参院選最大の争点」とする経済政策しかり、安全保障しかり。怪しげなビラも骨っぽい政治課題も「新人」の目慣らしになろう。
 ▼ビラの外来語説を支える〈bill〉には「つけ」「紙幣、札」の意味もある。18歳以上の新人諸氏は、政策にぶら下がった値札の真偽を見抜く目も養われたい。こと経済政策に関しては、値踏みを誤ると将来世代にツケが回るのをお忘れなく」

▽東京・筆洗
(父の日)
(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016061902000142.html)

「米映画の「黄昏」(一九八一年)にこんな場面がある。長い間、仲たがいしている父と娘がいる。娘は老いた父親との関係を修復したいと考える。「友だちでいたいの」。そう語り、父親のひざにそっと触れる。父親も目に涙を浮かべ顔を伏せる▼父と娘を演じたのはヘンリー・フォンダとジェーン・フォンダ親子である。この二人、映画と同じように確執が続いていた。娘の方は離婚や母親の自殺を父親のせいと考えていた。父親は娘の態度やリベラルな政治的発言を嫌っていた▼仲直りを考えたのは娘の方だった。「黄昏」を読んで映画化の権利を買った。あの場面で、父親が演技以上の涙を見せたことに「もう何もいらないと思った」そうだ。和解できた▼父の日である。仲の良い父と娘、息子には、小欄の出る幕はない。仮にである。父親との関係に悩んでいる方がいるとすれば、この日を利用しない手はない。そう、そそのかしたいのである▼勝手な言いぐさだが、若いあなたの方から年を重ねた父親に手を差し伸べてくれないか。しゃれたせりふのプレゼントもいらない。「元気?」。ただ一本、電話すれば十分だろう▼「(父親に)気持ちを伝えなさい。もう八十歳ですよ。いつまでグズグズしているの」。あの映画でキャサリン・ヘプバーンの母親が娘を叱っていた。急いだ方がいい。この日は年に一度しかない」

 競作ゼロで綺麗に割れた。意外に、こういうのも珍しい。また全て低調だが、朝日の序盤は興味深い。イギリスの議員にはクリーンないメージがあると思うが、日本とあまり変わらないのかもしれない。
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【写真】自民党18歳選挙パンフレット『国に届け』より
(https://www.jimin.jp/18voice/kuninitodoke/)
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2016年6月18日

【完全無料記事】109回きのうの1面〈英議員射殺〉6月17日一般紙

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 6月17日朝刊のテレビ欄で、朝の情報番組は次のような内容紹介となっていた。

▽あさイチ(NHK)
・①有村架純 あまちゃん青春時代の春子熱演秘話
  映画で新境地
・②コブクロ新曲熱唱!
・③満島ひかりも生出演

▽スッキリ!!(日本テレビ)
・詐欺容疑45歳美魔女タレントが逮捕! 素顔は…
・上海ディズニー開園! 続出マナー違反…行列中に小便
・注目の都知事選行方は? 映像を発掘! 蓮舫爆笑…舛添氏から求愛された過去を告白

▽羽鳥モーニングショー(テレビ朝日)
・45歳「美魔女」を逮捕 不倫相手と共に詐欺か テレビ映像公開
・衝撃 クマがラーメン店のドア激突…何が
・舛添氏の疑惑うやむや? 今後は

▽白熱ライブ・ビビッド(TBS)
・TV多出演45歳美魔女 不倫相手と保育園詐欺 豪遊の私生活
・米紙が〝SEKOI〟と報道 舛添氏は片付け登庁へ 
・ポスト巡り女の闘い?

▽とくダネ!(フジテレビ)
・①逮捕…45歳の有名〝美魔女〟不倫相手と650万円詐欺
・②ポスト舛添の㊙素顔〝東京の顔〟どう選ぶ
・③「人に笑われて…」大記録! イチロー原点

 では新聞はどうだったのか。2016年6月17日付(金曜日)の日経を含む一般紙の見出しを見てみよう。

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【写真】殺害されたジョー・コックス英労働党下院議員(コックス氏のFacebookより)
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【1面見出し】
▽読売新聞(約926万部)
「円高加速103円台 金融政策 日米、変更見送り 株485円安」
▽朝日新聞(約710万部)
「英議員 撃たれ死亡 52歳を拘束 EU残留派支持 離脱懸念 株安進む 円一時103円台」
▽毎日新聞(約329万部)
「炉心溶融「使うな」指示 原発事故で東電社長 第三者委報告書」
▽日経新聞(約275万部)
「ドル緊急供給を検討 日米欧、英離脱に備え 市場安定に万全 円、一時103円台 日経平均485円安」
▽産経新聞(約161万部)
「蓮舫氏 土地事前に意欲 民進 参院転出、近く判断」
▽東京新聞(約51万部)
「「炉心溶融使うな」社長の指示 4年間公表せず 第三者報告書 把握していた東電事故調」

 それぞれニューズバリューは高い記事が並んだ。
 誤報となったのは、産経新聞の「蓮舫出馬意欲」だ。ご存知の通り、蓮舫氏は出馬しないことを明らかにした。
 東電の炉心溶融問題は、釈然としないことばかりだ。何よりも、特にテレビ局が「官邸の意向」という音声を拾っておきながら、今回の第三者委員会の報告を初報のように報じているところだ。
 率直に言って、菅直人も信じられないし、東電と第三者委員会も疑わしい。かといって、テレビ局も片棒を担いでいたのではないかという不信感が芽生えた。こうなると、新聞・通信社が垣根を越えて一致団結し、調査報道を重ねるしかない気もするが、それは正真正銘の夢物語だろう。

【コラム】
▽読売・編集手帳
(来年5月からJR東日本が「トランススイート四季島」を運行開始)

「狐がおいしそうな葡萄を見つけた。食べたいのだが、高い所にあって跳び上がっても届かない。狐は捨てせりふを残して立ち去る。「こんな葡萄、酸っぱいに決まってるさ!」。イソップ寓話の『狐と葡萄』である」
「最近は年齢のせいか豪華列車の旅よりも、お金を積んでも二度と行けない追憶の旅に心ひかれている」

▽朝日・天声人語
(日清食品の社員食堂「カブテリア」は株価で翌月の昼食メニューが変わる)

「時価総額という指標がある。発行済み株式数に株価をかけ、企業価値を示す数字として使われる。だがグーグル級の企業の価値が50兆円だの60兆円だの言われても、縁遠い身にはピンと来ない▼即席麺でおなじみの日清食品ホールディングス経営陣もこの問題にぶつかった。「5年後に時価総額をいまの倍の1兆円に高める」という目標を掲げたものの、社員に自社株の動きを意識してもらうのが難しい」
「この先もし、世界同時株安の波が押し寄せたらお目玉が延々と続く。社員の体重も減らないかと余計なことを案じた▼カブテリアはきょうが初のご褒美デー。5月末の株価好転を祝い、築地からマグロを取り寄せる。社員の目の前で解体してみせるというから何ともうらやましい」

▽毎日・余録
(イチロー日米通算4257安打へ)
(http://mainichi.jp/articles/20160617/ddm/001/070/130000c)

「「日本で積み上げてきた安打だけでなく、凡打も、ぼくの技術を磨いてくれた」。これは2008年、イチロー選手が日米通算3000安打を達成した時の言葉である。日米の記録を合算することに対する米国での批判を踏まえた発言だった▲「日本で培われた技術でヒットを打っている。ですから18歳や19歳の時に米国に来ていたらなんて発想はない。(日本のレベルは低いの声には)米国でのヒットのほうがペースは早いよと言い返しますけどね」(「自己を変革する イチロー262のメッセージ」)▲それから8年、イチロー選手が日米通算4257安打を放った。ピート・ローズ氏がもつ4256安打の大リーグ記録を超えたのである。偉業を祝福するスタンドの拍手と歓声にイチロー選手はヘルメットを取って応えた▲「この記録をゴールに設定したことはないが、チームメートやファンの方からああいう反応(拍手)をしてもらいうれしい」とは当人の控えめな喜びの言葉である。日米通算記録をめぐる両国の温度差は大きいだけに、周囲からの温かな祝福には格別な感慨があろう▲一昔前はベースボールと野球は別物だなどという米日比較文化論がまかり通った2大野球愛好国である。だがベースボールも、野球も、そのグラウンドには同じ天才と努力を愛してくれる神様がいる。そのことを身をもって示したイチロー選手の4257安打だった▲「ヒットの本数は超えたけど、彼の存在を超えたわけではありません」はマリナーズの球団記録を更新した時の前記録保持者への言葉だ。超えるべき高峰はすでに心にしっかり刻みつけていよう」

▽日経・春秋
(舛添都知事政治資金問題)
(http://www.nikkei.com/article/DGXKZO03714810X10C16A6MM8000/)

「喫茶店のタマゴサンドについてあれこれ論じていたから、よくあるB級グルメ番組かと思ったほどだ。舛添要一東京都知事への世間の反発がどんどん強まっていた1週間ほど前、テレビのワイドショーでは舛添さんの「サンドイッチ疑惑」を取り上げるのに熱心だった。
▼突っ込まれていたのは1万8000円の領収書である。政治資金パーティーとして催した勉強会でタマゴサンドを出した。その代金だとする弁護士の説明に、ある番組は「タマゴサンドをそんなに注文する客がいるか」。で、大量のサンドづくりを再現してみせ、かくも大変なのに店側が覚えていないと首をかしげていた。
▼たしかに不審な点は多々あって、うやむやを徹底検証するのは大事なことだ。もっともそこに反応して世論があれほど高まったのは、多くの疑惑が数万や数十万単位のカネだったからでもあろう。金額がセコい、そしてわかりやすいのである。これが何千万何億何十億だと、ちょっと別世界の話になるからおかしなものだ。
▼セコい不正だって不正は不正だが、気がつけばあちこちにセコくない問題も転がったままではある。あの甘利明さんの一件は結局どう説明されたのか。2020年五輪招致をめぐる「コンサルタント料」の謎は……。世の中がタマゴサンドで留飲を下げているうちに、うやむやの術が効いてくるんじゃないかと心配になる」

▽産経・産経抄
(イチロー日米通算4257安打へ)
(http://www.sankei.com/column/news/160617/clm1606170003-n1.html)

「イチロー選手は2004年、年間安打262本で、大リーグ最多安打記録を打ち立てた。しかし、ケチをつける声もある。ジョージ・シスラーが257本打った1920年当時、試合数は154試合だった。イチロー選手は162試合での達成だから、比較にならないというわけだ。
 ▼大リーグ通の医師、向井万起男さんは、イチロー選手は41本、シスラーは33本と、2位選手との差に注目する。統計学の手法も使って、同時代の選手からの「傑出度」をはじき出し、イチロー選手の本当の凄さを証明してくれた(『愛人の数と本妻の立場』)。
 ▼そのイチロー選手が、今度はピート・ローズ氏が達成した、大リーグ通算最多安打記録を抜いた。日米での合算だから、もちろん大リーグの公式記録にはならない。イチロー選手が最初から大リーグでプレーしていたら…。昨夜は、大リーグ談議で盛り上がった居酒屋も多かっただろう。
 ▼それだけに、ローズ氏によるイチロー選手の偉業を貶めるような発言は、残念でならない。野球賭博問題で、球界からの永久追放処分が解けない、苛立ちのせいだろうか。
 ▼通算最多本塁打記録を持ち、現在はイチロー選手が所属するマーリンズの打撃コーチを務めるバリー・ボンズ氏が、興味深い提案をしている。まだ一度も顔を合わせたことのないイチロー選手とローズ氏に、話し合いの場を設けようというのだ。
 ▼ローズ氏といえば、豪快なヘッドスライディングが売り物だった。もっとも向井さんによれば、意外に盗塁は少ない。俊足で内野安打も多かった、イチロー選手との大きな違いである。日米の安打製造機が、まったく異なる野球観を披露し合う。ファンにとって、たまらないイベントになるだろう」

▽東京・筆洗
(イチロー日米通算4257安打へ)
(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016061702000139.html)

「好投手の投げ合いで、試合は1-1のまま延長戦に入っていた。監督は打席に向かう選手を呼び止め、言った。「あのネットを越えてこい」▼この選手は前の打席で、右翼のネットを直撃する当たりを放ったが、球場が狭すぎてシングルヒットになっていた。ならば、本塁打しかない。そんな指示に選手はニヤッと笑って応え、見事に本塁打を打ってみせた▼この痛快な逸話の主人公は、中学三年だった鈴木一朗選手。今は愛知県内の中学校で校長を務める橋本伊佐美さん(59)が野球部の監督だった時に体験した、イチロー伝説の序章である▼日米通算4257安打を達成したきのう、イチロー選手(42)は、自分の歩みを「僕は子どもの頃から人に笑われてきたことを常に達成してきているという自負がある」と語った。「常に人に笑われてきた歴史、悔しい歴史が僕の中にあって、これからもそれを達成していきたい」と▼記者会見でも「引退するまでに若いチームメートに伝えたいことは?」との質問に、「彼らが(現役を)辞めるときぐらいまで(僕も)やっていたいと思っていますよ」と答えると、記者席で笑いが起きた▼イチロー選手は、「少なくとも五十歳」までは現役を続けるとも言っている。五十一歳の背番号51。思わず笑ってしまいそうだが、その笑いもまた、新たな伝説に向けた活力源にしてしまうのだろう」

 コラムはイチローが毎日、産経、東京で競作となった。
 だが全紙の中で最も読ませたのは日経だろう。内容は正論だ。
 とはいえ、こうした見解・意見を、どれだけ精力的に全マスメディアが報じたとしても、一般有権者の行動というのは全く変わらないに違いない。

2016年6月17日

【完全無料記事】108回きのうの1面〈舛添辞任の翌日〉6月16日一般紙

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 6月15日(水)の一般紙朝刊は多くの社が「都議会不信任可決 舛添都知事は辞職せず」の1面トップを組み、少し同情の余地があるとはいえ、誤報だらけとなった。結局、15日に舛添知事は辞任。不信任が可決されることも、議会が解散されることもなかった。
 そして16日(木)の朝刊が刷り上がったわけだ。ではまず、この日のラテ欄が、どのように朝の情報番組の内容を紹介したのか見てみよう。

▽あさイチ(NHK)
・お役立ち! 
・①ヘルシー&簡単! 下ゆで不要のこんにゃく技
・高崎の火山風パスタ
・②復活セーラームーン 大人気

▽スッキリ!!(日本テレビ)
・舛添知事 最後の弁
 ①2年4カ月何やった? 石原元知事腹心らが通信簿
 ②都民に聞く次の知事は誰
・クマがラーメン店襲撃 店主語る恐怖の瞬間
・ギョウザ女子火付け役 伝授おしゃれ美味名店

▽羽鳥モーニングショー(テレビ朝日)
・白川由美さん死去79歳 二谷英明さんと「おしどり夫婦」 友里恵さん悲痛
・舛添氏最後の弁「反省と心残り尽きない」急転辞任の舞台裏

▽白熱ライブ・ビビッド(TBS)
・一転! 舛添都知事辞職 突然の翻意に「空白の40分間」…数々の疑惑はウヤムヤか
・今度は青学生が! 迷惑行為の動画投稿なぜやまぬ?

▽なないろ日和!(テレビ東京)
・梅雨時の洗濯はこれだ! 
 部屋干し研究家が指南する㊙極意〜生乾き臭には洗濯前に○○せよ!
 こんな干し方も!?

▽とくダネ!(フジテレビ)
・舛添知事ついに「辞職」が決定
 ①議会で決断ワケ説明「都民として五輪…」
 ②涙の訴え…急転なぜ〝都議会のドン〟説得
 ③〝ポスト舛添〟誰が

 やはり舛添氏の扱いは大きい。
 では新聞はどうだったのか。2016年6月16日付(木曜日)の日経を含む一般紙の見出しを見てみよう。

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【写真】6月7日、都議会で答弁に立った舛添都知事(当時=東京都HPから)
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【1面見出し】
▽読売新聞(約926万部)
「舛添知事の辞職同意 都議会 知事選7月31日有力 「私が身を引くのが一番」 候補者選考 自・民が着手」
▽朝日新聞(約710万部)
「舛添氏「自らの不徳」 都知事21日付辞職 政治資金問題「都政停滞」 退任あいさつ 疑惑の説明なし ※企画連載『転落 公私混同の果て 上』語るほど世論反発 相次ぐ誤算」
▽毎日新聞(約329万部)
「舛添都知事 辞職 「会見なし」核心語らず 政治資金問題で引責 『検証』14日夜 引き返し辞意 自民本部が圧力」
▽日経新聞(約275万部)
「「心残りの念尽きぬ」舛添知事 辞職決定 与野党、後任選び急ぐ 都知事選 来月31日か8月7日」
▽産経新聞(約161万部)
「舛添都知事 辞職 「全て自らの不徳」 政治資金問題で引責 21日付議会同意 知事選 7月31日か8月7日 後任選び 与野党迷走 桜井次官は不出馬明言」
▽東京新聞(約51万部)
「2代続け「カネ」で引責 20日集中審議中止 疑惑棚上げ 舛添知事 辞職 都知事選7月31日か8月7日 後継候補 民進に蓮舫氏推す声 規制法使途制限せず 「第三者に調査権限を」」

 2日連続でトップ記事が全紙共通となった。誤報の埋め合わせという意識があったのか、なかったのか。
 とにもかくにも知事はいなくなった。
 そのためメディアは「次の都知事選では人気投票を止めるべき」「政治資金規正法を改正すべき」「舛添氏は知事を辞めても、疑惑を調査すべき」と正論を報じ続けている。
 だが、果たして有権者の反応はどうなのか。
 正直、今のところは、舛添氏を知事の座から引きずり下ろす時ほどの情熱やエネルギーは伝わってこない。喉元過ぎれば熱さを忘れるというのは馬鹿のことだと思うのだが、有権者が「聡明さ」を見せる瞬間はやって来るだろうか。

【コラム】
▽読売・編集手帳
(舛添都知事政治資金問題)

「喜劇王チャップリンは東京で見物した歌舞伎の印象を自伝に書いている。<死の場面になると、俳優たちは急にリアリズムに切り替わるのだ>。直前までバレエのように舞っていたのに、と◆リオ五輪まで知事職に居させてほしい。東京都の舛添要一知事は、涙ながらのリアリズムで都議会各会派の幹部に最後の延命を乞うたという」
「もっと早く、誠心誠意のリアリズムで公私混同の洗いざらいを語っていたならば、幕切れは違っていたはずである◆説明忌避が招いた都知事選の費用は50億円という。<水羊羹喜劇も淡き筋ぞよき>(水原秋桜子)。疑惑が多すぎていまなお筋もつかめぬおふざけ劇の、木戸銭である」

▽朝日・天声人語
(イチロー日米通算4257安打へ)

「米大リーグ出身のタフィー・ローズ氏は日本の球界で13年もプレーした。近鉄時代の年間55本塁打は王貞治氏と並ぶ。記憶に残る大活躍だった▼だが、大リーグの先輩ピート・ローズ氏(75)は最近、米紙USAトゥデーで酷評した。「彼は日本で本塁打55本だが、米国じゃさっぱりだった。米国では花開かず、日本で有名になった選手は何人もいる」▼ずいぶんな物言いだが、これには訳がある。ピート氏の誇る4256本の米最多安打記録が、イチロー選手の日米通算安打に破られそうになっているからだ」
「在米15年、走攻守いずれを見てもとても42歳に達したとは思えない。合算しようとしまいと、その活躍に米国のファンたちも称賛を惜しまないだろう」

▽毎日・余録
(舛添都知事政治資金問題)
(http://mainichi.jp/articles/20160616/ddm/001/070/081000c)

「骨董の世界に「じぶたれる」という言葉がある。品が悪くて感心できぬものを評する言葉で、今少しで本筋の美に到達できず、物欲しげな境地に終わってしまった器物をいう。「じぶたれ茶わん」「じぶたれ道具」という言い方もある▲漢字を当てれば、うぬぼれを表す「自負たれ」だろうと中島誠之助さんの「体験的骨董用語録」(ちくま文庫)は推測する。だが人が眉をひそめるたたずまいの背後にうぬぼれが潜んでいるのは、何も茶器ばかりではない。人間、それも政治家の器についてもいえる▲政治資金の公私混同を追及されていた舛添要一東京都知事が辞職願を提出した。出処進退の出と進は他人の助けがいるが、処と退は一人で決めるものと語った幕末の河井継之助を思い出す場面だが、実際は都議会全会派に背を押されてのすったもんだの「退」だった▲高額の海外出張費用問題から始まった一連の騒ぎである。そこで都知事がくり出す釈明や収拾策がことごとく世の反発と怒り、失笑を買い、騒動が雪だるま式に拡大した成り行きはご存じの通りだ。公私混同への人々の反発の過小評価は、やはり「自負たれ」ゆえか▲こうなれば世の関心は一気に後継の都知事候補選びに移る。振り返れば、2代続けての政治とカネ問題による都知事の辞職である。大量得票の期待できる知名度が決め手となる都知事選の候補者選びだが、政治家としての器の鑑定がないがしろにされてこなかったか▲骨董商がにせものを買ってしまうことを「しょいこみ」、傷を見落として買うのを「粗見」という。都の有権者も自前の鑑定眼を鍛えねばならぬようである」

▽日経・春秋
(舛添都知事政治資金問題)
(http://www.nikkei.com/article/DGXKZO03659050W6A610C1MM8000/)

「巨人、大鵬、卵焼き。ご存じの通り昭和の高度成長期、子どもに人気の高かったものを並べた流行語だ。では五輪、サミット(主要国首脳会議)、ノーベル賞は? これぞ日本人が大好きな、必要以上に騒いでしまう三大国際イベントだ、とする説を聞いたことがある。
▼もちろん東京都知事の舛添要一さんも、五輪にかける執念には並々ならぬものがあった。政治資金の流用疑惑などで進退きわまってなお、不信任案提出を先延ばしするよう都議会に求め抵抗を続けた。なんとしてもこの夏のリオデジャネイロ五輪に駆けつけ、4年後に向けた五輪旗を引き継ぐ場に立ちたかったのだろうか。
▼次の開催都市として、五輪前に都政を混乱させたくない。都知事選で舛添さんを支えた自民党も一時はそう考えたようだ。だがトップの公私混同に目をつぶり、死に体となった首長の居座りを許す方が明らかにTOKYOへの信頼を傷つける。追い詰められた舛添さんは任期を1年8カ月残して、都庁を去ることになった。
▼エンブレムや国立競技場の選考をやり直すなど、五輪をめぐるトラブルが収まらない。東京開催に意欲をみせた都知事は、これで3代続けて任期の途中で職を投げ出す形になった。開催地の首長が最大のリスクというのでは、冗談にもならない。「五輪、退陣、また選挙」の三題噺は、今回限りで終わりにしてもらいたい」

▽産経・産経抄
(舛添都知事政治資金問題)
(http://www.sankei.com/column/news/160616/clm1606160002-n1.html)

「甥っ子の満男が、とんでもないことをしでかした。初恋の人、泉の結婚式に乗り込んで、中止に追い込んでしまう。寅さんが説教を始めた。
 ▼「男は引き際が肝心だ」「泉ちゃん、おめでとう。どうぞお幸せに、電報一本打っといて、お前は空に向かって、今日一日よいお天気でありますように、無事結婚式が行われますようにと、それが男ってもんじゃないのか」。
 ▼今度は説教を聞いていたリリーが怒り出す。「バカバカしくて聞いちゃいられないよ。かっこなんて悪くたっていいから、男の気持ちをちゃんと伝えてほしいんだよ、女は」。映画『男はつらいよ』シリーズ最終作の名シーンである。世の女性はこぞって、リリーの啖呵に拍手を送るはずだ。もっとも、恋々とする相手が地位や役職だったら、話が違ってくる。
 ▼東京都の舛添要一知事が昨日、ようやく都議会議長に辞表を提出した。今年3月、大名旅行のような豪華な海外出張が批判されたのが始まりである。以来、毎日のように発覚していた政治資金をめぐる公私混同の疑惑について、納得のいく説明は一つもなかった。
 ▼「ここまで耐えてきたのは、リオ五輪で東京を笑いものにしたくないから」。涙で言葉を詰まらせながら、五輪のセレモニー出席への執着を見せる場面もあった。しかし本会議で不信任案可決が確実になり、延命策が尽きたようだ。往生際が悪すぎた。
 ▼川北義則さんの『引き際の美学』にこんな記述がある。「『みっともない』という感覚があるから、人は自分の言動にブレーキをかけたり、レベルを上げようとがんばる」。舛添氏は頭がいい。行動力もある。機を見るに敏である。「みっともない」という感覚だけ、どこかに忘れて来たようだ」

▽東京・筆洗
(舛添都知事政治資金問題)
(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016061602000144.html)

「さて、お集まりの政治家の皆さん、私、世論コンサルタントのAと申します。ご心配でしょう。あの程度のことで辞職に追い込まれるとは。震え上がっていませんか。中国服はともかく、あまり胸の張れぬ政治資金の使い方をしている方もいると思います。本日は、万一に備えた心構えを無料でお教えいたします▼お手元の資料は、夏目漱石の「虞美人草」です。<数は勢である。勢を生む所は怖しい。一坪に足らぬ腐れた水でも御玉杓子のうぢようぢよ湧く所は怖しい>。今の世論は気味悪きオタマどころか、荒れる竜と考えた方が良いでしょう▼この竜は「正しくない」人間を見つけ、襲います。この場合の「正しさ」とは、法的問題に限らず、道義や倫理上の判断も含まれ、いったん「正しくない」「おかしい」と判断すれば、攻撃をやめません▼皆さんの得意な説明や言い訳も無駄。むしろ逆効果で今回も「トップが二流のホテルに泊まりますか」「不適切だが違法でもない」という政治家には至極もっともな言い訳が致命的でした▼残念ですが、あきらめてください。助かる道があるとすれば問題発覚後ただちに非を認める。謝る。そして祈ることです▼あんまりじゃないかって。社会への不満や政治とカネの問題への怒りが竜の正体だとすれば、同情はできません。なにしろ、竜を産んだのはあなた方、政治家ですから」

 何と、朝日以外が舛添辞任で競作となった。だが内容は低調だろう。
 読売は、これまでの「実績」があるため、最後でも筆をとった執念が面白いとは言える。
 だが、他はひどい。
 毎日は気取りすぎだし、日経も産経もおざなりだ。特にいつも以上にひどいのが東京だ。極めて重要な「世論のリンチ」を取り上げるのかと思ったら、「政治家がひどいから自業自得だ」と結論づけてしまった。危険な思想と言うより、単にセンスが80年代で止まっているのだろう。
 ブロックを発動させてしまった朝日だが、こちらもオチはつまらない。だが、ピート・ローズが、イチローだけでなく、タフィー・ローズにも文句を言っていたことを知り、驚いた読者もいたのではないか。

2016年6月16日

【完全無料記事】107回きのうの1面〈舛添で誤報だらけ〉6月15日一般紙

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 6月15日に舛添氏が辞任届を提出したのは、ご存じの通りだ。「提出」の速報はNHKで午前11時すぎ。この日の朝刊には当然ながら、全く間に合っていない。
 読朝毎産の4紙にとっては悪夢だったかもしれないが、前日14日の朝刊では朝日と産経が「辞職不可避」と打ち、読売と毎日も辞職を強く滲ませた記事を掲載した。にもかかわらず、舛添氏は最後の最後まで抵抗を続けたのだ。そして明けて15日、朝のテレビニュースでも「舛添徹底抗戦=議会解散の可能性」が報じられるようになった。
 では、まだ舛添氏が辞任することを知らない6月15日(火)の朝刊ラテ欄で、朝の情報番組がどんな番組内容となっていたか、見てみよう。

▽あさイチ(NHK)
・①アッキー沖縄旅!
  琉球王朝のお城に何が?
  地上戦の爪痕
  米軍基地の町
・②夏こそ豚肉しょうが焼き!

▽スッキリ!!(日本テレビ)
・舛添知事 辞職か解散か最終局面 決断いつ? 決め手分析
・夫のみそ汁に睡眠薬 200錠入れ殺害…逮捕妻の動機
・父の日商戦加熱…人気ベスト3は
・話題の女子あるある
・嵐大野&波瑠まとめ

▽羽鳥モーニングショー(テレビ朝日)
・舛添知事
 ①自民も辞職迫るが拒否!! 全会一致不信任へ
 ②リオまで…涙で懇願! 五輪に執着 奇策シナリオは
・創業応仁の乱!! 老舗のお宝

▽白熱ライブ・ビビッド(TBS)
・涙声で「リオまでは」舛添都知事に不信任案 辞職かマキゾエ解散か
・みそ汁に薬200錠…夫殺害63歳妻を逮捕
・鈴が呼ぶ!? 人食いクマ

▽なないろ日和!(テレビ東京)
・港町探索 横浜ベイエリアの船旅 シーバス一日乗船券で夜景堪能!!
 行列できるパイ専門店や立ち食い中華の欲張り串

▽とくダネ!(フジテレビ)
・舛添知事 辞職? 解散? 運命の日
 ①涙の懇願「リオまで不信任案出さないで」
 ②〝舛添の乱〟あるか 解散したら…混乱必至
 ③次の都知事は誰に?

 では新聞はどうだったのか。2016年6月15日付(水曜日)の日経を含む一般紙の見出しを見てみよう。

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【写真】読売新聞の1面
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【1面見出し】
▽読売新聞(約926万部)
「舛添氏不信任 全会派一致 都議会 きょう決議案可決 知事辞職を否定「9月まで」」
▽朝日新聞(約710万部)
「舛添氏不信任案 可決へ 都議会 辞職しない場合 与野党、案を一本化」
▽毎日新聞(約329万部)
「自民も都知事不信任案 舛添氏、辞職応じず 全会派提出」
▽日経新聞(約275万部)
「自公、不信任案を提出 舛添氏、辞職避けられず 可決なら都議会解散も」
▽産経新聞(約161万部)
「舛添知事 不信任案可決へ 全会派賛同 きょう審議 都議会 10日以内に辞職か解散 自民も提出、説得拒まれ見切り 涙で「リオまでは」 及び腰に苦情殺到」
▽東京新聞(約51万部)
「知事不信任案 きょう可決 自民提出 全会派賛成へ 舛添氏の失職確実」

 ここまで誤報が並ぶと、圧巻なのは間違いない。後は新聞社に同情するかどうかだが、そこは人によって割れるだろう。
 いずれにしても、舛添氏の二転三転に振り回され、むしろ前日14日の1面が正確な記事だったのだから、これほどの皮肉はない。
 唯一、朝日新聞が「辞職しない場合」に「不信任案可決へ」と読める見出しを組んだことにより、完璧な誤報は免れた。朝日に限らず、一般紙に腰が引けた見出しや記事が多いのは、勝負を避けるといいことがあるからだ。
 ちなみにトップ全紙共通となったが、前は5月31日の消費増税延期の発表だった。

【コラム】
▽読売・編集手帳
(利根川水系のダム8つの貯水率が5割を切る)

「いまではあまり使われることのない言葉に「雨風食堂」がある。甘辛とりまぜて「菓子、飯、うどん、酒など、なんでも食べさせる食堂」(日本国語辞典)のことという◆雨風に甘辛をかけたシャレなのか、語源は定かではない」
「石川啄木が盛岡中学の頃に詠んだ一首がある。<あめつちの酸素の神の恋成りて水素は終に水となりにけり>。まずは災害を招かない範囲でほどほどに、あめつちの恋愛成就を祈るとする」

▽朝日・天声人語
(後藤晃・東大名誉教授が振り返る「公正取引委員会の課徴金減免制度」=密告推奨の経緯と意外な普及)

「日米韓の同業数社の役員がハワイに集まり、ホテルの一室で不正なカルテルを結ぶ。飼料添加物の価格操作が狙い。一部始終を米連邦捜査局(FBI)がひそかに撮影し、動かぬ証拠を得る。米社が内通していた▼2009年の映画「インフォーマント!」である。俳優マット・デイモンが情報提供者(インフォーマント)を演じてヒットした。実際のカルテルが題材で、味の素など関係企業の名が登場する」
「公取委には800件を越す減免申請が寄せられた。公表された社名を見て驚いた。大手も中小も名門も新興も関東も関西も何でもある。実は日本になじみやすい制度だったようである」

▽毎日・余録
(利根川水系のダム8つの貯水率が5割を切る)
(http://mainichi.jp/articles/20160615/ddm/001/070/181000c)

「芭蕉の弟子の俳人、宝井其角が江戸・向島の三囲神社を訪れたおり、近郷の農民がカネや太鼓で雨乞いをしていた。歌で雨乞いをした小野小町の故事にならい、農民に頼まれて奉納した句が「ゆふだちや田をみめぐりの神ならば」だった▲「田を見めぐる神さまならばせめて夕立ぐらい降らせてくださるだろう」という意味で、「三囲」を「見めぐり」にかけている。五七五の頭に「ゆたか=豊か」を折り込んだのも雨乞いの句ゆえか。翌日さっそく雨が降って評判となり、三囲神社も有名になったとか▲1693(元禄6)年の日照りの時の話だが、関東地方の利根川水系ではこの夏も水不足が心配されている。利根川上流の八つのダムの総貯水量が平年の半分を切り、あすから10%の農業用水や工業用水の取水制限が実施される。国土交通省は渇水対策本部を設けた▲5月の利根川上流の降水量が平年の半分以下だったためで、6月に取水制限をするのは29年ぶりとなる。おとといの東京都心は100ミリ近いまとまった雨が降ったが、北関東の水源地は20ミリ程度にとどまり、水位回復にはつながっていない。天は思い通りにならない▲思い通りいかないといえば、この梅雨の総雨量は西日本で平年より多い見込みという。とくに九州で例年より大雨の恐れがあるというから、熊本地震で緩んだ各地の地盤が心配である。熊本県内だけでも土砂災害警戒区域に2万3000戸以上の住宅がある被災地だ▲降らないと困るし、降りすぎてはいけない梅雨である。人の暮らしを見めぐってほどよく雨を降らせる神の加護(かご)が例年にも増して切実に求められる列島だ。」

▽日経・春秋
(FOMC、金融政策決定会合、英国民投票、そして参院選)

「甲斐(山梨県)、信濃(長野県)、武蔵(埼玉県)の境にまたがってそびえる甲武信ヶ岳は、標高2475㍍と奥秩父山塊を代表する高峰だ」
「日米含め金融当局が息を潜めて待つのが来週の欧州連合(EU)離脱を巡る英国の国民投票だ。7つの世論調査の平均値は離脱46%、残留44%。「英の首相官邸はパニック」と報じられた。市場は動揺気味だ。忘れてはならぬが日本の有権者も来月、進路の選択を迫られる。「不決断こそ、最大の害悪である」(デカルト)」

▽産経・産経抄
(秋田県鹿角市で、熊に襲われたと見られる4人が亡くなった)
(http://www.sankei.com/column/news/160615/clm1606150003-n1.html)

「大正4年に北海道北西部の天塩・苫前村をヒグマが襲い、7人の男女を殺害した。吉村昭さんの長編小説『羆嵐』は、この大惨事を描いたものだ。30年以上前に、ラジオドラマにもなった。女優さんの上げた悲鳴は、今も耳から離れない。
 ▼北海道に生息するヒグマの体長は、2メートルを超える。これに対して内地に暮らすツキノワグマは、せいぜい150センチ程度の大きさである。臆病な性格で、人間を怖がる動物とされてきた。ところが近年は、人里まで下りてきて農産物や残飯をあさる、人慣れしたクマも増えている。
 ▼秋田県鹿角市の山林で5月以来、男性3人、女性1人の遺体が見つかった。いずれもツキノワグマに襲われたとみられる。女性が発見された現場近くで射殺されたクマを解剖したところ、胃の中から人の肉片などが見つかった。
 ▼ツキノワグマは本来、木の実や山菜など植物を常食してきた。たとえ一部でも、人を食べ物として認識し凶暴化しているとすれば、一大事である。鈴やラッパを鳴らして、人の存在を教えて追い払う従来のやり方では、かえって危険を招く恐れが出てきた。
▼付近の山林では今の季節、ネマガリダケというタケノコが旬を迎えているそうだ。味がよい上、市場にあまり出回らず、高値で取引される。とはいえ、命には代えられない。クマの大好物でもある。心ゆくまで食べてもらって、近づかないのが唯一の対策だろう。
 ▼ツキノワグマは、本州と四国に生息している。九州では、すでに絶滅してしまった。つまり九州の人たちは、クマの被害に遭うことがないから、よけいにかわいらしく感じる。熊本県のマスコットキャラクター「くまモン」が生まれ、人気を呼ぶ背景には、こんな地域の特性もあるらしい」

▽東京・筆洗
(参院選)
(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016061502000129.html)

「<気をつけよう、暗い言葉と甘い道>。うん?と目を留めた方は注意深い方である▼安全標語の「甘い言葉と暗い道」とはちょっと違う。思想家の内田樹さんはこの「暗い言葉」の方を自らを戒める標語としているそうだ▼社会は一気には良くならぬ。「ろくでもない世界」の中で自分の周囲に「気分のいい世界」をこしらえれば、いつかは別の「気分のいい世界」「気分のいいやつら」と出会い、拡大していく。遠回りしているように見えても結局、それが公正で人間的な社会につながるという考え方。したがって「『暗い言葉』を語る人間にはついてゆかない方がいい」(『邪悪なものの鎮め方』)と書いている▼同じ<気をつけよう>の言葉遊びにしても、こっちはかなり攻撃的である。<気をつけよう、甘い言葉と民進党>。作者は無論、安倍首相である。最近の街頭演説で拾った▼参院選で共産党と協力する民進党をあてこすり、国民への警戒を大げさに呼びかける。野党側は、「時代遅れのレッテル」と反論するが、首相にはやはり悪口の才があろう。消費税増税の見送りや一億総活躍社会など自分の甘い言葉はさておき、政策レースであるべき選挙を語呂良き標語で、自民党か不気味な「野合」かの構図に置き換えてしまう▼かくして選挙戦は毎度おなじみ中傷合戦へ。その「暗い言葉」は気分の悪い選挙戦に向かう」

 水不足が読売と毎日で競作となったが、基本的にはバラエティ豊かな題材だった。
 その割には印象に残るものが少なかったが、どれか1つ選べと言われたら朝日だろうか。少なくとも飲みの席で披露したくなるような蘊蓄性はある印象だ。

2016年6月15日

【無料記事】舛添辞任は「東京五輪の呪い」─「徳川家怨念」と「競技場跡地の怪」

tokyo2016-06-15 20.50.56

「東京オリンピックの呪いだ」と断言したくもなる、舛添要一氏の都知事辞任。これまでにも「呪われた東京オリンピック2020」との表現が散見されているほか、「徳川家達の呪い」という〝都市伝説〟も注目を集めている。これは後で詳述したい。
 誰もが非科学的だとは分かっていても、東京五輪の関係者が相次いで〝災難〟に巻き込まれていることに、空恐ろしくなることもあるのではないか。改めて、時系列でまとめてみよう。

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【購読記事の文字数】2000字
【写真】舛添要一氏オフィシャルサイトより
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【完全無料記事】106回きのうの1面〈舛添辞任の前日〉6月14日一般紙

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 私たちは6月15日(水)に舛添都知事が辞任したことを知っている。そんな観点から6月14日(火)朝刊のテレビ欄を見てみよう。具体的には、この日の午後に舛添氏は辞任勧告を拒否し、とうとう不信任案は提出されなかったという1日だったのだが、朝の情報番組は次のような内容紹介となっていた。

▽あさイチ(NHK)
・①肩こり 腰痛・むくみも改善! 驚き! 簡単ストレッチ かけっこも速くなる!?
・②極上! 〝ふりかけ〟最前線

▽スッキリ!!(日本テレビ)
・優香結婚 公造が調査! お相手の36歳個性派俳優の素顔
・疑惑追及! 舛添知事VS議員
 ①記憶にない…連発で深まる謎
 ②辞任避けられず? 
・被災地 石原軍団&木村拓哉ら子どもと交流で母親が涙

▽羽鳥モーニングショー(テレビ朝日)
・舛添知事
 ①美術品また新疑惑が!! 集中審議で報告書に矛盾も
 ②潮目変わった…不信任案に与野党は?
・みそ汁に薬物!! 夫死亡で妻逮捕

▽白熱ライブ・ビビッド(TBS)
・舛添知事…深まるナゾ〝ラストチャンス〟の集中審議を徹底検証! 危機管理は
・優香結婚 相手はアノ実力派俳優
・田丸麻紀プチプラ服

▽なないろ日和!(テレビ東京)
・快適生活 今選ぶべきマンション
 ①気分は高級マンション!! 大浴場&カラオケ完備
 ②バリアフリー最前線 シニアも安心!!

▽とくダネ!(フジテレビ)
・①舛添氏「全て給料を辞退…」自民都議〝追求〟甘く〝進退〟各党の思惑は
・②小林麻央33歳再入院 海老蔵〝家族への愛〟乳がん闘い…応援の声

 では新聞はどうだったのか。2016年6月14日付(火曜日)の日経を含む一般紙の見出しを見てみよう。

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【写真】日本共産党都議団のビラより
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【1面見出し】
▽読売新聞(約926万部)
「舛添氏辞職論強まる 不信任案 公明も提出検討 野党きょう提出 舛添氏「リオまで猶予を」」
▽朝日新聞(約710万部)
「舛添知事 辞職不可避 自公、不信任案提出も 集中審議 本人は「時期猶予を」」
▽毎日新聞(約329万部)
「自民、辞職要求へ 舛添氏「進退、リオ後に」都議会集中審議」
▽日経新聞(約275万部)
「世界株安・円高が進行 英離脱警戒 マネー萎縮 テロ・政治リスク意識」
▽産経新聞(約161万部)
「舛添知事 辞職不可避 公明、不信任案提出へ 自民、自発的な決断促す 死亡の出版社社長 面会か」
▽東京新聞(約51万部)
「舛添知事 従来説明繰り返す 5会派 辞職要求 集中審議 自民は言及せず 給与全額返上の意向 「不信任案 リオ五輪後まで猶予を」 ホテル面会者名語らず」

 日経以外の5紙は舛添問題となった。
 その5紙の中で、見出しを事実の伝達に留めたのが東京と毎日で、最も無難と言える。
 他の3紙は辞職について踏み込んだが、最も巧妙な手を使った、もしくは誤報を恐れて真っ向勝負を避けたのが読売だろうか。
 たとえ、この段階で舛添都知事が議会を解散させても、「辞任『論』」が強まっていたのは間違いないからだ。週刊誌や東スポの見出しと似たテクニックだろう。
 朝日と産経は「辞職不可避」と直球をど真ん中に投げた。昨日の夜あたりには誤報だったかと焦った関係者はいなかったのだろうか。
 日経ブロックが前回に発動したのは4月28日の紙面。他5紙が三菱自動車の燃費不正問題を取り上げた中、IHIの記事を載せて以来となる。

【コラム】
▽読売・編集手帳
(舛添都知事政治資金問題)

「夏目漱石『草枕』で髪結いの親方が言う。<もしもの事があった日にゃ、法返しがつかねえ訳になりまさあ>法返しは漱石得意の当て字で正しくは「頬返し」、口に入れた食べ物を舌で転がして噛むことである。◆「頬返しがつかない」とは頬張りすぎて噛みも呑みもならぬ様子を言い、転じて、手に負えない事態を指す。政治資金のつまみ食いが過ぎると頬返しはおろか、弁舌もままならぬらしい」
「つまみ食いで頬返しがつかず、目を白黒させた人が首都の顔とは情けない。この文章を書きながら、困った。都知事という役職の頭に、わが指先は「前」の一字を付けたがる」

▽朝日・天声人語
(舛添都知事政治資金問題)

「先月来しばしばテレビに「龍宮城」が映る。といっても浦島太郎が過ごした城ではない。舛添要一東京都知事が政治資金で泊まったスパホテルだ。千葉県木更津市にある」
「言葉で相手をねじふせるのは舛添氏がもっとも得意としてきたことだ。それが今回はことごとく裏目に出る。問題とされた支出の釈明には、およそ誠実さが感じられなかった。能弁でならした知事はすでに龍宮の海でおぼれている。政治の言葉の「信義」を見失ったせいだろう」

▽毎日・余録
(オーランド乱射事件)
(http://mainichi.jp/articles/20160614/ddm/001/070/192000c)

「人が他人に対し攻撃的になるのは欲求不満や不快な感情の表れだが、それだけで実際に攻撃に踏み切るのではない。攻撃行動はその手がかりとなる刺激によって起こるという「攻撃手がかり説」を唱えたのは米心理学者バーコビッツだった▲バーコビッツが行った実験では、欲求不満状況に置かれた人の攻撃性を明らかに高めたのは目の前に銃が置かれた環境だった。銃はそれが目に入るだけで攻撃を押しとどめてきた心の歯止めを取り払い、人を暴力の迷路へと誘い込むあやしいオーラを放つものらしい▲そういうことは十分すぎるほど知り、経験してきた米国社会のはずである。4人以上が死傷した銃発砲事件は今年だけで136件にのぼる。その国にあって、「史上最悪」という乱射事件が起こってしまった。フロリダ州オーランドでのナイトクラブ襲撃事件である▲射殺された容疑者は犯行声明のあった過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を示していた。またクラブは同性愛者が集まる店だったことから、米国内のヘイトクライム(憎悪犯罪)としての性格もあろう。一匹オオカミ型テロとしてもかつてないパターンである▲鬱屈した憎悪を犯行へ駆り立てた「手がかり」は一つに銃社会という環境、もう一つはISによるテロ扇動という刺激だろう。この事件でオバマ大統領は改めて銃規制を訴えたが、一方でトランプ氏のようにイスラム教徒への差別を正当化しようという反応も現れた▲平和な日常に突然口を開けて人命をのみ込む暴力の「手がかり」を減らすのか、それとも増やすのか。事件が照らし出したのは分かれ道に立つ米国社会だ」

▽日経・春秋
(オーランド乱射事件/イギリスEU離脱問題)

「人の体から摘出された、という銃弾を見たことがある。殺傷力が高いタイプと説明を受けた。間近で見ると、細身のたばこのフィルターほどの大きさで、意外にもきゃしゃな印象なのだった。引き金の操作だけで、瞬時に人命を奪う武器の怖さが、じわりと迫ってきた」
「トランプ氏は「イスラム教徒の入国規制」を改めて訴えた。銃規制に反対の立場だ。2億7000万丁を市民が所持する国は巨大な火薬庫同然にみえる。事件は英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる国民投票で「移民に仕事を奪われる」と訴える離脱派を勢いづかせる可能性がある。銃口が世を動かすとは何とも心が重い」

▽産経・産経抄
(オーランド乱射事件)
(http://www.sankei.com/column/news/160614/clm1606140003-n1.html)

「米議会で1934年に制定された連邦銃器法のきっかけとなったのは、当時のギャング団の存在である。マシンガンをぶっ放し、血なまぐさい抗争を繰り広げていた。
 ▼クリントン政権下では、新たな銃の規制法「ブレイディ法」が生まれる。81年のレーガン大統領暗殺未遂事件で重傷を負った、報道官の名前が付けられた。しかしその後、「銃なき社会」への動きは止まってしまう。
 ▼銃の所持は、憲法で認められている。自分の身を自分で守る。憲法と文化が、銃規制の必要性を訴えるオバマ大統領の前に立ちふさがった。皮肉なことに、深刻な銃犯罪が発生するたびに、銃の売り上げが伸びている。先週末、とうとう最悪の事態を迎えた。フロリダ州オーランドのナイトクラブで起きた銃乱射事件で、死者は49人に達した。犯人の男は、警察特殊部隊によって射殺された。
 ▼事件は、大統領選にも大きな影響を与えそうだ。とりわけ共和党のトランプ氏の鼻息が荒い。「イスラム教徒の米国への入国を一時的に禁止する」。かつて物議を醸した自分の発言の正しさが、裏付けられたと主張する。米国生まれの犯人は、アフガニスタン出身の両親のもとで育った。警察にかけた電話には、過激組織「イスラム国」(IS)への忠誠を誓う発言があった。ISも事実上の犯行声明を出している。
 ▼昨年12月にカリフォルニア州で14人が亡くなった銃乱射事件も、ISに関連していた。「人を殺すのは人であって、銃ではない」。トランプ氏を支持する、全米ライフル協会のスローガンも後押しする。
 ▼いや、テロを招いているのは、簡単に銃が手に入る社会の構造である。世界をリードしてきた国で、なぜこんな単純な理屈が通用しないのか。」

▽東京・筆洗
(オーランド乱射事件)
(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016061402000124.html)

「「荒野の用心棒」などの映画音楽の巨匠、エンニオ・モリコーネさんの元に一本の仕事が舞い込んだ▼当時、大物女優に頼まれていた仕事があったので、断ると脚本を読んでくれとしつこい。一応読んだ。断ることにした。断ったのは大物の仕事の方だった。こうしてイタリア映画「ニュー・シネマ・パラダイス」(一九八八年)の音楽を担当することになった▼脚本を読んだだけで作品の良さが分かったという。<素晴らしいのはキスを通して映画の歴史を語ろうというアイデアだった>。筋は明かさないが、ラストは過去の映画作品のあまたのキスシーンによって編集されている。キスに次ぐキス。またキス。見ているだけで温かい物のおすそ分けにあずかり、人間の営みとは必ずしも悪いことばかりではないと信じたくなる▼キスシーンが引き金になった可能性があると聞き、沈黙する。四十九人が死亡した米フロリダ州の乱射事件である。同性愛者に人気のクラブが標的になった▼容疑者は数カ月前、男性同士がキスをする光景を見て激怒していたという証言がある。「偏見」という歪んだ眼鏡で見れば、情愛あふれる光景にさえ憎悪をかき立てられるのか▼銃を置く。当然とはいえ、その前にできるのはその眼鏡を捨てることであろう。人がキスしている。そのまま見る。尊く、温かく、切ない姿しか映らぬはずである」

 真っ二つの競作になったのは極めて珍しい。
 舛添問題を読売と朝日が選び、オーランド乱射事件を毎日、日経、産経、東京が書いた。
ただ内容は総じて低調で、いかにも新聞的なコラムの枠内を出ない。
 印象に残ったのは産経のストレートな怒りと、読売の「前」という不気味な予言(?)だろうか。特に後者は積極的に舛添批判を繰り広げており、首を取ったという印象さえ受ける。

2016年6月13日

【完全無料記事】5回きのうのスポ新〈ベッキー円楽謝罪〉6月11日

1men2016-06-13 1.02.19

 6月11日(土)のスポーツ新聞の1面、社会面、芸能面のトップニュースを紹介する。

■――――――――――――――――――――
【写真】ベッキーオフィシャルウェブサイトより
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【1面見出し】
▽日刊スポーツ(約196万部)
「8回0封41日ぶり5勝 コイ党の記憶に 刻む年になる 黒田 M2 日米200勝 25年ぶり優勝まで連れて行く」
▽スポーツニッポン(約171万部)
「オコエ衝撃 黒田 「凄くボールが動いていた。見たことない」 ファミスタみたいな変化球!! 貫禄5勝 宝刀ツーシームで23歳差対決制した 8回無失点41日ぶり笑顔 200勝 あと2」
▽サンケイスポーツ(約136万部)
「9年ぶり杜の都で快投 41日ぶり5勝 米最多安打あと「5」イチとW快挙だ 日米通算200勝あと「2」」
▽スポーツ報知(約135万部)
「ソフトの重圧 菅野力尽く 自己ワースト5四球も 踏ん張って踏ん張って… 8回決勝犠打献上 「普通の120球と今日の120球は違うなと」」
▽デイリースポーツ(約99万部)
「広島と5.5差 デッドライン近づいても前向き 逆襲予感!! サヨナラ5連敗でも!! 金本監督 「殻破った」 八回、一時逆転の打線に手応え」
▽東京中日スポーツ(=)
「クローザー発のイニングまたぎ 延長12回サヨナラ 田島今季初黒星 悔しいッ」

【社会】
▽日刊スポーツ(約196万部)
「書道用中国服また珍理由 舛添都知事 柔道のせい 「肩の筋肉がものすごく張っていて背広は引っかかる」 購入状況説明もツルッと変化 5月20日「記憶にない」 この日は「鮮明に憶えている」」
▽スポーツニッポン(約171万部)
「人食いグマか 射殺 秋田の山林 4人目遺体も発見 不明74歳女性 損傷激しく」
▽サンケイスポーツ(約136万部)
「出世作ヒーローのフィギュア〝同席〟「ゴジラも応援してくれる」 7月参院選 82歳!! 初出馬 怒り新党こと「国民怒りの声」から比例で 宝田明」
▽スポーツ報知(約135万部)
「鳥取砂丘 42×25㍍ 落書き 名所「馬の背」 水森「胸痛い」 砂丘条例違反 学生4人組「のぶ」 カナダ人カップル「♡※」足で掘り口頭注意」

【芸能】
▽日刊スポーツ(約196万部)
「錦糸町ラブホ40代と〝昇天〟不倫認めた オチ着き謝罪 円楽 座布団1枚!」
▽スポーツニッポン(約171万部)
「晴れ晴れベッキー 「ゼロから頑張りたい 人を傷つけない 恋愛をしたい」 次のレギュラー復帰は深夜放送「パイセンTV」最有力」
▽サンケイスポーツ(約136万部)
「レギュラー復帰 156日ぶり会見 川谷とは「もう会わない」 ゲス完全卒業 笑ったベッキー」
▽スポーツ報知(約135万部)
「「今後は人を傷つけない恋愛を」 「優等生キャラ」変えない ベッキー 156日ぶり公の場 改めて不倫謝罪」
▽デイリースポーツ(約99万部)
「ウソも反省 10分間で「申し訳ない」×7 ゲス不倫 「軽率でした」 ベッキー 「ゼロから頑張りたい」 「人を傷つけない恋愛をしたい。約束します」」
▽東京中日スポーツ(=)
「5カ月ぶり本格復帰 「ゼロから」再起誓った ベッキー 人を傷つけない恋愛したい 金スマ出演「配慮足りなかった」」

2016年6月12日

【完全無料記事】104回きのうの1面〈待機児童〉6月11日一般紙

1men2016-06-12 23.44.43

 6月11日朝刊のテレビ欄で、朝の情報番組は次のような内容紹介となっていた。

▽おはよう日本(NHK)
・サッカー欧州選手権 厳戒下で開幕
・広げたい「子ども用車椅子」
・見頃! 花しょうぶ園東京
・〝ご当地〟体操
・味自慢! 梅干し・群馬

▽ウェークアップ!ぷらす(日本テレビ)
・舛添都知事 なぜ自ら説明しない? 来週山場の集中審議へ
・専門医に聞く乳がん
・どうなる米大統領選

▽週刊ニュースリーダー(テレビ朝日)
・「気になる人物10」
・海老蔵妻乳がん公表
・舛添知事追求1週間
・不倫ファンキー加藤…円楽も…ベッキーは
・猪木VSアリ激闘

▽サタデープラス(TBS)
・小林麻央さん進行性乳がん 家族ができることとは?
・高橋英樹&真麻親子の健康法に名医激怒!?

▽めざましどようび(フジテレビ)
・小林麻央進行性乳がん
・外国人記者に聞いた舛添知事会見の不思議
・ベッキー&円楽会見
・竹内結子の素顔公開
・思い出の月9主題歌
・新宿絶品和スイーツ

 では新聞はどうだったのか。2016年6月11日付(土曜日)の日経を含む一般紙の見出しを見てみよう。

■――――――――――――――――――――
【購読記事の文字数】約4100字
【写真】杉並区公式サイト「待機児童解消緊急対策」
(http://www.city.suginami.tokyo.jp/hoikukinkyu/)より
■――――――――――――――――――――

【1面見出し】
▽読売新聞(約926万部)
「30年以内 6弱以上 南海トラフ沿い 確率増 高知73% 静岡68% 「適切なリスク伝達 課題」(科学部 笹本貴子)」
▽朝日新聞(約710万部)
「待機児童数 高止まり 本社調査 80自治体に1.4万人 保育基準緩和「応じる」ゼロ」
▽毎日新聞(約329万部)
「認可外利用補助 広がる 保育所 33自治体実施 23区・政令市調査」
▽日経新聞(約275万部)
「日本マイナス0.155% 独も最低 長期金利 世界で低下 成長期待しぼむ 投資意欲低く 緩和頼み 回らぬ歯車」
▽産経新聞(約161万部)
「介護ロボ導入 報酬加算 30年度改定 職員不足に対応 AI活用で市場創出」
▽東京新聞(約51万部)
「大学生「母は生活保護 修学旅行も行けず」 世代越え 広がる格差」

 テレビは海老蔵・麻央と舛添都知事の〝2本立て〟だが、新聞は朝日と毎日が保育園の問題で競作となり、他もバラエティ豊かな顔ぶれとなった。
 読売の記事自体は読ませるし、重要性も高いと思うが、解説がぴんと来なかった。

【コラム】
▽読売・編集手帳
(お坊さん便が騒動に)

「ネーミングの心得のひとつに「足し算効果」がある。言葉をうまく足し合わせることで、名づける商品のイメージを高める造語法を言う」
「「宗教行為の商品化だ」という反発には、料金設定の問題に加えてその名称も影響していよう。仏教の精神を軽んじているように思えるのかも知れない◆同様のサービスが広がりつつある。僧侶の派遣登録も、利用者も増えているという。人口減少による寺院の運営難、そして人々の寺離れ。騒動はさておき、ネーミングからみえてくる仏教の現実と向き合うのも意味があろう」

▽朝日・天声人語
(長野県松本市の「30・10」運動は世界的な普遍性があると思う)

「長野県松本市の職員の懇親会には席を立ってお酌をして回ることを禁じる時間帯がある。乾杯に続く冒頭の30分間とお開き前の10分間だ。各人が自席でしっかり料理を食べる時間とされた。30・10(さんまる・いちまる)運動と呼ばれる」
「いま世界では9人に1人が飢餓に苦しむ一方、年間約13億㌧もの食品が食べられずに捨てられる。フランスでは今年、大型スーパーによる食品廃棄が規制された。中国は、完食して皿をピカピカにする「光盤」運動を提唱している。日本は信州発の「30・10」運動を国内外に広められないだろうか。宴会版、家庭版ともに異文化圏でも通じる普遍性があると思うが、どうだろう」

▽毎日・余録
(秋田県鹿角市で、熊に襲われたと見られる3人が亡くなった)
(http://mainichi.jp/articles/20160611/ddm/001/070/135000c)

「春先の猟に出る秋田のマタギ(狩人)の間では「チシマザサが起きたらミズナダレに気をつけろ」といわれた。チシマザサはこの辺の山で群落をなす大型のササ。雪が緩んで埋まっていたササが起きると、水分の多い雪崩が起こるという▲遠藤ケイ著「熊を殺すと雨が降る」(ちくま文庫)から引かせてもらったが、そのチシマザサは一名ネマガリダケと呼ばれ、5〜6月に生えるタケノコが人気の山菜になる。アクが少なく、焼いても汁や煮物にしてもおいしい。市場価格は1キロ1000円程度らしい▲この季節、人々は見通しのきかぬササやぶでタケノコ採りに熱中するが、大きな危険もある。ツキノワグマもネマガリダケが大好物で、こちらも夢中で食べていると人の気配に気づかない。突然はち合わせしかねないのだ▲クマに襲われたと見られる3人が亡くなった秋田県鹿角市の山林で、またもクマの被害にあったらしい遺体が見つかった。山菜採りに出ていた70代の女性であった。今までも数年に1度はクマの犠牲者が出ている同県だが、これほど惨事が続いたのは異常事態である▲専門家は同じクマの仕業ならば、人を恐れなくなり鈴音などのクマよけ対策が通用しない可能性もあるという。付近ではきのうクマ1頭が駆除されたが、そのクマなのかどうか。山菜採りに慣れた地元の方もどうか例年と様子の違う危険を軽視しないでいただきたい▲昨年のドングリの豊作で子グマの出産が増え、東北地方ではクマの出没が増えている。めぐる季節の中、クマと人の営みの不幸なはち合わせはできる限り防ぎたい。知恵は人がこらすしかないだろう」

▽日経・春秋
(舛添都知事政治資金問題/関東大震災)

「「山椒魚」などで知られる作家の井伏鱒二は25歳の時、東京・早稲田で関東大震災に遭った。正午前に大きく揺れだし、都心や下町が三日三晩燃えるさまを、近くの球場からなすすべもなく見たと回想する」
「「自然ほど伝統に忠実なおのはない」(寺田寅彦)。想定したくはないが、安政、大正に続き首都はいつか大地震に襲われる。しかし、現状だと都民は、公私の区別を破り、細かな損得に執着するトップの判断に復興に向けあおぐことになる。週末の別荘通いはもうなかろうが、非常時のリスク要因が都知事とは情けない」

▽産経・産経抄
(民進党の岡田代表は安全保障問題を何も分かっていない)
(http://www.sankei.com/column/news/160611/clm1606110004-n1.html)

「「そうなれば中国は軍艦を出す」。平成19年11月、東シナ海のガス田共同開発をめぐる日中局長級協議で、日本側がガス田試掘を示唆すると、中国側はこうあからさまに恫喝してきた。当時、小紙はこの事実を1面で報じたが、他紙は関心が薄いのか後追いをしなかった。時の福田康夫首相は親中派で鳴らしていた。
 ▼あれから8年余が過ぎた9日未明、中国の軍艦はとうとう尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の日本領海に隣接する接続水域に姿を現した。一触即発、不測の事態を招きかねない暴挙である。
 ▼「中国が、初めて軍艦を接続水域へ侵入させたことは、わが国の安全保障上『新たな段階』に入ったと考えざるを得ない」。民進党「次の内閣」の長島昭久ネクスト外相らは9日、談話を発表し、政府に引き続き警戒監視や関係各国との緊密な連携を求めた。その認識は正しい。
 ▼岡田克也代表もこの日、記者会見を開いて「危機感を国民は持っていただきたい」と呼びかけた。さすがに中国の脅威を前にしては、与野党もないかと思いきや、その期待は裏切られた。岡田氏が強調した内容は「安倍晋三首相は憲法9条の改正を考えている」だった。
 ▼折しも民進党など野党4党の幹部は、「市民連合」と安全保障関連法廃止などの政策協定で合意したばかりである。民進党自身も認める「新たな段階」に突入した安全保障環境下で、どうして日米同盟の弱体化や、自衛隊を違憲状態にとどめる9条の墨守を訴えるのか理解に苦しむ。
 ▼岡田氏は永田町で、一度こうと定めたらぶれず信頼できると評価される半面、官僚出身らしく「理路整然と間違う」と揶揄する声もある。ほかのことならともかく、こと安全保障で間違うと取り返しがつかない」

▽東京・筆洗
(この春、新たに始めた趣味は、ぬか漬けだ)
(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016061102000143.html)

「この春、新たに始めた趣味がある。ぬか漬けだ。家事ではなく、あくまでも趣味である。家事と思えば、毎日ぬか床を手入れするのが、苦になりがちだ。だが趣味となれば、手がかかるのが逆に楽しい、というわけだ▼日々かきまぜつつ、ぬか床が健康に育っているのを手で感じる。そこに何を漬けるか。キュウリにカブ、ナスにミョウガ…。<漬けるものは何だっていい/きみの時間を漬けてみるといいよ>と書いたのは、故・長田弘さんだ▼「ぬかみその漬けかた」と題した詩で、長田さんは<ぬかみそは毎日ってことが大切なんだ/日に一ど手を突っこんで掻(か)きまわすんだ/…酸っぱくなってきたら、重曹を一つまみ/こころのカケラを二ツ三ツ混ぜてやる>と綴った▼大手漬物メーカーでぬか床を研究する小野浩さん(35)によると、そうして育まれたぬかみそには、一グラムの中にも億単位の乳酸菌と数百万もの酵母がいる。微生物たちの複雑な共生が妙味を生み出してくれるのだ▼長田さんの詩は続く。<孤独な生きもののように/冷たくて暗いところがぬかみそは好きだ/急いではいけない/ぬかみそを漬けるとわかる/毎日がゆっくりとちがってみえる/手がはっきりとみえる>▼さてこの週末は何を漬けるか。小野さんのおすすめは、アボカド。ぬか床に<こころのカケラを二ツ三ツ>加え、アボカドを漬けてみようか」

 コラムもばらばら。中でも東京はひどい。こんなつまらない文章を書き散らして給料がもらえるのだから、さぞかし良い会社に違いない。

【完全無料記事】103回きのうの1面〈TVは麻央〉6月10日一般紙

1men2016-06-12 20.22.17

 6月10日(金)朝刊のテレビ欄で、朝の情報番組は次のような内容紹介となっていた。

▽あさイチ(NHK)
・①朝ドラで人気! 坂口健太郎
  感動シーン秘話が続々 高畑充希&木村多江が素顔激白
・②注目! 手塚マンガ

▽スッキリ!!(日本テレビ)
・小林麻央乳がん…海老蔵が会見
・①悲しみの1年8カ月 家族の絆を告白
・②密着映像…闘病中に語った息子への愛
・③深刻病状 進行性の治療法とは?
・どうなる? 舛添知事進退…集中審議の内容

▽羽鳥モーニングショー(テレビ朝日)
・海老蔵会見
・①麻央さん乳がん33歳でスピード早く発見
・②人間ドック発見で途方に暮れた…子供2人は
・サミット28億円かけた建物解体

▽白熱ライブ・ビビッド(TBS)
・海老蔵さん会見で公表 麻央の乳がん「深刻」
・①人間ドックで…判明 市川宗家に再び病魔が
・②ブログの写真に変化 闘病600日と家族の絆

▽とくダネ!(フジテレビ)
・闘病生活 小林麻央33歳乳がん
・①海老蔵が心境告白…「私は途方に暮れた」
・②発見から1年8カ月 進行性で病状「深刻」
・③子供2人を支えて…

 では新聞はどうだったのか。2016年6月10日付(金曜日)の日経を含む一般紙の見出しを見てみよう。

■――――――――――――――――――――
【写真】大修館書店の公式サイト
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【1面見出し】
▽読売新聞(約926万部)
「教科書採択で問題集提供 大修館書店 14高校に無償で 今年3〜4月 業界団体禁止 文科省、調査求める」
▽朝日新聞(約710万部)
「仮想通貨 来秋一般向けに 三菱東京UFJ 大手銀で初 「送金」手数料割安」
▽毎日新聞(約329万部)
「「朝鮮人捕虜」米調書発見 日本支配の苛酷さ記録 米公文書館 「慰安婦は身売りと認識」 解説「民族・女性差別の深刻さ浮き彫り」岸俊光」
▽日経新聞(約275万部)
「株で役員報酬 広がる 中長期の業績で評価 伊藤忠やリクルート、230社」
▽産経新聞(約161万部)
「中国軍艦、尖閣諸島接続水域で初確認 露軍艦も入域 NSC対応協議 」
▽東京新聞(約51万部)
「4つの争点 見極める 参院選まで1カ月 1人区焦点 与野党が総力 くらし・アベノミクス 安保法制 原発 憲法 「日本を考える機会」政治部長 金井辰樹 シールズ活動もあと1カ月 奧田さん 今の思いは?」

 読売が独走と言っていい教科書問題だが、本当にテレビなどは後を追わない。何が理由なのだろうか。
 我々、普通の〝市民〟にとって興味のあるニュースは朝日と産経だろう。だが、産経はテレビもやっている。そして朝日の記事の弱点は、結局は三菱東京UFJ銀行の宣伝だということだが、それは酷だろう。

【コラム】
▽読売・編集手帳
(舛添都知事政治資金問題)

「ケチだてえと、まだまだ愛嬌がありますな。自分の持っているものをなるべく外に出すまいという気持ちだけですみますから。欲張りになるってえと、それだけではすまない。人の持っているものまで欲しくなったりする…◆落語「夢金」で古今亭志ん朝が語ったマクラを思い出しつつ考えた。舛添洋一さんは、どっちだろう、と」
「実施の決まった集中審議で似た説明を繰り返せば、怒りに駆られて桟敷を埋めている人々からも、茶番と見限られよう◆欲しいという気持ちが募ってくるってえと、道ならないことをやっちまう。こういう方は人が付き合ってくれない…。これも志ん生のマクラにある」

▽朝日・天声人語
(6月10日は時の記念日)

「部屋には時計でなく、砂時計を置きたい。静かで安らかな気持ちになるからだと、ドイツの作家ユンガーが『砂時計の書』で書いている。機械時計にしばられない贅沢さを、作家はたたえた」
「きょうは「時の記念日」。7世紀に日本で初めて水時計が使われたとの説による。流れ出た水の量で時間を計る牧歌的な時代から、ずいぶん遠いところまで来た。せめて気持ちが落ち着くのかどうか、砂時計を試すくらいはしてみようか」

▽毎日・余録
(ニホニウム)
(http://mainichi.jp/articles/20160610/ddm/001/070/160000c)

「ほんの一瞬を表す「刹那」は仏教語で、時間の最小単位をいう。勇者が指をはじく間に65刹那を数えるというが、より正確な定義には1日の648万分の1、つまり75分の1秒というのがある▲一切のものはこの1刹那ごとに生と滅とをくり返しているという考え方が「刹那生滅」だそうな。だが、この世にはさらに短い1000分の2秒の間に生まれ、滅する元素もある。しかも9年間くり返した実験で合成できたのはわずか3個という113番元素だった▲理化学研究所の森田浩介グループディレクターらが合成した原子番号113番元素の名称は「ニホニウム」になる見通しとなった。むろん日本生まれの新元素だからで、元素記号は「Nh」、正式決定後は教科書の元素周期表にこの名称と記号が掲載されることになる▲日本橋は東京では「にほんばし」、大阪は「にっぽんばし」。当然候補になるべき「ニッポニウム」はかつて小川正孝博士が発見したとされた43番元素名に用いられ、後に誤りと判明して再使用が禁じられていた。ただその元素記号「Np」は後年別の元素に使われる▲天然で最も重い92番元素ウランの次の93番ネプツニウムで、人類初の人工元素である。このネプツニウムも日本の仁科芳雄博士が合成していながら、発見には至らなかった元素として知られる。ニホニウムを生んだ超ウラン元素の合成・発見競争はそこから始まった▲すでに118番元素に達したこの競争だが、日本も含む各国はますます短命な119、120番元素の探索に向かっている。何やら人類の知の「業」を思わせないでもない先端科学の「刹那生滅」だ」

▽日経・春秋
(ニホニウム)

「ポンバシ、と関西の若い人たちは呼ぶそうだ。電気街として知られ、昨今はオタク文化の発信地となった大阪の日本橋のことである。ニッポンのポンの音の小気味よさあっての短縮語だろう。同じ日本橋でも東京の場合は「にほんばし」だから、こうは軽快に略せない」
「かたや有力候補とされた「ジャパニウム」は「ジャップ」を連想させるとの声もあり、見送られたという。
▼そんな経緯はともかく、これはこれで肩肘はったところがなくて良い響きではないか。地道な基礎科学の研究成果を示す発見には、ポン、ポンと勇ましい国威発揚ムードよりも落ち着いたニホンのほうが似合っているかもしれない。高校時代に苦労させられた覚えのある周期表を眺めつつ、113番ニホニウムに愛を贈る」

▽産経・産経抄
(ニホニウム/周期表のメンデレーエフと日本の奇縁)
(http://www.sankei.com/column/news/160610/clm1606100003-n1.html)

「中学や高校の化学の授業といえば、「水兵リーベ僕の船」と覚えた元素の周期表が思い浮かぶ。考案したのは、ロシアの化学者、メンデレーエフである。1869年だった。
 ▼メンデレーエフはまた、新しい元素が次々に見つかる、との予言も残した。理化学研究所のチームが、アジアで初めて発見した新元素もその一つである。原子番号113番元素の命名権を得て、「ニホニウム」の案が示された。
 ▼日本とロシアの化学史にくわしい梶雅範さんによると、メンデレーエフと日本の間には、浅からぬ因縁がある(『メンデレーエフ』東洋書店)。1891年にロシア皇太子が来日したとき、メンデレーエフの長男も海軍士官として、一行に加わっていた。
 ▼皇太子が沿道警備の巡査に切りつけられた大津事件では、現場の写真を撮影している。長男が乗船する戦艦は長崎に5回寄港し、計78日間停泊した。その間、長男はタカという日本人女性と深い仲となり、娘が生まれた。
 ▼メンデレーエフは、33歳で病死した長男に代わって、タカに養育費を送り続けた。サンクトペテルブルクにあるメンデレーエフ博物館には、タカからの2通の手紙と同封されていた母娘の写真が残っている。ただ、二人のその後の消息は、梶さんもたどれなかった。
 ▼晩年になって社会啓蒙書を執筆中、日露戦争に遭遇する。ロシアの敗戦など夢想だにしないメンデレーエフは、日本人をこきおろす。「本質的に独創性に欠けこれまで世界に何の貢献もしなかった」。理化学研究所のチームは今回、新元素の発見をめぐって、ロシアと米国の共同研究チームと競い合い、退けた。泉下のメンデレーエフは、日本の科学史に残る快挙をほめてくれるだろうか」

▽東京・筆洗
(ニホニウム)
(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016061002000138.html)

「「新元素の発見とは、何か実社会に活用される一大事なんですか」。東北大学の初代総長・沢柳政太郎は、新元素「ニッポニウム」の発見者として名声を博していた小川正孝(一八六五~一九三〇年)に、そう尋ねたことがあったという▼後に自らも東北大総長となる博士は笑いつつ、答えたそうだ。「いや、新元素発見も、つまるところ、煮ても焼いても食えないものですな。まるで沢柳総長の存在のようなものですなあ」▼そのニッポニウムは、幻と消えた。博士は確かに新元素を発見していた。だが、それは43番ではなく75番で既にレニウムと命名されていた。そう分かった年、博士は実験室で倒れ、逝去したという(吉原賢二著『科学に魅せられた日本人』)▼それから八十六年。森田浩介さんら日本の研究チームが見つけた新元素の名称案が「ニホニウム」になったという。膨大な時間を費やして生成しても、千分の二秒しか存在できぬ新元素だ▼それが何の役に立つのか? そう問われた森田さんは「日常生活に役立つとの意味合いでとらえるのであれば、役に立たないです」と断った上で、「科学に興味を持つ子が少しでも増えてくれれば、元素を発見し、周期表に一席を占めた意味というのは、計り知れないほど大きいと思います」▼泉下の小川博士も笑いながら、森田さんの名答に拍手を送っていることだろう」

 毎日、日経、産経、東京がニホニウムを選び、読売と朝日は追随(?)しなかった。この組み合わせは、かなり珍しい。
 朝日はニホニウムを選ばず、「きょうは何の日」というルーティーンとし、読売は舛添批判を題材とした。どちらも首をひねる選択だが、読売の場合は「わざわざ選んだ」のだとしたら怖い。いつかは分からないが、舛添氏が辞任に追い込まれることが確定したのかもしれない。

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