2017年1月19日

【無料記事】LIXIL「ディンプルキー」は「複成可能」の恐怖

LIXIL2017-01-18 17.24.29

 東京の豊島区で1人暮らしをする20代のA子さんは、都内の新聞社に勤務している。職場は社会部だが、記者ではない。事務を担当している。

 そんなA子さんは先日、恐怖で顔が真っ青になってしまった。自宅に誰かが勝手に侵入した形跡を見つけたのだ。息を詰めながら部屋の中を調べてみると、どうやら犯人は地方の実家に暮らす母親らしい。

 安堵したとはいえ、その分怒りは強くなる。母親に電話をかけて問い詰めると、母親は上京した折に、こっそりと立ち寄ったことを認めた。

 親子でもプライバシーは存在する。男の影でも探そうとしたのか──更に問い詰めようと思ったが、急にどうでもよくなった。頭の中が疑問で膨れ上がったからだ。

 セキュリティがしっかりしているからと、「ディンプルキー」という「絶対に複成不可能」という玄関鍵の物件をわざわざ選んだはずなのだ。一体、どうやって母親は自分の家に侵入したのだろうか──?

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【筆者】田中広美(ジャーナリスト)
【写真】LIXIL公式サイト「玄関まわり」より
http://www.lixil.co.jp/lineup/entrance/
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 思い返してみると、東京を観光すると母親が前に上京してきた時、自宅の鍵を預けたことはあった。その際、母親は合鍵屋に向かったとしか考えられない。とはいえディンプルキーは絶対に複成できないことが最大のセールスポイントなのだ。

 だが現実は、母親のような人間にも簡単に、自分の承諾を得ず、知らない間に合鍵を作れてしまった。謎は深まるばかりだ。

 母親を問い詰めると、近所の合鍵屋で簡単に注文できたと答える。だが合鍵屋に問い合わせても、「鍵をなくした方への特別サービスのつもりでした」などと、のらりくらりと答えをかわしてしまう。

 そこでA子さんは玄関ドアの製造元であるLIXIL(東京都千代田区霞が関)に問い合わせてみることにしたのだが……。

 A子さんが憤って言う。

「インターネットで問合せ先を調べると、『玄関ドア・引戸』の項目があり、クリックするとフリーダイヤルの番号が記載されていました。ところが電話をかけると、札幌のコールセンターが対応するのですが、具体的な話は何も行われません。ソフトバンクやアマゾンの対応と非常に似ていましたが、LIXILを含めた3社は、とにかく時間を稼いで、こちらの根負けを狙うという作戦を採用しているんじゃないでしょうか」

 札幌のコールセンターに対し、1つだけ同情できるポイントがあるとすれば、「ディンプルキーの複成問題」は、とてもではないが対応できる案件ではなかったということだろう。

 だが、それだからこそ、本社の人間を呼び出すなり、少なくとも上司に代わるとか、打つ手はあったはずだ。なのに全く何もしないのは、読者の皆さまも同じような経験をされたかもしれない。

 遂に業を煮やしたA子さんは、コールセンターの担当者を怒鳴りつけた。

「いつまでも門前払いをするのなら、こちらにも考えがあります。まずは、この録音を上司に聞かせて下さい。そして広報担当者に、私へ電話させて下さい」

 そしてA子さんは、自分の勤務先である新聞社の社名も付け加えた。あまり趣味のよくない方法だとは、もちろんA子さんも自覚している。だが、その後のLIXIL側の対応は、呆れるほどスピーディーだった。「マツモト」(一応は仮名)と名乗る広報担当者が、A子さんに電話をかけてきたのだ。

「仰るとおり、ディンプルキーは基本的に、複成はできないことになっています。ですがドアの内側に番号が書いてありまして、この番号をLIXILに発注下されば、同じ鍵が入手できる仕組みになっております」

 確かに鍵を紛失した場合、鍵そのものを交換しなければ自宅に入れないという条件は厳しすぎる。「極秘のバックアップ」として、合鍵を作れる方法も用意しておくことに越したことはないのかもしれない。

 とはいえ、その番号が扉の内側=室内側に、小さなシールなどで貼っているのならまだ分かる。

 だが「マツモト」(仮名)は、ドアの横──つまり扉の厚みがある部分で、鍵の機構が内臓され、ロックすれば閂がにょっきりと飛び出したりするところ──に番号が書いてあると説明する。

 原点に戻れば、A子さんの母親はディンプルキーを合鍵屋に持っていったが、店員に「扉の横に番号が書いてあるはずなので、それを教えてくれますか」と訊かれたのだろう。

 母親はA子さんの家に戻り、ドアを明けて番号をチェックして、そして見事にLIXIL純正の合鍵を手に入れたというわけだ。

 これがセキュリティ上、大問題であることは論を俟たない。だが、「マツモト」(仮名)の口調は非常に呑気なものだ。再びA子さんの怒りは頂点に達した。

「だったら鍵のことを知り抜いている工事関係者だけでなく、宅配便の人だって、ドアの横をチェックすれば、ディンプルキーの番号を把握し、合鍵を作ることができるということなんですか!?」

 マツモト氏は、直ぐに白旗を掲げた。

「そういうことにはなってしまいます。ですが、基本的には悪意、悪用はないということを前提として運用しておりまして……」

 A子は呆れて言う。

「複成できない鍵、に嘘はないかもしれません。でも簡単に第三者が同じ鍵を発注できるんですよね。どこが防犯性の高い鍵ですか。むしろ普通の鍵よりタチが悪いですよ」

 マツモト氏は、いけしゃあしゃあと続ける。

「ご承知の通り、合併してから、このようなかたちになってしまって。ご指摘の通りかもしれません。内部の声もいささか通りにくくなっておりまして」

 全く悪びれるところのない口調に、A子さんは〝最終通告〟を突き付けた。

「そちらも録音しているそうですが、私もICレコーダーで、この会話を録音させてもらっています。こんなにひどい対応を続けられるなら、インターネットで公開に踏み切らざるを得ません」

 だが、マツモト氏は全く動じなかった。

「ええ、かまいません。どうぞどうぞ」

 あの「東芝クレーマー事件」の発生は1999年。

 他山の石とし、企業側の横柄な応対は減少したはずだ。ところがLIXILは違うようだ。何の危機感もなく、マツモト氏は気楽な口調で「どうぞどうぞ」を繰り返す。A子さんの耳には「どーぞどーぞ」と聞こえたそうだ。

 A子さんが「株価に影響を及ばさなければ、私の話はとるに足らないとでも思っているのですか?」と厭味を言うと、マツモト氏は電話の向こうで呟いた。

「本当は活字になったりする前に、どこにどのような記事が載るのか、教えて頂ければありがたいんですが……」

 暖簾に腕押しとは、まさにこのことだろう。マツモト氏は女性をストーキングしている変質者が、ターゲットの自宅ドアを開ける手段を得られる、ということに対する想像力もなければ、危機感もないのだ。

 マツモト氏は言い訳のように「本人確認をやっております」とは言う。だが、母親が勝手に合鍵を作ったことを目の当たりにしたA子さんは、全く信じることができない。合鍵屋はA子さんの許諾を求めることはなかったからだ。

 呆れるほどのザル対応だが、更に大問題がある。

 合鍵屋は「本人確認」のため、母親にA子さんの自宅住所を訊き、記録に残しているのだ。鍵の番号と住所が一致すれば、更に危険性は高まることになる。

 鍵屋の経営者は善人かもしれない。

 だが従業員が未来永劫、悪人は1人も雇用しないと断言できるはずもない。パソコンに記録しておけば、ハッキングで流出してしまうかもしれない。何たるザルシステム、いや、無能極まりない「本人確認」だろうか。

 ことはA子さんの住む豊島区にとどまらない。ディンプルキーは複成できない防犯機能が最大のセールスポイントだ。都内に限らず、全国各地の高級住宅街で、採用率が非常に高いという。住宅会社の担当者が明かす。

「施工、設置の段階で、現場は不特定の作業員や職人、そして住宅会社の社員が出入りします。1人でも悪意を持った人間がいればどうなるか、言うまでもありません。取り寄せた複成キーを使い、留守を狙って、密かに侵入することが可能です。それも堂々と、玄関から入るのです」

 そして、この担当者は「こうした危険性を、LIXIL内部が把握していないとは考えにくい」──と付け加える。

 LIXILは「トステム」「INAX」「新日軽」「サンウエーブ」「TOEX」という部材分野の異なる各企業が、単に規模の追及と、売上高の嵩増しを目指した果ての合従連衡劇によって誕生した。

 マツモト氏が認めたように、ユーザーや現場の声を開発スタッフに届ける風通しのよさも、社内機構も存在しないのだ。

 そのマツモト氏だが、最後にA子さんに対して「貴重なご意見を承りました」と言ってのけた。都内でリフォーム設計を専門にするある設計士の経営者も嘆く。

「一般の顧客だけではありません。LIXILは合併してから、私たちプロの人間に対しても本当に対応がひどくなりました。ひどくなっても改善されることはない。見かけの企業規模は肥大化していますが、それと比例して企業の〝格〟は下がる一方です。設計や施工をして発注して、不具合があって我々が対応を求めても、皆さんと同じように電話がつながりにくい。話が通りにくい」

 LIXILにとっては「余計なお世話」かもしれないが、念のため、この記事が出た後の動きを〝予言〟しておこう。

 この記事がアップされると、契約企業に対する「悪い評判」を拾い集めるネットパトロール専門の会社から、広報部にメールが送られるはずだ。担当者は目を通しながら、ざっと以下のようなことを心の中で呟く。

「イエロージャーナル……? 聞いたこともないな。弱小のネットニュースが、どんな与太話を書いても、株価への影響なんてあるはずもない。とりあえずは無視だな」

 そして机の上に置いたスターバックスのタンブラーからカフェラテを啜り、知り合いのPR会社に電話をかける。

「イエロージャーナルとかいうニュースサイト、知ってる? 無理する必要はないよ。分かったらでいいから、教えてよ」

 担当者は、こうして仕事を片付ける。だが、その間にも複成できないはずのディンプルキーは、合鍵がばんばん市中に流れていく。

 最悪のケースは、ディンプルキーのセキュリティに問題があったとして、窃盗だけでなく、最悪の場合は強姦や殺人の被害者や遺族が民事賠償請求を起こすかもしれないのだが、LIXILの人間は誰1人として、そのことに思いが至らない。

 組織肥大化しただけで、対応も意識も追いつかないとはまさにこのこと。合従連衡劇のなれの果てだ。

(無料記事・了)

2017年1月17日

【無料記事】東京五輪「迷走」原因は「ポスト川淵」不在説

koikevssports2017-01-17 18.26.29

 2020年東京オリンピック・パラリンピックの会場見直し問題は、小池百合子・都知事が「見直す」とした3会場は全て当初計画に戻り、決着を迎えた。

 見直しを検討することで、コストカットが進んだと擁護する声もあるが、「大山鳴動して鼠一匹」の徒労感は大きい。五輪組織委員会の森喜朗会長が「時間はかかりましたが……(知事の)学習期間だったのかな」と当て擦る一幕もあった。

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【写真】川淵三郎氏公式Twitterより
https://twitter.com/_kawabuchi
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 騒動に直面してきた関係者は、こう言って溜息をつく。

「非常に情けないことに、本来なら五輪の主役であるべきスポーツ界は、一連の騒動で完全に蚊帳の外に置かれました。招致時には団結したように見えていましたが、いざとなるとからきし力がないことを見事に露呈しましたね」

 最終決定機関として「4者協議」の場が設けられたが、都知事、組織委、国、IOC(国際オリンピック委員会)が構成メンバー。本来であれば、日本スポーツ界の総本山たるJOC(日本オリンピック委員会)も入らなければならないはずなのだが、遂にお呼びはかからなかった。

 カウンターパートであるはずの丸川珠代・五輪相もお飾りに過ぎず、何ら影響力がない。そもそも報道に価する発言すらないのだ。その結果──。

「小池知事が突っ張りながら突っ走り、森会長がいちゃもんをつけ、周囲は白ける、という場面の繰返しでした」(前出の関係者)

 別の関係者は、バレーボール会場となる有明アリーナをめぐって、以下のようなやりとりがあった、と明かす。

 元サッカー協会会長で、国内プロスポーツリーグの集合体である『日本トップリーグ連携機構』の会長も務める川淵三郎氏が、バレーボール協会の木村憲治会長に「五輪後もスタンドを満員にしてみせる、と表明しろ」と迫ったが、ミュンヘン五輪の松平一家で金メダリストの木村会長は、これに返事もできなかった、というのだ。

「競技団体であっても、これくらいの当事者意識しかないわけですよ。小池知事が大会後の施設維持に不安になったとしても、無理はないでしょう。見かねた川淵さんが、前会長として影響下にあるバスケットやフットサル、卓球などの他団体も巻き込み、音楽業界にも相談して『日本のマディソンスクエアガーデン構想』をぶち上げ、小池知事はこれを『有明レガシー・エリア』と命名を変えて乗っかりましたが、何もかもが後手後手になってしまいましたね」(別の関係者)

 要するに、こうした構想こそ、組織委が責任を持って取りまとめ、発表すべきであることは言うまでもない。川淵氏も既に80歳。なのに同氏に代わるリーダーがいないことも、東京オリンピックが迷走している一因だろう。

(無料記事・了)

2017年1月10日

【無料記事】トランプ新大統領就任で「米朝戦争」勃発の観測

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「トランプ新大統領の就任で、いよいよ米軍が北朝鮮に大して動くかもしれない」

 駐米関係者の間で、こんな噂が流れている。出所は防衛省との憶測も飛ぶ。

 アメリカが「悪の枢軸」と決め付ける北朝鮮に対し、本当に軍事作戦を行うというシナリオを、突拍子もない流言飛語だと断言するわけにはいかない。これまで国連の安保理決議を経ないどころか、議論さえ行われていない段階で米軍が軍事介入に踏み切ったケースは決して少なくないのだ。
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【写真】2016年12月、北朝鮮の首都平壌で開かれた中央追悼大会に出席した金正恩・朝鮮労働党委員長(撮影 共同通信)
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 例えば1991年の湾岸戦争や、2003年から続くイラク駐留と平行して、アメリカは中南米諸国に対する政治・軍事介入を積極的に行っている。我々と直接的な利害関係の少ない中南米における米軍の行動は、なかなか国内メディアでは報じられない。

 古くは89年、パナマのノリエガ将軍は夜中に米軍の急襲を受け、米国内へ強制的に移送させられた。フロリダ州の刑務所に収監されたこともある。

 こうした軍事作戦を米軍は「民主主義回復作戦」などと名付け、れっきとした独立国の元首さえ〝葬って〟きた。作戦が成功すれば、アメリカ政府に友好的な新政府が樹立されるのも定跡だ。

 介入される国家にとってはたまったものではない。軍事作戦を行うにあたり、「民主主義など普遍的な価値観を共有しているか否か」といった規準が提示されるとはいえ、要するにアメリカの都合によって決められるのだ。暴虐も甚だしいが、世界一の軍事超大国が相手なのだからどうしようもない。

 米軍にとっては覇権の空白域だったアフガニスタンなどユーラシア大陸の内奥さえ、02年の同時多発テロ以降における「テロとの対決」で、遂にアメリカ政府に対して歩み寄らせることに成功している。

 だが、そのアメリカでさえも扱いを持て余しているのが、〝偉大なる首領様〟が率いる北朝鮮だ。改めて正式名称を確認しておけば「北朝鮮民主主義人民共和国」となる。笑止千万だが建前は一応「民主主義」国家なのだが、実態が正反対なのはもはや説明の必要もないだろう。

 覚せい剤の輸出や、偽米ドルの製造拠点を潰す、といった「大義名分」には事欠かないが、アメリカが本気になるには「利権」が必要だ。さるアメリカ人アナリストは「トランプ新政権が米軍を動かすだけのメリットは充分にあります」と指摘する。

「北朝鮮は世界有数の資源国なのです。とりわけ中国国境沿いの山脈には貴重な鉱石が豊富に埋まっていると見られています。しかも北朝鮮の技術力では掘削が難しく、大半が手付かずなのです。そこに先進テクノロジーを持ち込めば、まさに宝の山。アメリカだけでなく、日本や韓国、中国も虎視眈眈と狙っているのです」

 日本の商社なども日朝の国交正常化を見込み、北朝鮮国内の資源開発に高い関心を抱いてきた。しかしながら、今は日朝の外交ルートは冷え切っている。常識的に考えれば、北朝鮮の開発利権で最も有利なポジションに位置しているのは、中国と韓国となる。

 ところが、ここで大逆転を狙っているのがアメリカというわけだ。

「仮に金正恩政権が自壊したシナリオを検討してみましょう。次の政権が中国寄りとなるか、韓国寄りとなるかは、世界史レベルの最重要事項です。前者の場合、米国の覇権は韓国にとどまり、第二次大戦後の環太平洋におけるアメリカの安全保障戦略は、半世紀を経ても日本と韓国という〝友好国〟しか持てなかったという、『進度ゼロ』という結論に至ります。対して後者の場合、北朝鮮の親米政権を通じてアメリカは中国の国境沿いまで政治・軍事両面のプレゼンスを発揮できるようになるのです」(同・アメリカ人アナリスト)

 アメリカが北朝鮮で軍事作戦を行い、金〝王朝〟を潰し、親米政権を樹立させる──基本はイラク戦争と同じシナリオになるが、成功した時のメリットは計り知れない。北朝鮮の資源確保は言うに能わず、朝鮮戦争の借りを返すことができるのだ。おまけに北朝鮮が国家として存続すれば、自壊時の難民発生や、中国進出などの混乱を避けることもできる。

「一石二鳥どころか、三鳥も四鳥も見込める外交政策なのです。21世紀が中盤に差し掛かるにつれ、アメリカにとって北朝鮮が最重要の安全戦略ポイントとなる可能性は増す一方であり、絶対に譲れない橋頭堡なのです」(同)

 なるほど、アメリカが単なる正義感から北朝鮮を「悪の枢軸」呼ばわりするわけはない。裏には経済面での思惑──彼らからすれば〝国益〟ということになる──も隠されていたのだ。極東の独裁国家に対する執拗な関与も納得できるというものだ。

 こうした素地の上に、「アメリカ至上主義」を掲げるトランプ新大統領が「棍棒外交」を展開することになる。確かに、あらゆる強硬路線を視野に入れるべきだろう。さる外交筋が次のように解説する。

「防衛省が情報元という噂が事実なら、アメリカ側のソースは国防省ということになるでしょう。背景にはアメリカ国務省と国防省の温度差、あるいは政策アプローチのスタンスが異なることが挙げられます」

 アメリカの外交は常に、国務省VS国防省の〝対立〟によって形成される。北朝鮮を巡っても以前から両者の〝相異〟は指摘されてきたという。だが時期や状況に応じて、両者が和解したとか、現場では深い溝が消えていないとか、様々な観測が飛び交う。

「これまでは国務省が全面に出て、北朝鮮問題を仕切ってきました。しかしながら、裏では国防省が北朝鮮の現体制を転覆、崩壊させるシナリオを描いているのです。注意して頂きたいのは、たとえ北朝鮮が親米政権だったとしても、それは変わらないのです。CIAを筆頭とする情報機関は、日本という疑う余地のないほどの親米政権でさえ、動向を操作したいと仕掛けてきます。今、この瞬間にも自民党内部の情報を細かく集め、分析を積み重ねているのです」

 要するに外交には常に裏と表があるのだ。国務省が表を担当し、国防省が裏を担う。クーデターや親米政権の樹立という強硬策は国防省が単独でシナリオを描く。

 その上で、具体的な情報も流れている。米軍の新たな動きが、金正恩政権への強襲情報に真実味を与えているというのだ。日本の外交関係者が明かす。

「米軍もCIAも、ずっと以前から『金王朝』を下から転覆させようと目論んできました。そして現在、アメリカは北朝鮮がミサイル搭載は可能なレベルにまで、核弾頭をダウンサイジングしたと見ています。北朝鮮がミサイル実験を強行すればするほど、アメリカは軍事介入に都合のいい状況となるわけです」

 これまで北朝鮮は多国間協議を「打ち出の小槌」と見なしたかのように、援助を引き出す道具として使ってきた。だがアメリカは、こうした北朝鮮の戦略に対し、明らかに業を煮やしているのだという。オバマの対北朝鮮戦略が手詰りになったことを示すだけではなく、北朝鮮はやり過ぎてしまったのだ。

「北朝鮮の見通しが甘いのは、多国間協議に参加する振りをしている限り、引き延ばし外交は永遠に続くと考えているところにあります。しかしアメリカサイドに立てば、多国間協議と真摯に向き合い、多くの時間を割いていると国際社会に認知させれば、決裂後の独自行動に対し、世界が許容してくれる可能性が高まります。政権を転覆させるが、金正恩の命は保証し、中国に亡命させる、というシナリオも現実味を増すわけです」

 北朝鮮と中国の関係は、かつてほど良好ではない。本当に金正恩が中国に亡命するなどということは起こりうるのだろうか。

「パキスタンなど、北朝鮮が軍事技術や武器を輸出している国も、亡命先になりえるかもしれません。反米的な国であればあるほど、金正恩にとって自分を守ってくれるという期待は高まります。とはいえ、〝首領様〟がパキスタンという〝貧乏国〟で余生を送ることを了承するかといえば、それは疑問です。現実的に考えれば、やはり最も可能性が高いのは中国でしょう。国を追われた金ファミリーを、昔の友誼から引き受けたということになれば、アジアの大国としての面子にはメリットです」

 とはいえ、国際社会への建前もある。首都北京で「賓客」としての生活を送る──そんな予測は不可能なのだという。

「中国南部の南寧からさらに山沿いの辺区と呼ばれる政治や経済の中心地からは離れたところが候補になるのではないでしょうか。この辺りは、東南アジア諸国とも国境が近く、決して金家が余生を過ごすにも悪くない場所です。現実的には、それなりの待遇で持てなすにせよ、国際社会に対する弁解として、〝幽閉〟というイメージも生み出すことができます」

 果たして、「偉大なる首領さま」が中国の辺境に送られる日が現実に来るのだろうか。不穏な噂の行方が気になる。

(無料記事・了)

2016年12月30日

「島根女子大生殺害事件・後篇」異常な死体損壊と「死体マニア」証言

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(承前)捜査関係者は、

「下関市内にある矢野容疑者の実家などを家宅捜索したところ、押収したデジカメとUSBメモリから、行方不明後の平岡さんの画像を発見したのです。それが容疑を固める決定的な証拠となりました」

と明かした。この後の取材を、一問一答で見て頂こう。

──「行方不明後の平岡さん」とはどういう意味か? また、どのような画像が残っていたのか?

捜査員 デジカメには38枚。USBメモリには19枚。重複しているものもあるので、それを省けば全部で40種類の画像を確認しています。画像は、全て遺体を写したものです。「行方不明後の平岡さん」と表現したのはそういう意味ですが、遺体を損壊する前と、損壊後の様子、両方写っていました。
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【記事の文字数】約4600字
【写真】島根県警が作成した、情報提供を呼び掛けるビラ(撮影 共同通信)
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2016年12月29日

【無料】「島根女子大生殺害事件・前篇」新聞報道された容疑者の「学歴」

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 既に犯人が死亡していたという事実は、警察も想定外だった──。

 2009年、島根県浜田市に住んでいた、県立大1年の平岡都さん(当時19)が行方不明となり、その後、広島県内の山中で切断された遺体となって発見された事件。ネット上では未解決事件としての「島根女子大生死体遺棄事件」と、「島根女子大生殺害事件」が現在も混在している。

 2016年12月20日、島根・広島両県警は、矢野富栄容疑者(当時33)を殺人などの疑いで書類送検した。

 7年前の事件直後に交通事故で死亡していた矢野容疑者だが、平岡さんの住む浜田市の隣、益田市に住んでいた。なぜ、それほど近くに容疑者が生活していたにもかかわらず、捜査に7年もかかってしまったのだろうか。

 そして容疑を固める最大の〝決め手〟となったデジカメ、USBメモリに残されていた画像とは一体、どんなものだったのか。詳細な経緯を含め、捜査関係者から話を聞いた。

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【写真】島根県警公式サイト「女子大学生死体遺棄等事件の送致について」より
http://www.pref.shimane.lg.jp/police/hamada.html
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 7年という歳月は事件を風化させるだけでなく、死亡した矢野容疑者の記憶と痕跡も消し去ってしまう長さだったようだ。当時、矢野容疑者が住んでいた自宅周辺を取材した記者は、あまりの手応えのなさに途方に暮れたという。

「矢野容疑者が当時住んでいたのは、益田市内にある1戸建ての借家でした。周辺には何件か民家もあり、大家さんも近くに住んでいたので、何かしら証言が出てくると思っていたのですが、実際は真逆の結果となりました。まず大家さんは『契約などは不動産屋に任せていたから会ったことはない』の一点張り。隣近所に矢野容疑者の顔写真を見せても『全く記憶にない』と口を揃えます。考えてみれば、容疑者は独身で33歳。町内会にも所属せず、7年前に数か月しか住んでいなかったのですから、覚えているはずもないと思い知らされました。おまけに矢野容疑者の死後、その借家はある家族が住み、去年までは別の家族が住んでいたようです」(社会部記者)

 ここで事件の詳細を、簡単に振り返ってみよう。ことの発端は2009年10月26日の夜。島根県立大1年だった平岡都さんは浜田市内でアルバイトを終えると、行方不明となる。そして翌11月6日、頭部が北広島町の臥龍山山中で発見。その後胴体などの複数の部位が相次いで発見された。

 遺体をバラバラにする猟奇的な殺人事件ということもあり、多くのマスコミが現地に入り取材をした。しかしその後は有力な目撃情報も得られず、進展を見せないまま事件は迷宮入りしたかに思えた。

 ところが、今年に入って警察が行ったある捜査をきっかけに、点と点がつながり容疑者特定にたどり着いたという。その経緯について、ある捜査関係者が取材に応じてくれた。その一問一答を、ここで再現する。

──矢野容疑者に捜査本部が接触したのは、どんなタイミングだったんですか?

捜査員 実は事件が発生してから、任意で事情を聞いた記録があります。なぜ聴取したのか、当時の詳しい捜査状況まで、私は知りません。ただ、特に「怪しい」という情報があったわけではなく、あくまでも広範囲な聴取対象の1人だったようです。その時には矢野容疑者と平岡さんの接点は見つからず、他の疑わしい人間の捜査に力を入れていました。

──では、矢野容疑者が〝犯人〟として浮上した経緯は?

捜査員 今年、2016年に入って捜査本部で改めて、周辺で起きた性犯罪事件を洗いなおしました。それと車両の移動記録を突き合わせると、矢野容疑者が遺棄現場近くで車を走行させていたことが分かったんです。

 これまでに「矢野富栄」という人物は、何度か新聞紙上に氏名が掲載されている。まず、それを振り返っておこう。

 まず西日本新聞が1994年12月20日に掲載した、『[合格おめでとう]九州工業大、図書館情報大』という記事に、九州工業大「情報工学部知能情報工学科」の合格者の1人として「鎮西敬愛」高校の「矢野富栄」という生徒名が記されている。

 次に朝日新聞の山口県版は2009年11月11日、『中国道死亡事故、男女の身元判明 県警高速隊』の記事を掲載した。

 先に見た矢野容疑者が死亡した交通事故についての報道だ。文中では事故を、

<中国自動車道下り線で11月8日、乗用車がガードレールに衝突、炎上し、乗っていた男女2人が死亡した事故>

とし、県警高速隊が死亡者を発表したと伝えている。2人の姓名は、

<運転していた下関市神田町1丁目、会社員矢野富栄さん(33)と、助手席の母で自営業の貴美子さん(58)>

となっている。

 さて、2009年に交通事故で死亡した33歳の「矢野富栄」は誕生日が不明だとはいえ、1994年に18歳だった可能性はある。

 更にサンケイスポーツは16年12月21日の『島根女子大生殺害 7年を経て急展開…事故死男を書類送検』の記事では、容疑者の経歴を次のように記した。

<矢野容疑者は山口県下関市で小中学期を過ごし、近所の人は「おとなしい普通の子だった」と語る。北九州市の私立進学高では特進クラスに所属し、福岡県の国立大夜間部に進学したが、中退。実家近くのラーメン店などでアルバイトをして、09年4月に住宅設備会社に就職した>

 鎮西敬愛高校は現在、敬愛高校に改称している。所在地は福岡県北九州市門司区。九州工業大学も、北九州市戸畑区に本部を置く。

 この矢野容疑者だが、過去に性犯罪の前科があった。罪に問われたのは、2004年に北九州市や東京都内で、面識のない女性に刃物を突き付け、わいせつな行為をしようとケガをさせるなどした3つの事件だ。裁判は東京地裁で開かれ、3年6カ月の実刑判決を受けている。

「数少ない点と点のつながりですから、早速周辺を調べはじめましたが、すぐに7年前に事故死していたことも判明しました。ただ、そこで捜査を止めるわけにはもちろんいきません。下関市内にある矢野容疑者の実家などを家宅捜索したところ、押収したデジカメとUSBメモリから、行方不明後の平岡さんの画像を発見したのです。それが容疑を固める決定的な証拠となりました」(前出の捜査関係者)

(無料記事・了 後篇に続く)

2016年12月28日

【無料記事】五輪招致で「放蕩」石原慎太郎・猪瀬直樹「原罪」

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 2009年9月12日、朝日新聞は『石原知事、26日から出張 デンマークでIOC総会/東京都』の記事を掲載した。

 当時の石原慎太郎・東京都知事が2016年夏季五輪開催地を決定するIOC総会に出席するため、9月26日から10月4日の日程で、デンマーク・コペンハーゲンに出張、という日程を伝えたものだ。

 文中では、定例会見における石原知事の発言も引用されている。

「IOC委員に対し、最後の瞬間まで東京招致への支持を求めていく。招致を望む都民、国民の熱い思いを胸に、招致を獲得してまいりたい」

 結果はリオ五輪となったのは、ご存じの通りだ。その9月26日の夜。石原知事はデンマークへ旅立ち、東京・新宿の居酒屋では、都庁幹部が、こんな胸の内を漏らしていた。

「慎ちゃんも、ファーストクラスで、また欧州ワインツアーの豪遊だよ。気楽なもんだよな。後から議会につつかれないように交際費を処理するこっちの身にもなってほしいよ」
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【著者】下赤坂三郎
【写真】2007年6月、副知事の人事案が可決され、取材に応じる猪瀬直樹氏(左)と、石原慎太郎都知事(当時)(撮影 産経新聞社)
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 この年の6月には、スイスのローザンヌで、候補の4都市によるプレゼンテーションが行われた。シカゴ、リオデジャネイロ、マドリード、そして東京という顔触れだ。この時、同行した都庁関係者はもとより、JOCの関係者でさえ、石原知事の〝放蕩〟ぶりには呆れ返ったという。
 
 先の都庁幹部は完全に諦念し、白旗を掲げていた。

「大体、今の都庁で、まともに仕事をやろうなんてムードはないですよ。目立ちたがり屋で、朝令暮改ばかりの慎ちゃんの下で、まともな政策なんてできないんだから。皆、じーっと、慎ちゃんの任期が終わるのを待っているわけ。慎ちゃんは自分の任期最後、打上げ花火としてオリンピック召致を果たしたかったんだろうけど、振り回されるこっちの身にもなってほしいよ。それで、帰国すればまた、ワイン漬けの清算処理ばかり押し付けられるんだから」

 この時期に、都庁職員のモチベーションが著しく低下したことは、築地市場の移転問題が現在も迷走している遠因の1つに挙げられる。

 市場が豊洲に移転した後、築地の跡地にはメディアセンターが建てられる計画だ。もし石原都政下の職員が五輪招致で一致団結していれば、ここまで混乱しなかったに違いない。小池百合子・都知事の誕生で、職員は「さあ大変だ」と大慌てしているものの、失われた貴重な時間を取り戻すのは、なかなか難しい。

 石原都政は五輪招致を派手に打ち上げたが、インフラ整備のメドさえつかない状況は長く続いた。全く信じられない話だが、当時は副知事だった猪瀬直樹氏は知事に「諫言」するどころか、「慎太郎の親衛隊」らしく、周囲にはこんな風に嘯いていたという。

「仮にな、オリンピックが駄目でも、それをやろうという気運で緑化が進んだり、温暖化対策を進めたりするきっかけになれば、そこに意味があるんだよ」

 だが、これこそ「ご都合主義」以外の何物でもない。別の都庁幹部も怒りを滲ませながら、正論を吐く。

「緑の東京を作るために、オリンピック招致で5000億円近くつぎ込むんだったら、最初から、緑化事業に5000億をつぎ込めばいいだけの話でしょう」

 五輪招致は当初から東京の劣勢が伝えられていた。おまけに対抗馬のシカゴは「世界のオバマ」を担ぎ出すことに成功。日本側も鳩山由紀夫首相をプレゼンに出席させたが、都庁職員は「ワシ(※註:アメリカの国鳥はハクトウワシ)とハトでは、その力の差は火を見るより明らか」と自虐ネタにするほどだった。

 だが多くの関係者が石原都知事の豪遊を呆れて見つめる一方で、舞台への復帰を狙う堤義明・元コクド会長は、援護射撃のつもりか、様々な動きを繰り広げていた。

「本当のところ、どんな狙いがあったのかは分かりませんが、サマランチ元会長をはじめ、海外のIOC幹部に電話をかけまくり、東京オリンピック招致を働きかけていました。彼としては執行猶予が終わり、更に招致に成功して『影の功労者』として認知されれば、再び日の当たる場所に出られると考えたのかもしれません」(関係者)

 確かに東京五輪の招致に成功した現在、堤氏はオリンピック委員会の顧問に収まった。「形ばかり」という酷評もあるとはいえ、表舞台への復帰を果たしたのだ。

 長野オリンピックを実現させたのだから、確かに堤氏は豪腕の持主なのだ。そんな「元西武グループ総帥」の孤独な電話外交を知ってか知らでか、デンマークの石原都知事はロビー活動と称し、毎夜のワイン三昧。

「知事は酔って、へべれけです」と随行員からメールで連絡を受ける都庁幹部は、再び天を仰ぎ、「あといくつ寝れば、慎ちゃんは任期満了か」と指折り数える……。

 そんな舞台裏だったにもかかわらず、帰国した石原知事は「プレゼンは緻密で完璧なものだった」と自信満々に総括した。東京五輪に名乗りをあげて以来、常に石原知事は自画自讃のコメントを連発していた。それを幾度となく聞かされる招致委員会の面々には、さすがに白けた空気が漂っていたという。

「新銀行東京でも、あれだけ都民の税金を無駄遣いしたのに、知事自らファーストクラスに乗っての大名旅行ですからね。あの人の貴族趣味は昔からですが、その病気は副知事にも伝染しました。猪瀬さんも早速、『俺の海外視察も、なんでファーストクラスじゃないんだ』と事務方にねじ込みましたから」(都庁職員)

 この招致活動では、海外渡航費だけでも、一体、いくらの税金が消えたことか。副知事秘書の経験者は「知事が海外の会議に出席すると、だいたい2000万円は吹っ飛びますよ」と明かす。後は推して知るべしだろう。

 この頃、国民は麻生政権から続く景気低迷に苦しんでいたが、東京都は歯牙にもかけなかったということになる。おまけに知事が自ら絶賛したプレゼンも、同行した招致委のメンバーは真逆の評価を下す。

「東京五輪はコンパクトだ、緑化だ、と独りよがりにコンセプトを打ち出しているだけでしたよ。何でも北京五輪は渋滞がひどく、競技会場に選手の到着が遅れたらしいんです。そんな程度の理由で、電通が『コンパクト』を提案し、オウム返しに言っているに過ぎません。何もかも日本人らしい神経質さが全面に出てしまっていて、オリンピックらしい夢は皆無でした」

 それでも悲願の東京五輪を勝ち取ったわけだが、そうなると、あの「コンパクト」はどこに行ったのだと呆れ返るほど予算が膨れ上がっていく。

 そもそも五輪招致では、原点の原点からお粗末なものだったから当然だという声もある。産業労働局の幹部が振り返る。

「IOCのメンバーや、海外の有力者向けのパンフレット『東京カラーズ』の作成では、委託した海外デザイナーとトラブルになりましたし、文中に誤植があり、『自慰』を意味する俗語が表記されていたんです。これを都は修正せず、そのまま海外で配ったんですよ。もう、何と言えばいいのか……。おまけに、このミスを石原都知事に知られないよう、必死に隠蔽したんです」

 石原=猪瀬のコンビは、馬鹿馬鹿しいまで招致のお祭り騒ぎを繰り広げてきた。この原罪にこそ、小池都知事は切り込むべきだろう。猪瀬氏を小池塾の講師にまで招いたが、それこそ利敵行為と知るべきだ。

2016年12月27日

【無料記事】トランプ大統領「アーミテージ・グリーン」両氏〝粛清〟

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 アメリカでトランプ政権の人事が進み、ワシントンで異変が起きている。

 これまで日本の政財界の要人、関係者がワシントンを訪れると、必ず〝参詣〟したリチャード・アーミテージ元国務副長官、マイケル・グリーン元NSC(国家安全保障会議)上級アジア部長、この2人の存在感が、急速なスピードで消滅しているというのだ。
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【写真】ドナルド・トランプ次期大統領・公式サイトより
https://www.donaldjtrump.com/contract/
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 共和党の政権奪還は8年ぶり。今こそ両氏の出番、のはずだったが、大統領選で反トランプを鮮明にしたため、蚊帳の外に追いやられてしまったのだ。ワシントンのシンクタンク関係者が言う。

「政権移行チームは、過去にトランプ氏を批判した人物を細かくチェックしている。アーミテージ、グリーンの両氏はずばり、ブラックリストに入っていますよ」

 特にグリーン氏は8月、「トランプ氏が大統領に就任すれば、我々の国家の安全保障と、国民の幸福が危険にさらされる」と声明を出した、共和党の安全保障の専門家の1人だ。アーミテージ氏も、共和党ではなく、民主党の大統領候補だったヒラリー・クリントン氏に投票すると明言していた。在ワシントンの関係者が明かす。

「日本の政界関係者がワシントンを訪れる際は、アーミテージ、グリーンの両氏と必ず会談を行っていました。特に他にセッティングできるアメリカ側の要人がいない時こそ、両氏の出番だったんです。財界やマスコミも同じです。両氏は日本開催のセミナーでもパネリスト常連で、高額の講演料が支払われています。具体例を挙げれば、朝日新聞はグリーン氏が新婚の際、夫人の旅費まで提供していたほどです」

 つまり、アーミテージ・グリーン、日本政府・政治家、マスコミを含む財界、という、『日本利権トライアングル』が形成されていたのだ。

 関係者によると、この利権構造から排除されてきたのが、AEI(アメリカン・エンタープライズ研究所)のマイケル・オースリン日本研究部長や、ディック・チェイニー前副大統領(75)の国内政策担当補佐官だったアド・マチダ氏らだという。特にオースリン研究部長は、グリーン氏が意図的にパージしてきたとされる。

 だが、トランプ政権の誕生により、逆転現象が起きた。既にアド・マチダ氏は政権移行チームに入っている。何らかのポストに就く見通しが濃厚だ。

「トランプ政権の行方は不透明だが、強固な〝日本利権〟の構造に変化が生じたのは間違いない。特に米側関係者の若返りが進むだろう。私個人としては、この動きは評価したいと思う」

 意外にも、先のシンクタンク関係者は好意的な評価を下す。アド・マチダ氏は、その名の通り日系。これからのキーパーソンとなるのは間違いないようだ。

(無料記事・了)

2016年12月22日

「iQOS」など加熱式タバコ大人気で「ヤクザ」跳梁跋扈

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 巷で話題の加熱式タバコ、この先鞭をつけたのが、マルボロを扱うフィリップ・モリス・ジャパンが発売したiQOS(アイコス)だ。初めは名古屋で試験的に発売し、その後販売地域を増やし全国的な販売を開始した。

 ところが、このiQOS、発売当初は大した話題にもならなかったと筆者は記憶している。タバコ販売店で店員が勧めてきたり、イベントのブースではキャンペーンガールが喫煙者に声をかけたりするケースが、よく見かけられた。

 では、何がブームのきっかけとなったのか?
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【筆者】花田歳彦
【記事の文字数】3700字
【写真】iQOS公式サイトより
https://www.iqos.jp/index.php?dispatch=landing_page.light#1
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【無料記事】「カジノ解禁」は「風俗業界」にも巨大商機到来

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 遂に自民党悲願のカジノ法案が成立した。

 ギャンブル依存症への対策がクローズアップされているが、とにもかくにも日本にIR(統合型リゾート)が誕生する。既に動いているのは、ユニバーサルエンターテインメント(旧アルゼ・東京都江東区有明)やセガサミーホールディングス(港区東新橋)といったパチンコ・パチスロ・ゲームメーカーばかりでない。世界に冠たる日本の「FUZOKU」つまり風俗産業も虎視眈眈とビジネス拡充を狙っているのだ。

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【写真】東京・吉原のソープ街(撮影・産経新聞社)
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「金持ちがカジノに集まるのには理由があります。プライベートジェットで世界中から飛んでくる目的は、実はギャンブルが1番の目的ではないんです。賭博など富豪にとっては結局、儲かっても損しても端金です。彼らが本当に楽しみにしているのは、現地のオンナなんです。カジノあるところに売春あり。この法則が当てはまらないカジノはありません。そういうことで、日本でカジノが解禁になると、風俗産業にビジネスチャンスが生まれるというわけです」

 こう解説するのは、海外駐在経験の豊富な、現役のメガバンク役員だ。

 役員氏は、これまでに数多くの海外カジノを訪れ、実際に遊ぶことでリアルな現状を熟知している。同じようにして「日本カジノ解禁」に備えてきた風俗業界の関係者は少なくない。さるソープランドのオーナーが打ち明ける。

「お台場にカジノができたら、すぐに手配をしないとな。もう、うちは様々な関係者に指示を出しているよ」

 これまでにも、日本のAV女優らを斡旋する専門デリヘルが中国人富裕層をターゲットにしたことはあった。だが今回の風俗業界に対する〝IR=カジノ神風〟では、ソープ業界の鼻息が荒い。

「デリヘルは〝本番〟の有無にかかわらず、結局は平凡なセックスの範疇を出ない。だが、訓練された泡姫の泡踊りだけは世界中、どこに行っても日本のソープでしか堪能できないんだ。だから、お台場のカジノ客を吉原に引っ張ってくるだけじゃなく、どうやって吉原と同じサービスをカジノVIPの客室に届けるかが鍵だ。カジノ計画がスタートしたら、新規事業として始められるようにしておく」(同・ソープオーナー)

 さすがは日本を代表するソープオーナーだ。日本の泡姫を「AWAHIME」として、クールジャパンの裏目玉にする計画だという。確かにケツの穴まで舐めてくれる献身的なサービスは世界に類例がない「オンリーワン」に違いない。

「うちは昔から外人観光客にも対応してきたからね。デリヘルなんかとは一日の長がある。内装も外人好みにもしている。風呂も外人の体格を考えて広目で、なおかつ和風テイストを感じさせるものも用意してきたよ」(同)

 あまり知られていないが、最近では稼げる日本人風俗嬢は、既に海外カジノに〝移籍〟している。先のメガバンク役員は「日本では『いい女の空洞化』も始まっているんですよ」と苦笑する。

「この間もマカオのカジノを視察しましたが、娼婦のいる場所には船で渡るんです。下船の順番は船長が決めるんですけど、これがそのままオンナの部屋に入る順番になります。1番人気は色が白くて巨乳のロシア系です。そしてマカオで、つまり世界で2番目に人気なのが日本人なんですよ。GDPじゃ中国に敵いませんが、日本女性は世界2位なんです。日本にカジノが来たら、世界中の富豪が買春のためにプライベートジェットでばんばん飛んできますよ。ソープ業界が商機を見逃すはずはありませんし、デリヘルもカジノバブルの恩恵に与るでしょう。そしてソープとデリヘルの競合が激しくなればなるほど、サービスを受ける側にとっては相乗効果が期待できるのは理の当然です」

 カジノオープンXデーに向けて、既に「オンナの商品開発」は始まっているという。先のソープオーナーは自信に満ちた笑みを浮かべる。

「デリヘルを徹底的に研究しろと言ってる。勝負はデリヘルとの差別化だ。泡姫は日本固有の文化だと富裕層に思わせれば勝ちだよ」

(無料記事・了)

2016年12月21日

【無料記事】年末年始「自殺増加」不動産屋「隠蔽裏技」の実態

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 不動産関係者は「年の瀬には自殺が増加する」と口を揃える。実は厚労省などのデータでは、5〜8月に自殺のピークを迎えることが多い。だが都市部における賃貸物件の居住者となると、少し傾向が違うようだ。

 意外なことに、最近では年金で、それなりに安定した収入を得ているはずの高齢者も、未来を悲嘆して命を絶つ例が少なくないという。そのために賃貸住宅での「事故物件」が増加していく。

 事故物件といえば殺人事件の現場となった例が注目されるが、数からいえば自殺が多いに決まっている。一部には格安家賃を気に入り、事故物件を好んで借りる物好きもいるというが、大半の人は違うだろう。殺人や自殺と聞けば、それこそ部屋に怨念が漂っているようで、気が重くなるのが普通だ。ちなみに病死は事故物件には該当しない。

 大家にとっても、事故物件が発生してしまうと、大きな経済的痛手となる。絶対に避けたいとはいえ、いくら入居要件を厳格化しても、セキュリティを厳重にしても、入居者の自殺だけは防ぎようがない。

 ところが、自殺を原因とする事故物件化に関しては、ある不動産業者によれば「裏技」によって防ぐことができるのだという。
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【写真】彩図社公式サイトより『大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました』(菅野久美子著)
https://www.saiz.co.jp/saizhtml/bookisbn.php?i=4-8013-0140-5
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 何しろ、この裏技で賃貸物件はおろか、一軒家まで売ってしまうという。都内の腕利き不動産業者は、最近も1軒、この技で物件を売り捌いたそうだ。

「40歳近い息子さんが引きこもりで、何度もリストカットした挙句、最期は風呂場で自殺してしまったんですよ。救急車を呼んだときは、もう事切れていたそうですけど、最終的な死亡確認は病院ということになりましてね。だから事故物件ではないということになって、無事に売買が成立しました」

 本来、不動産取引にあたっては、死亡事故を含めた情報は「重要事項」として、購入希望者に伝えなければならない。だからこそ前入居者が室内で自殺した場合は事故物件となるわけだが、こちらの裏技は「死んだのは部屋ではなく病院なのだから、重要事項にはあたらない」というトリックを使うわけだ。

 とはいえ、借りる側、買う側からすれば、自殺の現場だったことには変わりない。把握すれば絶対に寝覚めの悪い思いをするだろう。

 全国に多くの仲介物件を持つ、大手不動産チェーンの営業担当者もいう。

「自殺は極めて多いんですよ。その大半を事故物件にしていたら、とてもじゃないけど商売にはなりません。だから部屋の中で遺体となって発見されても、とにかく警察より先に救急車を呼びます。明らかに亡くなっていても、絶対に救急車を呼ばせます」

 だが駆けつけた救急隊員が「もう、駄目です」と病院への搬送を断るケースもあるのだという。そんな時、この営業担当者は隊員を怒鳴りつけるのだという。

「『万が一、蘇生できたらどうするんだっ、責任とれんのかっ、おまえらが殺したことになるんだぞっ!』って怒鳴るんです。傍目にも死後硬直が明確な遺体でも、蘇生の可能性を諦めるな、と力説します。とにかく、どやしてでも運ばせちゃえば、こっちのものです。死んだ場所は無事、病院ということになりますからね。こうやって事故物件を限りなく正常物件に見せるのも、腕の見せ所なんです。とにかく、多いんですから、自殺は。若者から年寄りまで、毎日、何件かはありますよ」

 こうした「隠れ事故物件」が、実は限りなく多いのだという。

「まあ、知らぬが花、です。ばれてしまうケースもありますよ。隣近所の噂が、入居者の耳に届いちゃうとかですね。でも死んだのは、あくまでも病院なんですから大丈夫です。機械だって一緒ですよ。途中の加工場が中国でも、最終組立が日本ならメイドインジャパンじゃないですか。死体もそうです。最終の場所が病院なら、ウソはついていません」

 営業担当者によると、遺体に包丁が刺さっていた、などの明らかな事件性がない遺体であれば、「遺体の運び出し」は成功することが多いという。

「やっぱり救急隊員も、自分たちの判断で死んだんだなんて言われたくありませんからね。病院に運びますよ。隠れ事故物件だと言われれば、そうかもしれません。でも、それを言ったら、中古自動車だって似た話はいくらでもあります。走行距離のメーターは色々騒がれましたが、未だにいじっている中古屋も仲介屋も、いくらでもいますよ。馬鹿正直にやっていたら、商売にはならないのが実態です。私たち不動産屋だって、頭を使わないとやっていけません」

 不動産業界では、以前なら若者の自殺が目立っていたが、今は年金を受給している夫婦の〝心中〟も増えているのだという。

「年金受給者は、ある意味ではとりっぱぐれのない堅い客です。うちなんかでも空室にしておくぐらいなら、入れてしまいます。でも最後は何か、未来を悲観して自殺しちゃうんですよね。高齢者の誰もが、最期を看取ってくれる老人ホームに入居するなんて不可能でしょう。そうすると、ウチが持っているような小綺麗な軽量鉄骨のアパートが選ばれるわけですが、やっぱり寂しくなっちゃうんですかね。危なそうな入居者は、プロパンガスの業者さんなんかに見回りも兼ねてもらって、おかしいなと思えばマークしておくんです」

 そして悪い予感が的中してしまえば、「即119番」だという。110番に電話してしまうと、現場保全となり、司法解剖が行われる。確実に事故物件となってしまう。

 結局のところ不動産業界は──ほんの一部だと信じたいが、真実は逆だろう──事故物件を防ぐため、救急車を霊柩車代わりに使っていることになる。救急隊員からすると、たまったものではないだろう。死者の霊が空中から騒動を見たら、同じ感想を持つかもしれない。

 いずれにせよ、こうして世間には隠れ事故物件が静かに、しかし確実に、増加していっているそうだ。特に年末年始は自殺の増える要注意時期にあたる。

 では、防止策はないのだろうか。

「私たち不動産業者からすると、『トラブルがあった物件だと入居後に発覚したら、引っ越し費用も含めて被害額を請求しますよ』と、あらかじめ念を押す客は、正直言って嫌ですね。そういう用心深い客には、隠れ事故物件を勧めることはありません。何しろ裁判沙汰ともなれば、8割から9割の確率で敗訴ですからね。隣近所に聞き込みでもされれば、救急車が来ていたと覚えているものです。『死んだらしいよ』という噂は特に広がりやすいですね。要するに聞き込みも辞さないという客は、アパートのなかでも限りなく新築に近い物件を中心に、きちんとご案内します」

 ニーチェは「人間は誇りをもって生きることができない時は、誇らしげに死ぬべきだ」と説いた。しかし、少なくとも自室で死を選んだ場合、不動産業者によって「死者の誇り」が壊されてしまうことは確かなようだ。

(無料記事・了)

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