【無料記事】脱北者が「亡命政権」発足で「顧問」は金正男氏!? | イエロージャーナル

 アメリカや韓国在住の、かつての北朝鮮政権幹部ら「脱北エリート層」が中心となり、ワシントンに本部を置く北朝鮮亡命政権が発足するという。

 しかも亡命政権の最高顧問に金正男氏を擁立するという驚くべき情報だ。

 金正日氏といえば、故金正日・朝鮮労働党総書記の長男だ。しかし、それ以上に我々日本人にとっては2001年に「金正男と見られる男性」が成田空港で入管に拘束された事件が強烈な印象を残した。

 報道の通り、金正恩体制は激動が続いており、高官の亡命も頻発している。金正恩・党委員長の求心力が著しく低下していることを見越し、亡命政権発足で「北朝鮮の民主的政権」が構築されつつあることを、大々的に宣伝するのが狙いのようだ。

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 ニュースソースは北京の外交筋。関係者によると、亡命政権樹立の計画は、ワシントン在住の脱北者グループのリーダーで、金正恩氏の秘密資金を管理する労働党『三九号室』最高幹部の1人だった人物「X氏」が主導的な役割を果たしているという。

 亡命政府の名称は、『北朝鮮自由民主亡命政府』とする予定だといい、X氏はすでにアメリカや韓国に住む脱北者グループのリーダー10人以上と意見交換。できる限り早く亡命政権を樹立することで合意した──とされる。

 政権交代前のこととはいえ、オバマ政権の北朝鮮問題担当幹部や、民主化や人権問題に関心を持つ上下両院議員と意見交換するなど、準備を「着々と進めてきた」(関係者)という。

 X氏は中でも、中国政府の庇護下にあるとされる金正男氏とも、潜伏先の北京や東南アジアの各地で接触を継続。「亡命政府最高顧問」という名誉職的な肩書を用意することで、亡命政権の立ち上げに関与してくれるよう、要請しているとされる。

 だが北京の外交筋は、金正男氏の亡命政権参画に対しては、中国は難色を示しているとする。ただしX氏の狙いは、亡命政権のリーダーが金正男氏と親密な関係を築くことにあり、必ずしも参画が絶対条件ではないという。亡命政権の認知度を高めることが最優先の課題であり、そのために金正男氏と親密な関係を築く必要があるためだ。

 関係者は、こう指摘する。

「これまでにも脱北者グループの中で、亡命政権を樹立する動きはありました。ですが指導者の不在や資金不足の問題などで、幾度となく立消えになってきたんです。しかし金正恩指導部が発足すると、党や軍の幹部といった、エリート層の脱北が目立っています。そのため脱北者の間でも、民主化政権樹立のため、亡命政権構築の機が熟しつつある、との認識が広まっていると考えるようになりました」

 千載一遇のチャンスを阻む危険性があるのは、まずは韓国の政変だ。朴槿恵政権後の新政権が「極左新北」となると、冷水を浴びせる効果が高い。

 更に不安要素は、アメリカのトランプ大統領だ。東アジア政策は未だに不明点が多く、どのような内容になるのか判然としない。仮に単なる「無関心」だとしても、「北朝鮮亡命政権樹立」にとっては相当な痛手だ。

(無料記事・了)