東映『山口組三代目』DVD発売で消えた高倉健の〝遺志〟 | イエロージャーナル

「往く道は精進にして、忍びて終わり悔いなし」

 そんな言葉を遺して、日本映画界最後のスーパースター・高倉健が亡くなってから1年。追いかけるように亡くなった菅原文太の死とともに、日本映画が大きな転換期にあることを思わせる。 『昭和残侠伝』『網走番外地』『日本侠客伝』と健さんの往年の人気シリーズが次々にDVD発売やテレビ放送されるなかで、これまで、多くの健さん映画では唯一封印されてきた高倉健主演映画『山口組三代目』がついにDVDとして再販されることになったのである。

 鑑賞不可能な作品が見られることは、映画ファンなら単純に嬉しい。だが、山口組が名古屋と神戸に分裂し、ヤクザ社会に激震が走っている真っ最中でもある。果たして東映の〝英断〟は問題視されないだろうか、と心配になるのが正直なところであり、改めて誰が作品を封印したのかという疑問も浮かぶ。日本映画史の謎を追ってみた。