【無料記事】翁長県政「IR反対」は「建前」で「宮古カジノ構想」推進 | イエロージャーナル

 現在の安倍政権と沖縄県政が、蜜月の関係にあると考えている人は誰もいない。

 報道を丁寧にチェックしている方なら、「全面戦争」というわけではないことも知っておられるだろうが、基本的には対立関係と言っていいだろう。

 ところで2016年末にIR(統合型リゾート)推進法が可決され、大きな話題となった。いわゆるカジノ法案だが、沖縄でも仲井真弘多・前知事の時には誘致に強い意欲を示し、有力候補地の1つに挙げる声も強かったのをご記憶だろうか。

 例えば14年3月の県議会で「県民合意を図るのは後で十分間に合う。早く手を挙げておかないと、間に合わない」と発言しているのだ。内閣府幹部が振り返る。

「経済産業省出身の仲井真氏は、退官後に沖縄電力に入り、会長にまで上り詰めてから地元財界に担がれて知事となりました。例えば琉球大学教授から知事となった大田昌秀氏とは違い、カネにまつわる話は目鼻が利き、決定も早いんです」

 そんな〝評価〟の高い知事が旗振り役を務めていたのだ。当時の亀井静香金融相がカジノ特区構想に賛意を示したのも、その直後のことだった。

 だが現在の翁長雄志知事となってから、IR候補地から沖縄の名は消えた。翁長知事は16年7月の県議会で「カジノ誘致は考えていない」と言明している。

 とはいえ、表面的な動きだけを見ても、沖縄の本音は分からない。本音と建前を巧みに使い分け、「沖縄ファースト」を実現してきた実積を持っている。

 翁長知事の側近は「実のところ翁長県政はカジノ誘致に反対どころか、何としてでも候補地でいたいと考えているんですよ」と明かす。 ■―――――――――――――――――――― 【写真】『宮古島市 ふるさと納税寄付金 謝礼品カタログ』より

(http://www.miyakojima-furusato.com/wp/wp-content/themes/miyakojima-furusato-tax-payment/res/pdf/furusato_miyako_tan.pdf)

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「基地問題で揉めている間のドサクサで、一気に持ってくるのが一番いいんです。だまし討ちですって? そんなことありませんよ。カネが落ちれば、沖縄で嫌な顔をする奴なんて、誰もいませんから」

 何と翁長知事の「側近」が、基地問題をカジノ誘致の〝カムフラージュ〟に使うというのだから驚きだ。

 しかし、それも当然かもしれない。カジノ誘致に成功すれば、周辺のリゾート開発も進展し、地価高騰で沖縄経済は沸き立つ。翁長知事が1期で辞めるつもりなら話は別だが、再選を目指すためには地元財界の支援は不可欠だ。

 翁長知事のIR反対という発言は建前であり、本音は積極誘致ということになる。とは言うものの、「カジノ誘致は考えていない」と言明したのは事実だ。どうやって整合性を図るつもりなのだろうか。さる県庁幹部が明かす。

「沖縄本島へのカジノ誘致となると、反対運動に負けてしまいます。もう既に、基地反対派が新しい運動の足掛りにする気配も漂っているほどです。また行政としても、もし本島にカジノがオープンするとなると、外国人客のセキュリティ問題など課題が山積して、収拾がつかないでしょう。そこで知事周辺に持ちかけられているのが、宮古島を中心とする離島IR構想です」

 宮古島には国際線が離発着できる空港も整備されており、観光客を受け入れる基幹インフラは整っている。反対運動が起きたとしても、本島の比ではない。そして何よりも、キーパーソンとしての〝活躍〟が期待されているのが下地幹郎・衆院議員(日本維新の会・沖縄1区)だという。

「宮古島カジノとなると、目玉は中国客。これも船のターミナルは大型のものがあるから大丈夫だ。後はIRの名に相応しいカジノ用ホテルと、周辺宿泊施設の建設だけど、カジノができるとなれば、建設需要で島は沸く。何より宮古島は下地幹郎さんの地元だからね。島をまとめてくれるよ」(宮古島の観光業者)

 宮古島は沖縄県内でも経済基盤の弱い島とされる。そのため島民は昔から、本島への出稼ぎを余儀なくされてきた。だからこそ、今でも観光資源が生命線。IR誘致は願ったり叶ったりというのが島の本音だという。

 だが、反対派に攻撃される〝弱点〟もある。  

 沖縄は多重債務者の潜在率で日本全体でもトップクラスだ。そのために、自殺者やうつ病患者が多いことでも知られる。その多重債務の原因となっているのが、パチンコだという。

「パチンコでカネを落とさせるために、業者は店舗のすぐそばにノンバンクのATMコーナーを設置している。そこで借りたカネでパチンコへという循環で、みな多重債務に陥っていって、ギャンブル漬けにされてしまう」(前出・宮古島の観光業者)

 またパチンコ業者も、カジノ反対運動に乗り出すシナリオも考えられるという。「カジノが来たらみな、パチンコからカジノに移ってしまう」というのが理由だ。

 とまあ、〝爆弾〟を抱えてはいるのだが、少なくとも沖縄県の〝事情通〟やら〝県政関係者〟にとって、宮古カジノ構想にはゴーサインが出たというのが共通認識なのだ。

 宮古島でも、こんな話が囁かれているのだという。

「下地さんに旗を振らせて、宮古島にカジノを作らせる。そうなれば、下地家の『大米建設』が全面的に請け負うから、何としてでも一枚噛むさ」  

 さすが沖縄。本土政府との長い交渉の経験はダテではない。

(無料記事・了)