2017年3月23日

【無料記事】中国保険大手「安邦グループ」が日本不動産を「爆買」

china hoken 2017-03-23 11.30.57

 中国の保険大手・安邦保険グループが東京や大阪、名古屋、福岡など大都市圏のマンションなど200件もの不動産物件に関心を示し、その買収に向けて約2600億円もの資金を投入していることが、関係筋の話で明らかになった。

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【写真】安邦保険グループの公式サイトより
http://www.anbanggroup.com/index.htm
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 安邦グループは2014年、米国の最高級ホテル、ウォルドルフ・アストリア・ニューヨークを買収したことで一躍、世界的に名が知られる存在となった。

 その最高経営責任者にはかつての中国の最高実力者、鄧小平氏の孫娘の夫のほか、「新中国」建国当時の軍最高指導者の孫も幹部として名前を連ねるなど、中国共産党指導部と密接に関係しており、外交筋からは「日本の資産の中国流出につながりかねない」との懸念が出ている。

 安邦グループは2005年に生命保険会社として、資本金約5億元(約80億円)で創業。10年後の15年には619億元(約1兆円)と、124倍にも膨らんだ。事情に詳しい経済ジャーナリストは「中国政府の強力な支援の下、3500万人もの顧客を獲得したため」と解説する。

 その後、安邦グループは中国政府の意を受け、海外でのビジネス展開を急拡大し、ベルギーなど欧州の金融機関のほか、韓国や米国の生命保険会社を次々と買収。不動産部門にも進出し、米国の最高級ホテルのほか、日本での不動産買収にも強い意欲を示している。

 しかし、安邦グループは2015年、不動産運用会社、シンプレクス・インベストメント・アドバイザーズ(東京都千代田区)の買収に入札したが、日本の大手不動産会社に競り負けている。

 関係筋によると、今回明らかになった、安邦グループが触手を伸ばしている不動産物件群は、中国政府直轄の投資会社である中国投資が9・9%の株式を取得している米大手投資ファンドが所有しているものだという。

 東京や大阪など日本の大都市圏にあるマンションを中心とした200件もの不動産物件で、その部屋数の総計は10000戸以上にもなる見通しだという。

「日本の不動産物件は2020年の東京五輪を控え、価格の上昇傾向が続いている。安邦グループは五輪前の転売による大規模な差益を目論んでいるようだ」

 外交筋は、安邦グループの狙いが転売益にあるとみている。更に外交関係者は「中国政府の外貨資産減少」を背景として指摘する。結局、安邦グループの買い漁りの裏には中国政府の強い指示があると考えられており、監視が必要であると警鐘を鳴らしている。

(無料記事・了)

2017年3月21日

【無料記事】財務省「ウルトラC」人事を官邸が画策

zaimu2017-03-21 20.13.28

 今年夏の財務省人事をめぐり、「ウルトラC」が発動される可能性が出てきた。

 現在の佐藤慎一次官(1980年入省)の後任には、福田淳一主計局長(1982年入省)が順当に昇格するとみられていた。だが、ここにきて、金融庁の森信親長官(1980年入省)を推す声が与党内で急浮上しているのだ。

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【写真】財務省公式サイトより
http://www.mof.go.jp/
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 地方銀行の再編を進める森氏は「辣腕」で知られており、安倍晋三首相からの信頼も厚い。政府関係筋は「安倍首相は財務省改革に向け、森氏を次官として送り込むのでは」との見方を強めている。

 佐藤氏は実に35年ぶりに主税局長から事務次官に昇格したが、官邸との距離は決して近くはない。主税局長時代には、「軽減税率」をめぐって菅義偉官房長官と対立し、次官就任後も「配偶者控除の廃止」で官邸サイドから「待った」をかけられた。消費税増税の実施を求めていたこともあり、留任の芽はまずあり得ない。

 佐藤氏が今夏に退任した後、その後任には財務省ナンバー2の福田氏が昇格するもの、と省内外で当然視されていた。一方で、佐藤氏と旧大蔵省同期入社の森氏は昨年夏に留任していて、今夏の退任が確実である。

 しかし、与党内では、「森氏を財務次官に抜擢すべし」との意見が強まっており、関係筋によると、「官邸も水面下で調整を始めた」という。

 関係筋はこう指摘するのだ。

 「これまで、『金融庁長官』から『財務次官』に横滑りしたケースはありません。ただ、内閣府次官に厚生労働省次官が横滑りで就いたケースがあり、森さんが財務次官に就任したとしても、異例とは言えません」

 森氏は大手銀行や証券会社に対し、金融商品の販売手数料を開示するよう求めているほか、地銀再編を促していることでも知られている。関係筋によると、こうした豪腕を安倍首相は高く評価しており、最近では、経済政策全般について、意見を求めることも多いという。

「首相への面会回数も財務省の福田次官を上回っており、消費税増税を求める財務省を牽制する意味合いも込めて、森さんが次期財務次官に抜擢される可能性は高いのではないか」

 政府筋はそう読む。

 ただ、森氏が次期次官に就いた場合でも、次期局長の呼び声が強かった福田局長は留任させ、来年には次官に昇格させる予定だという。

 財務省の中からは、「人事のバランスさえ守ってくれるのであれば、ワンポイントの森さん起用も納得するしかないか」との声が聞こえてくる。ただ、関係筋によれば、森氏には「将来の日銀候補」との見方もある。このため、今夏の財務省人事には霞が関中から注目が集まっている。

(無料記事・了)

2017年3月15日

【無料記事】東芝「原発損失」の原因「オプション契約」の〝闇〟

toshiba wh2017-03-15 15.02.02

 深刻な経営危機に陥った東芝。屋台骨を揺るがした米原発事業をめぐり、またひとつ、不可解な闇が広がる。米原発事業をめぐり、不可解な「オプション契約」の存在が判明したのだ。

 これは東芝が買収した米原発会社・ウェスチングハウス(WH)が、原発を発注した米電力会社との間で締結したもので、電力会社が一定以上の建設費用の負担を拒否できる内容となっているのだ。

「これではあまりに発注の電力側に有利すぎる」と業界関係筋は疑念を強めており、WH経営陣が何らかの不正をはたらいた疑いも指摘されている。

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【写真】Westinghouse Electric Company公式サイトより
http://www.westinghousenuclear.com/
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 東芝がWHの原発建設事業で7000億円近い損失を被り、今年度は債務が資産を上回る債務超過に転落する見通しであるのは報道の通り。このため、東芝は稼ぎ頭の半導体事業を切り離し、過半数の株式を売却して資金を捻出する方針を余儀なくされている。

 ただ、東芝の内外からは、「経営陣が米原発事業の巨額損失の存在を知ったのは昨年末だった。WHからの報告が遅れたためだが、会社の屋台骨を揺るがす巨額損失がなぜ、突如として発生したのだろうか」と疑う声が根強く残っている。

 東芝や業界関係者の話を総合すると、巨額損失が発生した直接の原因は、WHが米電力会社と締結していた「オプション契約」が行使されたことだった。WHは、この電力会社からサウスカロライナ州で建設する2基の原発を受注したが、電力会社が工事遅延によって発生する損失を抑える契約も追加で結んでいたのだ。

 このオプション契約では、電力会社がWHに支払う金額は最大76億8000万ドルとし、これを上回った金額は全てWH側が支払う――との内容になっている。福島原発事故の発生に伴い、米国でも原発の安全基準が強化され、工事が遅延して建設費や金利が膨れ上がり、WHに巨額の損失が発生したとされる。

 しかし、関係筋は疑念をこう語るのだ。

「疑問なのは、この契約が結ばれたのが2016年5月だったことです。福島原発の事故があって、このオプション契約の時点ではすでに原発工事の大幅な遅延は明らかにわかっていた。なぜWHがこの段階で、わざわざ巨額費用を負担しなければいけなくなるような不利な契約をしたか、意味がわからない」

 東芝関係筋によると、米電力会社側はこのオプション契約を締結するため、約5億ドルをWH側に追加で支払っている。このため、「オプション契約を仲介した米国の金融会社からWH側にバックマージンが支払われた疑いがあるのでは」との見方が東芝内外から出ている。

 東芝関係筋は「会社に損害を与えることを分かってオプション契約を結んだのであれば、明らかな背任だ。あるいは、電力会社と金融会社が組んでWHを嵌めた可能性も捨てきれない」と指摘する。

 東芝をめぐる闇はまだまだ解明しきれていないのである。

(無料記事・了)

2017年3月9日

【無料記事】東芝「会見&広報契約社員募集」の異様

TOSHIB2017-03-09 17.18.50

 創業以来最大の危機に直面する東芝。危機を乗り切るため東芝は本社で記者会見を年末の12月27日と2月14日に開いた。しかしその評判が余りに悪い。メディア関係者は「とにかく異様な会見だった」と口を揃えるのだ。

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【写真】東芝公式サイトより
http://www.toshiba.co.jp/index_j3.htm
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 2016年12月27日未明、NHKが「東芝の米国子会社が巨額減損」と報じた。それを受け同日夕方、東芝の綱川智社長の会見は開かれた。

 東京・浜松町の東芝ビル39階の最上階。大会議室の会見場に着いた記者は不思議な光景を目撃した。

「あれ? 何で1番前の席が空いているの?」

 綱川社長や経営陣が着席する目の前の席である。訝しく思いながら後方の席に座る。会見直前、ある人物が東芝の広報担当に付き添われ一番前に着席した。全てを悟った記者は思わず「はあ」と溜息を漏らした。

 会見終了後「この会見は記者以外にも証券アナリストが出席していた」ことを知る。そして前列の席はその証券アナリストたちのためだったとも理解した。

 あろうことか東芝は、重大な会見だというのに、経営陣へ優しい質問をするアナリストたちを前に座らせ、記者たちと、厳しい質問を行うアナリストは後ろに追いやったのだ。当然、記者たちは抗議した。

「アナリストを同じ会見に呼ぶのまでは許せる。しかし席を用意するのはおかしくないか」
「先着順にすべきだ」

 東芝はこの時点で、米国の原発の減損額を4000億円弱と見積もっていた。この金額なら17年3月期決算の債務超過の転落はないからだ。

 しかし年が明けた1月8日と19日に内部告発が届く。「経営陣による『不適切なプレッシャー』があった」と。ここで事態は急展開。「一気に膿を出さなければ持たない」となり、7100億円の減損に追い込まれ債務超過転落が避けられなくなった。

 その内容を公表予定だった2月14日、東芝は決算発表を延期する。しかし集まった記者からの突き上げもあり同日18時30分に東芝ビルでの会見を設定した。そして会場に到着すると、

「おいおい、また前の席が空いている」

 そう。再びアナリスト向けに一番前の席を用意していたのだ。会社存亡の危機に立っていながら、経営陣への配慮を忘れない。これがビジネスマンの鏡なのか。

 前列に陣取るアナリストたちは一切質問をしない。ただパソコンを打ち、ノートにペンを走らせるのみ。質問は後列の記者とアナリストだけだった。

 会見が終了した2日後、転職情報サイト「DODA」に東芝が広報職の契約社員を募集したことが話題になった。「メディアコントロールできる人材」が欲しいというものだ。この募集を見た記者は会見の異常性を心から理解することができた。結局のところ、東芝は心底、メディアが怖いのだ。

 だから東芝は、この後に及んでもメディアを管理したいと考えている。しかしながら、こういう態度こそが、かえって記者の怒りを買うのだ。広報としての能力はゼロどころかマイナスと言っていいだろう。

 会見に出席した記者は「正直、屈辱を受けた印象だ」と口を揃える。仕切り直しとなった3月14日の決算会見はどうなるのか。興味津々で記者たちは待っている。

(無料記事・了)

2017年3月2日

【無料記事】楽天「ブックス・EC流通鈍化」で「崩壊前夜」の声も

rakuten2017-03-02 19.06.49

 楽天ブックスが2016年度の国内インターネット通販売上高で、7位に沈んだとの情報が飛び込んできた。アマゾンやヨドバシカメラには遠く及ばず、上新電機の後塵を拝す結果だという。

 国内のネット通販の売上高はインプレスが集計して発表している。「自らが仕入れた物品をネットで販売した」結果を集計したものだ。

 そのため、例えば楽天市場なら店舗から徴収する出店料でも稼いでいるが、こうした収益システムは集計に入っていない。楽天ブックスの場合は書籍とCD、DVDの販売が主なカウントの対象となる。

 インプレスが16年12月に発表した『インターネット通販TOP200調査報告書2017』では、15年度の売上高調査がまとめられている。それによると、ベスト10は、

1位 アマゾン         9300億円
2位 ヨドバシカメラ      790億円
3位 千趣会          774億円
4位 ディノス・セシール    570億円
5位 デル           550億円
5位 上新電機         550億円
5位 楽天ブックス       550億円
8位 ニッセンホールディングス 516億円
9位 イトーヨーカ堂      500億円
10位 ジャパネットたかた     470億円

となっていた。

 16年度は発表待ちだが、王者アマゾンは1兆円を超えたことは間違いないという。2位のヨドバシカメラも1000億円に達したそうだ。

 以下、3位・千趣会は800億円、4位・ディノス・セシールは約600億円、そして5位に3社が並んでいたのが崩れてしまった。

 5位はデル、6位は上新電機、そして楽天ブックスは「全く伸びなかった」(関係者)ことから7位に転落してしまったという。

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【写真】楽天市場公式サイトより
http://www.rakuten.co.jp/
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 また楽天ブックスよりランク下となっている企業でも、集計の考え方を変えると、順位が変わるものがある。

 8位のニッセンホールディングス、9位のイトーヨーカ堂、そして20位のセブン-イレブン・ジャパンは、いずれもセブン&アイ・ホールディングスのグループ企業だ。3社を合計すると15年度でも約1300億円に積み上がる。

 そして16年度は1500億円に迫る勢いだとの情報があり、これが事実だとすれば、実質的にはアマゾンに次ぐ2位。楽天ブックスの3倍に達する。

 ユニクロの通販も年率25%超の高い伸びを見せ、16年は400億円を超えたと推測されている。まったく伸びなかった楽天ブックスの550億円──これも同じように推定額ではあるのだが──を抜くのも時間の問題かもしれない。あと1~2年後には10位に転落する可能性も決して低くないのだ。

 ちなみに調査報告書の『2014』では、楽天ブックスは450億円で9位だった。それを『2017』で5位にしたのだから、つい最近まで売上を伸ばしていたのは事実だろう。

 だが、他社がいまだに右肩上がりの成長を示す中、楽天ブックスだけが鈍化傾向にあり、取り残されているのは間違いない。

 では楽天ブックスが「凋落傾向」だとして、それは本体たる楽天市場にどれだけ影響を与えるのだろうか。

イメージとは異なり「楽天市場」の厳しい台所事情

 本題に入る前に、これまで他社が行った報道を見てみよう。例えば『東洋経済オンライン』は16年2月『成長続いた楽天、海外事業で減損の「誤算」』との記事を掲載した。
http://toyokeizai.net/articles/amp/105383?display=b

 その記事では、

・減損損失は全部で381億円に上り、営業利益を大きく押し下げた。
・10年に買収した仏ECサイト運営の「プライス・ミニスター」と、11年に傘下に収めたカナダの電子書籍企業「コボ」の2社が大きく、減損額の6割超を占めた。

などとマイナス要因を指摘したが、

・国内EC(電子商取引)事業や金融事業は、ともに成長を続けている

とも指摘。事業における国内>海外のアンバランスの是正を訴えるにとどめた。

 その1か月前には、経済系ニュースサイト『ビジネスジャーナル』が、『楽天の危機…停滞鮮明で成長「演出」に必死、ヤフーの猛攻でトップ陥落』との記事を掲載した。
http://biz-journal.jp/2016/01/post_13136.html

 こちらは、楽天に厳しい内容が多い。中でも興味深いのは、

・証券関係者が首を傾げたのは、国内のEC総額にそれまで含まれていなかった宿泊予約サイト、楽天トラベルが追加されたことだ。市場では「国内のEC総額が伸びていると見せるため」と受け取られた

との部分だ。

 では、この2つの記事を踏まえて、楽天本体の状態を読み解いてみよう。原点に戻れば、楽天ブックスの成長鈍化は、本体にどれだけ影響を与えているのかという問題だ。

 楽天ブックスという「一部門」の不調が、全体に影響を与えたとしても限定的だとするのが常識だろう。だが、関係者に取材すると異なる答えが返ってくる。「全体の流通総額もやばいのです」と声を潜めるのだ。

 例えば楽天は2月に16年12月期の決算を発表した。そこには「国内EC流通総額」として「3兆円」という数字が書かれている。

 ただこれは「市場」「トラベル」などに加え、「Edy」「カード」という金融ビジネスも加算した数字だ。では「市場」の真の数字はいくらなのか。

 楽天は15年6月期まで真面目に市場の「EC流通総額」を掲載していた。金額は5341億円だ。ところが15年9月期決算で楽天トラベルと合算した数値を出す。6836億円だった。

 ここから市場の真の数値を弾いてみよう。15年6月期のトラベルは予約を含んで1978億円。9月期は「宿泊のみ」のため20%減の1700億円と推定する。そこから市場は前四半期を下回る5100億円だったと見る。とすると、この時点で実は、楽天の伸びが止まっている懸念が生じてくる。

 その後16年9月期までは市場とトラベルを合算した数値が発表されていたが、16年12月期にカードなど金融事業を加えた数値に変更される。ただ前述の「国内EC流通総額3兆円」は年間累計だ。

 関係者によると「四半期は2兆4000億円程度」。そのうち金融が1兆6000億円を占めると見られる。そこから市場とトラベルの合算は約8000億円という線を導きだしてもいいだろう。

 トラベルは年率15%近く伸びているため約2000億円は超えるに違いない。とすれば市場は5000億円の後半になる。やはり15年6月期からほとんど伸びていないのだ。いや横ばいか減少している可能性もある。

 数字より本質を示すのが人事だ。こういう状況だからこそ、責任者だった高橋理人常務執行役員が16年7月に解任され、三木谷浩史社長自らが責任者となったのだ。

 楽天は一般的なイメージと異なり、それほど開かれた企業ではない。表面的な数字を追えば「楽天全体は好調であり、特にトラベルが利益を牽引している」と分析するのが普通なのだが、少し視点を変えれば、違った姿が見えてくる。

 そのため最も厳しい見方を示す関係者は「凋落傾向という言葉でも物足りない。このまま冴えない状態が続くのなら、崩壊の前夜と表現しても、過言ではない」とステークスホルダーなどに警鐘を鳴らす。

(無料記事・了)

2017年2月28日

【無料記事】今春上場予定「旅行代理店」の「実力鑑定」

tabi2017-02-27 17.54.15

 東京証券取引所マザーズ市場に、さる旅行代理店が上場間近なことがわかった。

 東証は今年1月から審査を始めており、早ければ4月にも上場する。ただ2016年は上場した83社中10社が上場後すぐに業績見通しを下方修正する「上場ゴール」が多発。「信頼に疑問符」(市場関係者)がつく状況だ。

 では今度の旅行代理店はどうだろうか。その実力を見定めてみよう。

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【写真】旅工房社公式サイトより
http://www.tabikobo.com/tabikobo/
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 その旅行代理店は「旅工房」という。1994年4月に設立。1996年5月から高山泰仁氏が代表となり現在に至る。資本金は9千万円、従業員は363人(16年4月時点)。「オンラインによる申し込みが主」の中堅海外旅行代理店である。

 主力取引銀行は三井住友銀行池袋支店と三菱東京UFJ銀行西池袋支店だ。今回の上場の主幹事は大和証券。監査法人も決まっている。

 16年の訪日外国人客は前年比21.8%増の2400万人に達するなど「インバウンド」は盛り上がっている。一方、「アウトバウンド」の日本人の海外旅行は減少傾向だ。観光庁によると2015年度の海外旅行の取扱高は8.4%減の2兆1、800億円。600を超える業者がひしめく旅行業界のなかで同社は「オンラインによるオーダーメイド旅行」を売りにする。

 たとえば、ナイアガラの滝を観る旅行を計画する。ネットで旅行代金を比較。予算にあるツアーが同社にあった場合、申し込む。通常はそこで完了するが、同社は違うのだ。

 すぐさま、同社の専門コンシェルジュがお礼のメールを送信。さらなる要望がないか確認して電話してくる。そこで「ホテルの部屋は滝が見えるところがいい」と頼むとそれに応える。

 このように「価格は他社と変わらないがかゆい所に手が届く」サービスが強みで、「細かい要望の多い中高年層がターゲット」である。

 業績は現段階では非公開だが、調査会社によると、取扱高は13年度が187億円、14年度が218億円、15年度が222億円と順調に伸びている。15年度の当期利益は9,000万円と14年度の1億5,000万円より減少しているが、これはリアル店舗を増やしたためだろう。

 とすると、減少傾向が続く海外旅行業界のなかでは健闘しており、市場関係者は「それなりのエクイティストーリー(成長戦略)を示せばいい株価がつく」と評価する。

 株式市場では16年3月31日に東証マザーズ上場の旅行会社・エボラブルアジアと比較すると予想される。

 エボラブル社は、公募時の時価総額は96億円だったが、上場時の初値は公募価格を33%上回る2,670円をつけ時価総額は143億円になった。その後、株式を3分割して現在の株価は3、700円前後。時価総額は公募時の6.5倍の626億円に拡大した。

 エボラブル社の直近16年9月期の業績は、取扱高が277億円で当期利益が3億4,000万円。取扱高でいえば旅工房は同水準。あとは利益が伸びる成長戦略を示すことができるかだ。

 旅工房の公募時の株価(時価総額)がどう設定されるか。それを見れば「売り」か「買い」か判断できる。さてどうなるか、楽しみだ。

(無料記事・了) 

2017年2月27日

【無料記事】孫正義が狙う「NVIDIA」人工知能を〝独占〟

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 米国で最も注目されている企業、をご存じだろうか。NVIDIA Corporation(エヌビディアコーポレーション)が、それにあたる。カリフォルニア州サンタクララにある半導体メーカーだ。

 創立は1993年4月、従業員は9,000人と中堅レベル。だが、昨今話題の人工知能(AI)の心臓部・演算処理装置(プロセッサ・ユニット)の設計を主業務にしており、大きな注目を集めている。

 そして、この会社を、孫正義氏が率いるソフトバンクが狙っているのだ。

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【写真】NVIDIA公式サイト『ディープラーニングとAI』より
http://www.nvidia.co.jp/object/deep-learning-jp.html
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 NVIDIAの創業者はジェン・スン・ファン(黄仁勲)氏。台湾・台北市で1963年に生まれ、アメリカへ移民。オレゴン州立大学、スタンフォード大学などを経て、NVIDIAを起業。まさに立志伝中の人と言っていいだろう。

 3次元画像を高速処理するプロセッサ・ユニット(GPU)の開発が原点。当初はパソコン用が主体であり、インテルやAMDの後塵を排していた。しかしAI技術の進展に伴い、同社のGPUが注目されるようになった。

 最近のAIを支える技術はビッグデータと深層学習=ディープラーニングだ。大量のデータを高速で処理するとともに、分析したデータをさらに深く掘り下げ精度を高める。その結果、囲碁や将棋でプロと対等に戦えるようになった。

 しかしそのためには高速処理が可能な高性能コンピュータが不可欠であることは言うまでもない。複数台のネットワーク接続で高速処理は実現できるが、それでもコンピュータの演算処理能力は高いほうがよい。

 さらに最近、画像や音声認識をAIで実行する分野も発展してきた。それら環境の変化もありNVIDIAのGPUへの関心が高まった。

 NVIDIAのGPUは3次元の画像処理が中心だ。ということは、高速処理が得意なのである。AIといえばIBMの「ワトソン」やグーグルの「アルファ碁」が有名だが、どんなに優秀なソフトウェアがあってもそれを高速に処理する高性能コンピュータとその心臓部プロセッサ・ユニットがなければ話にならない。

 そしてNVIDIAには高性能コンピュータ(提供チップセット=Tesla)からゲーム(同GeForce)、モバイル(同Tegra)、果てはドローン(同Jetson)や自動車(同PRIVE PX)まで対応可能な製品がある。

 日本では工場用ロボット製造のファナックが提携しているが、世界ではグーグル、フェイスブック、マイクロソフト、中国・百度が採用するなど、その高速処理能力をAI分野に生かそうと各社競っている。

 注目度が高まったここ一年、上場している米ナスダック市場でも株価は3倍以上の100ドルを超え、時価総額は500億ドル(約5兆円)に達した。まさに昇り竜の勢いだ。

 そのAIの心臓部を担う〝昇り竜〟にソフトバンクが目をつけた。

 すでに2,000億円を用意して秘かに市場で買いつけを始めている。さらに追加の資金が必要な場合は、サウジアラビア政府と提携して発表した総額10兆円の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を活用する。そのうえで資本提携または買収を狙う。

 ソフトバンクは2016年、英国の半導体設計大手のARMを3兆3,000億円で買収した。ARMはスマートフォン搭載のプロセッサを展開しており、モバイル市場では85%という圧倒的シェアを誇る。

 このモバイルの心臓部を握るARMとAIの心臓部を司るNVIDIAを手中にすることで、未来の覇者になろうという青写真だ。NVIDIAは、今後発展が見込めるIoT──モノのインターネット分野──のプロセッサ・ユニットも有し、単なるAIチップメーカーではない。ソフトバンクにとって垂涎の的なのだ。

 この一年でNVIDIAの時価総額は大きく跳ね上がった。ARM買収より大きい買い物になることは必至である。ソフトバンクの次の一手に目が離せない。

(無料記事・了)

2017年2月22日

【無料記事】ベンチャー企業に騙された「住友銀行秘史」國重惇史氏

kuni2017-02-21 22.37.19

 バブル期のイトマン事件を巡る暗闘を描いた『住友銀行秘史』(講談社)の評判が高まる一方だ。硬派の「経済事件ノンフィクション」にもかかわらず、部数は13万部を突破。異例のベストセラーは、著者の國重惇史氏(71)にも関心が集まっている。

 ところが、ご存じの方も少なくないだろうが、実は國重氏、なかなか波瀾万丈というか、お騒がせな経歴の持ち主なのだ。

 スタートは典型的なエリートコースだ。東京大学経済学部を卒業し、68年に住友銀行(現・三井住友銀行)に入行。当時の銀行にとっては最重要ポジションの1つであるMOF(大蔵省)担当として名を馳せ、94年には48歳の若さで取締役に抜擢される。

 イトマン事件に直面したのは90年。この頃にメモしていた住友上層部の動向を、今回の著書で暴露したことになる。

 文中の登場人物は全て実名。一読した当事者たる住友OBらは凍りついたという。著者自身も、事件化を狙って怪文書を作成し、当局やマスコミに配布していた事実を明らかにしている。

 詳しくは國重氏の著書を読んで頂くとして、興味深いのはその後の人生だ。

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【写真】リミックスポイント公式サイトより
http://www.remixpoint.co.jp/
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 97年に住友キャピタル証券の副社長に就任するが、99年にDLJディレクトSFG証券の社長となる。

 同社は楽天証券の前身。つまり頭取候補とも言われていた國重氏は楽天に転職したのだ。同社の三木谷浩史社長に三顧の礼で迎えられたと報じた社もあった。入社後は三木谷社長の片腕として金融部門などを統括。副社長まで上り詰める。

 だが、好事魔多し──。

 週刊誌『週刊新潮』(14年5月1日号・新潮社)が、國重氏が都内在住の専業主婦とダブル不倫の関係にあることを報道。結果、「一身上の都合」から楽天を退社することになってしまう。

 そして15年6月、株式会社リミックスポイント(東京都目黒区東山)というベンチャー企業に請われ、國重氏は社長に就任する。

 ところが、この会社、資金繰りの悪化などで不透明な増資が続くなど、悪い意味での注目を集めていたのだ。

 その経緯は、ニュースサイト『ビジネスジャーナル』の記事『あの元楽天副社長、いわく付き企業社長として窮地&孤軍奮闘…反社勢力の詐欺を回避』(高橋篤史氏・ジャーナリスト)に詳しい。
http://biz-journal.jp/2016/11/post_17196.html
 内情を知る関係者が苦笑する。

「なんのことはない、このベンチャーが危険な会社だということにようやく気付いて、とにもかくにも逃げ出したというのが、ことの真相ですよ」

 中古車のオークションサイトとして事業を始めたリミックスはその後、競争激化で事業転換に追い込まれる。更に16年10月には資金繰りが悪化し、香港企業に大規模増資を引受けてもらうことを決めた。

 だが上記の記事にもあるが、この増資、かなり不透明なのだ。「不正な資金確保の疑いがある」との噂がつきまとい、証券取引等監視委員会など関係当局が水面下で内偵調査に乗り出したほどだ。

 そうした流れの中で、國重氏は16年末、「経営責任を明確化する必要がある」として社長職を辞任した。関係者が明かす。

「リミックスでは國重さん以外の役員は辞めていません。何のための経営責任なのか、これでは投資家に伝わりませんね。國重さんは自らの著作がベストセラーになって、注目される存在になった。高給で社長職を引き受けたものの、怪しげな増資が当局の目に留まり、怖くなって逃げ出した。これが彼の突然の辞任劇の真相ですよ」

「頭取候補」との声もあったほどだから、國重氏は有能な銀行マンとして業界では有名だった。一方で、女性関係が派手など、エリートらしからぬ脇の甘さも目につく。著作では年末年始、妻とは別の女性と海外旅行していた事実を明らかにしているほどだ。

「経営が危ないリミックスは、最初から國重氏を『信用補完』のつもりで社長に据えた。その魂胆に、國重氏は元銀行マンだというのに気づくのが遅すぎた」(同・関係者)

 やはり銀行関係者からも、國重氏の甘さを指摘する声が強い。ところが皮肉なことに現在、リミックスポイントの株価は絶好調なのだ。仮想通貨の店舗決済サービスが好材料と受け止められているという。

 とはいえ、所詮は〝株のプロ〟が注目する話だ。株に全く手を出したことがないか、〝健全〟な個人投資家なら、國重氏の判断を──遅きに失したとはいえ──支持するに違いない。

(無料記事・了)

2017年2月10日

【無料記事】「ビール減・発泡酒増」酒税改革「サントリー政治力」

SUNTORY2017-02-10 13.31.45

 来年度の税制改正で、ビール類飲料の酒税を統一することが決まった。ビールの税額は下がり、発泡酒や『第3のビール』の税額は上がる。

 飲兵衛の間でも意見が分かれているが、一本化は「10年先」と時間をかけることも決まったこともあり、ビール4社の間でも明暗が分かれたのだ。そして業界の間では「ビールの取扱量が少ない『サントリー』の政治力にやられた」と怨嗟の声で溢れているのだという。

 自民、公明両党が決めた酒税の見直しによると、国際的にも高いビールの酒税を段階的に引き下げる一方、低い税率が適用されている発泡酒や『第3のビール』を3段階で引き上げる。

 これによって販売価格も変わってくるが、実際の税率改定は4年後に始まり、ビール類全体の税率は10年後に統一される――というのは、メディア報道の通りだ。

 ビール類の酒税見直しは、以前からの課題であった。ビールに対する日本の税率は国際的にも高く、国内各社は税率が低い独自の発泡酒や『第3のビール』を開発してきた。

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【写真】サントリー金麦公式サイトより
http://www.suntory.co.jp/beer/kinmugioff/index.html?fromid=top_mv1
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 海外ではこうした種類の酒は販売されておらず、日本だけでガラパゴス化した歪んだ競争が繰り広げられてきた。これによってビール各社の海外進出は遅れ、再編が急ピッチで進む国際競争から完全に取り残されている。

 しかし、ビール各社の思惑は、立場によって大きく異なる。ビールが強い『アサヒビール』や『サッポロビール』は早期の税率改定を求めてきたが、発泡酒が強い『キリンビール』や『サントリー』は税率改定に消極的だった。関係筋が明かす。

「サントリーは昨年10月下旬、安倍晋三首相や麻生太郎財務相、二階俊博・自民党幹事長ら要人を集めた説明会を開催しました。業界に影響の少ない形での税制改正を要請したとのことですが、結果としてはビールが弱く発泡酒が強いサントリーに好都合な『10年先』という条件の改正となりました。これが業界に波紋を投げかけたのです」

 別の関係筋は「税制改正要望は業界全体で行うことを申し合わせていたのに、サントリーは抜け駆けした」と憤る。

 一方で、サントリー関係者は「あの会合は毎年恒例で開催している。安倍首相を前に、『うちのために酒税の見直しを控えてほしい』などと要望するわけがないだろう」と反論する。

 ただ、『ローソン』からサントリーに転じてきた新浪剛史社長は、安倍首相が議長を務める経済財政諮問会議の有力メンバーだ。

 サントリーは発泡酒や『第3のビール』が、ビール類売り上げの7割を占める。それらが税制改定で大幅に値上がりすれば、打撃は大きい。

 サントリー関係者による強い反論にもかかわらず、業界では「サントリーは税率改定によるショックを最小限にすべく、必死で動いていた」という証言が相次いでいるのは事実なのだ。

(無料記事・了)

2017年2月1日

【会員無料】みずほFGの経営統合「リースと不動産」で暗闘

mizuho2017-01-31 18.13.28

 みずほフィナンシャルグループ(東京都千代田区大手町・証券コード8411)傘下の企業が新たに経営統合を模索し始めた。早ければ年内にも道筋をつけ、来年には実施という段取りを考えているようだ。

 経営統合を検討するのは、傘下リースの芙蓉総合リース(千代田区三崎町・8424)と興銀リース(港区虎ノ門・8425)。そして不動産のヒューリック(中央区日本橋大伝馬町・3003)と東京建物(同区八重洲・8804)である。

 みずほFGは2013年2月に『ONE MIZUHO』を掲げ、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の「旧3行による派閥争いをなくす」と宣言した。

 14年6月には委員会設置会社へ移行。社外取締役に就いた川村隆・元日立製作所会長から「グループ傘下企業がいくつもあるのはおかしい」と指摘され、銀行、証券、資産運用会社の統合を実施してきた。
 
 そして次に検討課題となったのが、まずリース会社である。グループ内には芙蓉総合リース、興銀リース、そして東京センチュリー(千代田区神田練塀町・8439)の3社がある。

 全社とも、みずほ系とはいえ、東京センチュリーの筆頭株主は伊藤忠商事だ。株式保有率は25%。「3社統合は簡単ではない」とし、芙蓉総合リースと興銀リースの経営統合を模索することになった。

 ところが、芙蓉総合リースと興銀リースは上場会社。「上場会社の社長や役員の椅子を手放したくない」として、両社の役員は統合を渋っていた。

 業を煮やしたみずほFGの佐藤康博社長は15年、FG副社長の辻田泰徳氏(旧富士銀出身)を芙蓉総合リースの社長に送り、16年6月にはみずほ証券の社長だった本山博史氏(旧興銀出身)を興銀リースの社長に就けるという〝荒療治〟を断行した。

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【記事の文字数】1700字
【写真】みずほFG公式サイトより
https://www.mizuho-fg.co.jp/index.html
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