2017年1月10日

【無料記事】MXTV「基地反対運動〝バイト説〟」は沖縄県民も同意

okinawa2017-01-08-13-33-23

 東京都のローカルテレビ局『TOKYO MX』(東京メトロポリタンテレビジョン)の番組『ニュース女子』(月曜22〜23時)が1月2日、沖縄県の基地反対運動について否定的な報道を行い、波紋が広がっている。

 番組で司会を務めるのは東京・中日新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏、現地レポートは軍事ジャーナリストの井上和彦氏が担当した。

 取り上げられたのは東高江村周辺で行われている、米軍のヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)建設反対運動。

 報道では、参加者を「テロリスト」と呼んだほか、「日当をもらっている」「組織に雇用されている」との指摘が行われた。雇用者としては反ヘイトスピーチ団体『のりこえねっと』を実名で挙げた。

『のりこえねっと』は2013年9月に結成され、共同代表として辛淑玉、上野千鶴子、宇都宮健児氏など23人の名前が記されている。
https://www.norikoenet.org/

 MXの報道に関する検証や、のりこえねっと側の反論などについては、ニュースサイト『Buzz Feed Japan』の『「沖縄の基地反対派は日当もらっている」MX報道 その根拠となる取材と証拠とは』に詳しい。
https://www.buzzfeed.com/kotahatachi/okinawa-tokyomxtv?utm_term=.yhnP4yWL7#.ypZav1o2Y

 上記の記事にも書かれているが、

①のりこえねっと側が「市民特派員」を募集していること
②特派員には沖縄県への「渡航費」5万円が支給されること
②県内都市部から高江村へ移動するため「行動費」月1万円とガソリンの現物支給を行っていること

の3点は事実だとされている。
■――――――――――――――――――――
【写真】Twitterにアップされた「のりこえねっと」による「市民特派員募集」のツイート
■――――――――――――――――――――
 ところで弊誌は2016年11月、沖縄県那覇市泊の『軽食の店 ルビー』を舞台とした記事を掲載した。

『冷静な沖縄県民は「基地反対派は〝土人〟ではなく〝本土人〟」と揶揄』
http://www.yellow-journal.jp/society/yj-00000366/

 ルビーは観光客にも地元民にも人気だ。軽食と言うが、実際のところは定食屋に近い。量が極めて多く、おまけに深夜になるほど繁盛する。夜の遅い沖縄ならでは、の光景だろう。
 
 昨年、16年の師走は、オリオンビールを注文し、まずは乾杯というグループが目立ったという。毎晩が忘年会並みの賑わいとなるなか、地元紙の『琉球新報』は12月20日15時3分、ネット上に『【電子号外】辺野古 沖縄県が敗訴 最高裁、上告退ける』と報じた。

<翁長雄志知事による名護市辺野古の埋め立て承認取り消しを巡り、国が県を相手に提起した不作為の違法確認訴訟で、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は20日午後、上告審の判決を言い渡し、県の上告を退けた>

 引用したのはPDFファイル号外のリード部分だ。今も読むことができる。
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-414888.html

 だが、衝撃的なニュースだったにもかかわらず、かなりの沖縄県民は冷静な──いや、クールと形容していいほどの冷淡さも感じる──態度で報道を受け止めていた。

 なぜなのか。その背景として、「辺野古移設反対」を叫び、バリケード前で座り込みを続ける反基地党争の〝兵隊〟たちに対し、「実はバイトではないのか」という疑惑で地元はもちきりだったことが挙げられる。

 つまりMXの報道が行われる前から──当然ながら沖縄県でMXテレビは放送されていない──同種の話は県内で広範囲に伝わっていたのだ。

 県民こそ基地問題における当事者中の当事者だ。誰に遠慮する必要もない。もともとルビー店内では「まるでホームレスみたいな連中がたむろしているよな」と以前から話題になっていた。

 ところが、それに加え、〝特派員〟たちには沖縄までの旅費、滞在費、更には日当まで出ているらしいという「噂」が付け加わった。繰り返すが、旅費と交通費などの「行動費」は、実際に支給されている。

 日当も含めた「噂話」は今のところ、かなりの県民は信憑性があると判断しているようだ。そうしたこともあり、県民は〝特派員〟やら〝闘士〟を見る目にも冷やかさが増す一方となっている。

 ところで、このルビーだが、特に観光客がメニューに驚くのは、A、B、Cという3種類が用意されている「ランチ」だろう。ランチといっても開店から閉店まで、いつでも食べられる。ちなみにAランチの内容はというと、

・ごはん
・チキンスープ
・キャベツ
・マカロニサラダ
・ビーフカツ
・卵焼き(大)
・ウインナー
・ポーク(2分の1)
・ハム
・ハンバーグ

という強烈なボリュームだ。出典記事には写真も掲載されている。
『ABCランチの違いを考える(第二回:ルビー宜野湾店)』
http://www.dee-okinawa.com/topics/2015/02/abc-02.html

 しかし当然ながら、それだけではなく、「ポークたまご」「ゴーヤちゃんぷる」「へちまみそ煮」などという──観光客にとっては、これらこそ「沖縄料理」だというイメージが強い──食べ物も揃っている。

 そんな多彩な料理を楽しみながら、地元民は「辺野古疑惑」の話に花を咲かせる。

「本土の組織からバイトとしてきている連中だから、反基地って叫ばれたって、なんにも説得力がないさ」
「そんないいバイトがあるんだったら、俺たちだってカネもらって座ってたいもんだ」
「体よく、本土のやつらに稼ぎにこられてたまらんさ」

 噂の発端は、近年になり復活を遂げつつあるという「沖縄市吉原」(沖縄市美里1丁目付近)──コザという名前ならご存じの方も多いだろうか──の「ちょんの間」だという。大阪からやって来た〝出稼ぎ兵隊〟が、自分には諸経費だけでなく日当も出ていると、女性に口を滑らせてしまったらしいのだ。

 1人が知れば、「門中」(=一族郎党)すべてが知り、門中皆が知れば、沖縄でも誰もが参加している「ゆい」(相互互助の頼母子講)の皆が知り……そして話は一気に広まっていく。

 そこには「反基地運動でカネがもらえるのなら、本土の人間ではなく、俺たちこそ勧誘し、旅費やら交通費を払えばいいだろう」──という、甘いイデオロギー闘争などとは比べ物にならない、ビターな沖縄の「本音」が見え隠れする。

(無料記事・了)

2017年1月5日

「国税の天敵」と呼ばれた男が狙う「カジノ利権」

ir2017-01-04-21-29-23

 今も国税関係者に「天敵」と呼ばれる男がいる。名前は和田誠一。武富士の創業家長男の資産アドバイザーを務め、国税と対峙した巨額贈与税裁判に勝利。国から2000億円を巻き上げた男である。その男が次の獲物に狙いを定め動き始めた。

 狙うはカジノ利権。「統合型リゾート(IR)整備推進法案」―――。

 いわゆる「カジノ法案」が2016年12月15日に国会で成立したことを受け、米国カジノ業界の雄・MGMリゾーツ・インターナショナルに猛烈なアプローチを行っている。
■――――――――――――――――――――
【記事の文字数】1200字
【写真】MGMリゾーツ・インターナショナルの公式サイト
http://www.mgmresorts.co.jp/
■――――――――――――――――――――

» Read more

2016年12月30日

「島根女子大生殺害事件・後篇」異常な死体損壊と「死体マニア」証言

@“‡ª‚̏—Žq‘吶ˆâŠüŽ–Œ‚Å“‡ªŒ§Œx‚ªì‚Á‚½ƒ`ƒ‰ƒV

(承前)捜査関係者は、

「下関市内にある矢野容疑者の実家などを家宅捜索したところ、押収したデジカメとUSBメモリから、行方不明後の平岡さんの画像を発見したのです。それが容疑を固める決定的な証拠となりました」

と明かした。この後の取材を、一問一答で見て頂こう。

──「行方不明後の平岡さん」とはどういう意味か? また、どのような画像が残っていたのか?

捜査員 デジカメには38枚。USBメモリには19枚。重複しているものもあるので、それを省けば全部で40種類の画像を確認しています。画像は、全て遺体を写したものです。「行方不明後の平岡さん」と表現したのはそういう意味ですが、遺体を損壊する前と、損壊後の様子、両方写っていました。
■――――――――――――――――――――
【記事の文字数】約4600字
【写真】島根県警が作成した、情報提供を呼び掛けるビラ(撮影 共同通信)
■――――――――――――――――――――

» Read more

2016年12月29日

【無料】「島根女子大生殺害事件・前篇」新聞報道された容疑者の「学歴」

shimane12016-12-27-23-29-27

 既に犯人が死亡していたという事実は、警察も想定外だった──。

 2009年、島根県浜田市に住んでいた、県立大1年の平岡都さん(当時19)が行方不明となり、その後、広島県内の山中で切断された遺体となって発見された事件。ネット上では未解決事件としての「島根女子大生死体遺棄事件」と、「島根女子大生殺害事件」が現在も混在している。

 2016年12月20日、島根・広島両県警は、矢野富栄容疑者(当時33)を殺人などの疑いで書類送検した。

 7年前の事件直後に交通事故で死亡していた矢野容疑者だが、平岡さんの住む浜田市の隣、益田市に住んでいた。なぜ、それほど近くに容疑者が生活していたにもかかわらず、捜査に7年もかかってしまったのだろうか。

 そして容疑を固める最大の〝決め手〟となったデジカメ、USBメモリに残されていた画像とは一体、どんなものだったのか。詳細な経緯を含め、捜査関係者から話を聞いた。

■――――――――――――――――――――
【写真】島根県警公式サイト「女子大学生死体遺棄等事件の送致について」より
http://www.pref.shimane.lg.jp/police/hamada.html
■――――――――――――――――――――
 7年という歳月は事件を風化させるだけでなく、死亡した矢野容疑者の記憶と痕跡も消し去ってしまう長さだったようだ。当時、矢野容疑者が住んでいた自宅周辺を取材した記者は、あまりの手応えのなさに途方に暮れたという。

「矢野容疑者が当時住んでいたのは、益田市内にある1戸建ての借家でした。周辺には何件か民家もあり、大家さんも近くに住んでいたので、何かしら証言が出てくると思っていたのですが、実際は真逆の結果となりました。まず大家さんは『契約などは不動産屋に任せていたから会ったことはない』の一点張り。隣近所に矢野容疑者の顔写真を見せても『全く記憶にない』と口を揃えます。考えてみれば、容疑者は独身で33歳。町内会にも所属せず、7年前に数か月しか住んでいなかったのですから、覚えているはずもないと思い知らされました。おまけに矢野容疑者の死後、その借家はある家族が住み、去年までは別の家族が住んでいたようです」(社会部記者)

 ここで事件の詳細を、簡単に振り返ってみよう。ことの発端は2009年10月26日の夜。島根県立大1年だった平岡都さんは浜田市内でアルバイトを終えると、行方不明となる。そして翌11月6日、頭部が北広島町の臥龍山山中で発見。その後胴体などの複数の部位が相次いで発見された。

 遺体をバラバラにする猟奇的な殺人事件ということもあり、多くのマスコミが現地に入り取材をした。しかしその後は有力な目撃情報も得られず、進展を見せないまま事件は迷宮入りしたかに思えた。

 ところが、今年に入って警察が行ったある捜査をきっかけに、点と点がつながり容疑者特定にたどり着いたという。その経緯について、ある捜査関係者が取材に応じてくれた。その一問一答を、ここで再現する。

──矢野容疑者に捜査本部が接触したのは、どんなタイミングだったんですか?

捜査員 実は事件が発生してから、任意で事情を聞いた記録があります。なぜ聴取したのか、当時の詳しい捜査状況まで、私は知りません。ただ、特に「怪しい」という情報があったわけではなく、あくまでも広範囲な聴取対象の1人だったようです。その時には矢野容疑者と平岡さんの接点は見つからず、他の疑わしい人間の捜査に力を入れていました。

──では、矢野容疑者が〝犯人〟として浮上した経緯は?

捜査員 今年、2016年に入って捜査本部で改めて、周辺で起きた性犯罪事件を洗いなおしました。それと車両の移動記録を突き合わせると、矢野容疑者が遺棄現場近くで車を走行させていたことが分かったんです。

 これまでに「矢野富栄」という人物は、何度か新聞紙上に氏名が掲載されている。まず、それを振り返っておこう。

 まず西日本新聞が1994年12月20日に掲載した、『[合格おめでとう]九州工業大、図書館情報大』という記事に、九州工業大「情報工学部知能情報工学科」の合格者の1人として「鎮西敬愛」高校の「矢野富栄」という生徒名が記されている。

 次に朝日新聞の山口県版は2009年11月11日、『中国道死亡事故、男女の身元判明 県警高速隊』の記事を掲載した。

 先に見た矢野容疑者が死亡した交通事故についての報道だ。文中では事故を、

<中国自動車道下り線で11月8日、乗用車がガードレールに衝突、炎上し、乗っていた男女2人が死亡した事故>

とし、県警高速隊が死亡者を発表したと伝えている。2人の姓名は、

<運転していた下関市神田町1丁目、会社員矢野富栄さん(33)と、助手席の母で自営業の貴美子さん(58)>

となっている。

 さて、2009年に交通事故で死亡した33歳の「矢野富栄」は誕生日が不明だとはいえ、1994年に18歳だった可能性はある。

 更にサンケイスポーツは16年12月21日の『島根女子大生殺害 7年を経て急展開…事故死男を書類送検』の記事では、容疑者の経歴を次のように記した。

<矢野容疑者は山口県下関市で小中学期を過ごし、近所の人は「おとなしい普通の子だった」と語る。北九州市の私立進学高では特進クラスに所属し、福岡県の国立大夜間部に進学したが、中退。実家近くのラーメン店などでアルバイトをして、09年4月に住宅設備会社に就職した>

 鎮西敬愛高校は現在、敬愛高校に改称している。所在地は福岡県北九州市門司区。九州工業大学も、北九州市戸畑区に本部を置く。

 この矢野容疑者だが、過去に性犯罪の前科があった。罪に問われたのは、2004年に北九州市や東京都内で、面識のない女性に刃物を突き付け、わいせつな行為をしようとケガをさせるなどした3つの事件だ。裁判は東京地裁で開かれ、3年6カ月の実刑判決を受けている。

「数少ない点と点のつながりですから、早速周辺を調べはじめましたが、すぐに7年前に事故死していたことも判明しました。ただ、そこで捜査を止めるわけにはもちろんいきません。下関市内にある矢野容疑者の実家などを家宅捜索したところ、押収したデジカメとUSBメモリから、行方不明後の平岡さんの画像を発見したのです。それが容疑を固める決定的な証拠となりました」(前出の捜査関係者)

(無料記事・了 後篇に続く)

2016年12月26日

サイト破産「日税連理事」逮捕は「権力闘争」の被害者説

nzr2016-12-26-11-51-09

 家電通販サイト『まいど』を出店していた運営会社DKCが2015年4月に破産した問題は、今年に入って日本税理士会連合会(日税連)に大きな衝撃を与えている。

 まずは、まいどの破産問題を新聞報道で振り返ってみよう。『家電通販サイト『まいど』運営会社が破産 ヤフーポイント不正取得、負債総額75億円』(産経新聞)との一報から始まる。
http://www.sankei.com/west/news/150428/wst1504280077-n1.html

 この記事のポイントは、

・DKCはYahoo!や楽天などに「まいど」を出店していたが、3月6日に閉鎖。Yahoo!は架空取引によるポイント不正取得について、詐欺罪での告訴を検討中。

 

・DKCは粉飾決算で売上高を水増し、金融機関から多額の融資を受けたが、少なくとも数億円が支途不明。

の2点だ。

 続報は16年9月、「管財人にうその説明容疑=破産会社の元社長逮捕-警視庁」(時事通信)になる。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016092800604&g=soc

 こちらも要約させてもらおう。

・破産管財人に嘘の説明をしたとして、警視庁捜査2課が破産法違反(虚偽説明)容疑で、DKC元社長・福本繁夫容疑者を逮捕した。

・逮捕容疑は15年5月中旬、自分名義の口座から引き出した現金2000万円について、管財人に対し「知人男性への返済に充てた」と嘘の説明をした疑い。

 

 更に報道は続く。16年10月には、『破産直前に財産隠す 容疑の通販サイト元社長逮捕 警視庁』(産経新聞)と報じられる。

http://www.sankei.com/affairs/news/161019/afr1610190023-n1.html

・破産を見越して債権者から財産を隠したとして、警視庁捜査2課は破産法違反(詐欺破産)容疑で、DKC元社長・福本繁夫容疑者を再逮捕、新たに同元社員も逮捕した。

 

・逮捕容疑は2015年2月、福本容疑者の口座にあった現金約1900万円を引き出し、福本容疑者の債権者から隠した疑い。

 

 

 そして16年10月、事件は日税連に〝飛び火〟する。記事は『日本税理士会常務理事を逮捕 破産管財人に虚偽説明 警視庁』(産経新聞)などだ。
http://www.sankei.com/affairs/news/161020/afr1610200028-n1.html

・顧問先の会社社長の破産管財人に虚偽の説明をしたとして、警視庁捜査2課は20日、破産法違反(虚偽説明)の疑いで税理士、中村一三(かつぞう)容疑者を逮捕した。

・中村容疑者は日本税理士会連合会常務理事。DKCの元顧問税理士だった。

・逮捕容疑は2015年5月、福本繁夫容疑者が破産する直前の同年2月に現金約1900万円を自身の口座から出金した理由について、破産管財人に対し、「知人に返すため」と虚偽の説明をした疑い。

・捜査2課は、中村容疑者が福本容疑者の破産を見越し、虚偽説明用の書類の作成などを福本容疑者らに指南したとみている。

 

 

 日税連側は「逮捕された税理士はふだんから顧客企業に対する税務指導が強引だった」と〝個人犯罪〟であることを強調しているが、関係者は事件の背景として「東京と大阪で繰り広げられている税理士の権力闘争があった」と指摘する。
■――――――――――――――――――――
【記事の文字数】2200字
【写真】日本税理士会連合会公式サイト「会長挨拶」より、動画「就任の抱負」に表示される神津信一会長
http://www.nichizeiren.or.jp/nichizeiren/fro_chairman/
■――――――――――――――――――――

» Read more

2016年12月22日

「iQOS」など加熱式タバコ大人気で「ヤクザ」跳梁跋扈

iqos2016-12-22-11-50-11

 巷で話題の加熱式タバコ、この先鞭をつけたのが、マルボロを扱うフィリップ・モリス・ジャパンが発売したiQOS(アイコス)だ。初めは名古屋で試験的に発売し、その後販売地域を増やし全国的な販売を開始した。

 ところが、このiQOS、発売当初は大した話題にもならなかったと筆者は記憶している。タバコ販売店で店員が勧めてきたり、イベントのブースではキャンペーンガールが喫煙者に声をかけたりするケースが、よく見かけられた。

 では、何がブームのきっかけとなったのか?
■――――――――――――――――――――
【筆者】花田歳彦
【記事の文字数】3700字
【写真】iQOS公式サイトより
https://www.iqos.jp/index.php?dispatch=landing_page.light#1
■――――――――――――――――――――
» Read more

【無料記事】「カジノ解禁」は「風俗業界」にも巨大商機到来

ŠÕŽU‚Æ‚µ‚½‹gŒ´‚̃[ƒvŠX

 遂に自民党悲願のカジノ法案が成立した。

 ギャンブル依存症への対策がクローズアップされているが、とにもかくにも日本にIR(統合型リゾート)が誕生する。既に動いているのは、ユニバーサルエンターテインメント(旧アルゼ・東京都江東区有明)やセガサミーホールディングス(港区東新橋)といったパチンコ・パチスロ・ゲームメーカーばかりでない。世界に冠たる日本の「FUZOKU」つまり風俗産業も虎視眈眈とビジネス拡充を狙っているのだ。

■――――――――――――――――――――
【写真】東京・吉原のソープ街(撮影・産経新聞社)
■――――――――――――――――――――

「金持ちがカジノに集まるのには理由があります。プライベートジェットで世界中から飛んでくる目的は、実はギャンブルが1番の目的ではないんです。賭博など富豪にとっては結局、儲かっても損しても端金です。彼らが本当に楽しみにしているのは、現地のオンナなんです。カジノあるところに売春あり。この法則が当てはまらないカジノはありません。そういうことで、日本でカジノが解禁になると、風俗産業にビジネスチャンスが生まれるというわけです」

 こう解説するのは、海外駐在経験の豊富な、現役のメガバンク役員だ。

 役員氏は、これまでに数多くの海外カジノを訪れ、実際に遊ぶことでリアルな現状を熟知している。同じようにして「日本カジノ解禁」に備えてきた風俗業界の関係者は少なくない。さるソープランドのオーナーが打ち明ける。

「お台場にカジノができたら、すぐに手配をしないとな。もう、うちは様々な関係者に指示を出しているよ」

 これまでにも、日本のAV女優らを斡旋する専門デリヘルが中国人富裕層をターゲットにしたことはあった。だが今回の風俗業界に対する〝IR=カジノ神風〟では、ソープ業界の鼻息が荒い。

「デリヘルは〝本番〟の有無にかかわらず、結局は平凡なセックスの範疇を出ない。だが、訓練された泡姫の泡踊りだけは世界中、どこに行っても日本のソープでしか堪能できないんだ。だから、お台場のカジノ客を吉原に引っ張ってくるだけじゃなく、どうやって吉原と同じサービスをカジノVIPの客室に届けるかが鍵だ。カジノ計画がスタートしたら、新規事業として始められるようにしておく」(同・ソープオーナー)

 さすがは日本を代表するソープオーナーだ。日本の泡姫を「AWAHIME」として、クールジャパンの裏目玉にする計画だという。確かにケツの穴まで舐めてくれる献身的なサービスは世界に類例がない「オンリーワン」に違いない。

「うちは昔から外人観光客にも対応してきたからね。デリヘルなんかとは一日の長がある。内装も外人好みにもしている。風呂も外人の体格を考えて広目で、なおかつ和風テイストを感じさせるものも用意してきたよ」(同)

 あまり知られていないが、最近では稼げる日本人風俗嬢は、既に海外カジノに〝移籍〟している。先のメガバンク役員は「日本では『いい女の空洞化』も始まっているんですよ」と苦笑する。

「この間もマカオのカジノを視察しましたが、娼婦のいる場所には船で渡るんです。下船の順番は船長が決めるんですけど、これがそのままオンナの部屋に入る順番になります。1番人気は色が白くて巨乳のロシア系です。そしてマカオで、つまり世界で2番目に人気なのが日本人なんですよ。GDPじゃ中国に敵いませんが、日本女性は世界2位なんです。日本にカジノが来たら、世界中の富豪が買春のためにプライベートジェットでばんばん飛んできますよ。ソープ業界が商機を見逃すはずはありませんし、デリヘルもカジノバブルの恩恵に与るでしょう。そしてソープとデリヘルの競合が激しくなればなるほど、サービスを受ける側にとっては相乗効果が期待できるのは理の当然です」

 カジノオープンXデーに向けて、既に「オンナの商品開発」は始まっているという。先のソープオーナーは自信に満ちた笑みを浮かべる。

「デリヘルを徹底的に研究しろと言ってる。勝負はデリヘルとの差別化だ。泡姫は日本固有の文化だと富裕層に思わせれば勝ちだよ」

(無料記事・了)

2016年12月21日

【無料記事】年末年始「自殺増加」不動産屋「隠蔽裏技」の実態

国会議員刷帯カバー

 不動産関係者は「年の瀬には自殺が増加する」と口を揃える。実は厚労省などのデータでは、5〜8月に自殺のピークを迎えることが多い。だが都市部における賃貸物件の居住者となると、少し傾向が違うようだ。

 意外なことに、最近では年金で、それなりに安定した収入を得ているはずの高齢者も、未来を悲嘆して命を絶つ例が少なくないという。そのために賃貸住宅での「事故物件」が増加していく。

 事故物件といえば殺人事件の現場となった例が注目されるが、数からいえば自殺が多いに決まっている。一部には格安家賃を気に入り、事故物件を好んで借りる物好きもいるというが、大半の人は違うだろう。殺人や自殺と聞けば、それこそ部屋に怨念が漂っているようで、気が重くなるのが普通だ。ちなみに病死は事故物件には該当しない。

 大家にとっても、事故物件が発生してしまうと、大きな経済的痛手となる。絶対に避けたいとはいえ、いくら入居要件を厳格化しても、セキュリティを厳重にしても、入居者の自殺だけは防ぎようがない。

 ところが、自殺を原因とする事故物件化に関しては、ある不動産業者によれば「裏技」によって防ぐことができるのだという。
■――――――――――――――――――――
【写真】彩図社公式サイトより『大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました』(菅野久美子著)
https://www.saiz.co.jp/saizhtml/bookisbn.php?i=4-8013-0140-5
■――――――――――――――――――――
 何しろ、この裏技で賃貸物件はおろか、一軒家まで売ってしまうという。都内の腕利き不動産業者は、最近も1軒、この技で物件を売り捌いたそうだ。

「40歳近い息子さんが引きこもりで、何度もリストカットした挙句、最期は風呂場で自殺してしまったんですよ。救急車を呼んだときは、もう事切れていたそうですけど、最終的な死亡確認は病院ということになりましてね。だから事故物件ではないということになって、無事に売買が成立しました」

 本来、不動産取引にあたっては、死亡事故を含めた情報は「重要事項」として、購入希望者に伝えなければならない。だからこそ前入居者が室内で自殺した場合は事故物件となるわけだが、こちらの裏技は「死んだのは部屋ではなく病院なのだから、重要事項にはあたらない」というトリックを使うわけだ。

 とはいえ、借りる側、買う側からすれば、自殺の現場だったことには変わりない。把握すれば絶対に寝覚めの悪い思いをするだろう。

 全国に多くの仲介物件を持つ、大手不動産チェーンの営業担当者もいう。

「自殺は極めて多いんですよ。その大半を事故物件にしていたら、とてもじゃないけど商売にはなりません。だから部屋の中で遺体となって発見されても、とにかく警察より先に救急車を呼びます。明らかに亡くなっていても、絶対に救急車を呼ばせます」

 だが駆けつけた救急隊員が「もう、駄目です」と病院への搬送を断るケースもあるのだという。そんな時、この営業担当者は隊員を怒鳴りつけるのだという。

「『万が一、蘇生できたらどうするんだっ、責任とれんのかっ、おまえらが殺したことになるんだぞっ!』って怒鳴るんです。傍目にも死後硬直が明確な遺体でも、蘇生の可能性を諦めるな、と力説します。とにかく、どやしてでも運ばせちゃえば、こっちのものです。死んだ場所は無事、病院ということになりますからね。こうやって事故物件を限りなく正常物件に見せるのも、腕の見せ所なんです。とにかく、多いんですから、自殺は。若者から年寄りまで、毎日、何件かはありますよ」

 こうした「隠れ事故物件」が、実は限りなく多いのだという。

「まあ、知らぬが花、です。ばれてしまうケースもありますよ。隣近所の噂が、入居者の耳に届いちゃうとかですね。でも死んだのは、あくまでも病院なんですから大丈夫です。機械だって一緒ですよ。途中の加工場が中国でも、最終組立が日本ならメイドインジャパンじゃないですか。死体もそうです。最終の場所が病院なら、ウソはついていません」

 営業担当者によると、遺体に包丁が刺さっていた、などの明らかな事件性がない遺体であれば、「遺体の運び出し」は成功することが多いという。

「やっぱり救急隊員も、自分たちの判断で死んだんだなんて言われたくありませんからね。病院に運びますよ。隠れ事故物件だと言われれば、そうかもしれません。でも、それを言ったら、中古自動車だって似た話はいくらでもあります。走行距離のメーターは色々騒がれましたが、未だにいじっている中古屋も仲介屋も、いくらでもいますよ。馬鹿正直にやっていたら、商売にはならないのが実態です。私たち不動産屋だって、頭を使わないとやっていけません」

 不動産業界では、以前なら若者の自殺が目立っていたが、今は年金を受給している夫婦の〝心中〟も増えているのだという。

「年金受給者は、ある意味ではとりっぱぐれのない堅い客です。うちなんかでも空室にしておくぐらいなら、入れてしまいます。でも最後は何か、未来を悲観して自殺しちゃうんですよね。高齢者の誰もが、最期を看取ってくれる老人ホームに入居するなんて不可能でしょう。そうすると、ウチが持っているような小綺麗な軽量鉄骨のアパートが選ばれるわけですが、やっぱり寂しくなっちゃうんですかね。危なそうな入居者は、プロパンガスの業者さんなんかに見回りも兼ねてもらって、おかしいなと思えばマークしておくんです」

 そして悪い予感が的中してしまえば、「即119番」だという。110番に電話してしまうと、現場保全となり、司法解剖が行われる。確実に事故物件となってしまう。

 結局のところ不動産業界は──ほんの一部だと信じたいが、真実は逆だろう──事故物件を防ぐため、救急車を霊柩車代わりに使っていることになる。救急隊員からすると、たまったものではないだろう。死者の霊が空中から騒動を見たら、同じ感想を持つかもしれない。

 いずれにせよ、こうして世間には隠れ事故物件が静かに、しかし確実に、増加していっているそうだ。特に年末年始は自殺の増える要注意時期にあたる。

 では、防止策はないのだろうか。

「私たち不動産業者からすると、『トラブルがあった物件だと入居後に発覚したら、引っ越し費用も含めて被害額を請求しますよ』と、あらかじめ念を押す客は、正直言って嫌ですね。そういう用心深い客には、隠れ事故物件を勧めることはありません。何しろ裁判沙汰ともなれば、8割から9割の確率で敗訴ですからね。隣近所に聞き込みでもされれば、救急車が来ていたと覚えているものです。『死んだらしいよ』という噂は特に広がりやすいですね。要するに聞き込みも辞さないという客は、アパートのなかでも限りなく新築に近い物件を中心に、きちんとご案内します」

 ニーチェは「人間は誇りをもって生きることができない時は、誇らしげに死ぬべきだ」と説いた。しかし、少なくとも自室で死を選んだ場合、不動産業者によって「死者の誇り」が壊されてしまうことは確かなようだ。

(無料記事・了)

2016年12月15日

【完全無料記事】ヨドバシカメラ「全都庁職員」に「利益供与」

yodobashi2016-12-14-19-12-44

 競合店の店員が「そりゃ反則ですよ!」と悲鳴を上げるのも無理はない。ヨドバシカメラの「東京都庁職員優遇」は〝社外秘〟の裏サービスだ。

 何しろ都庁は職員17万人を誇る超巨大組織。日本のどこを、いや、世界のどこを見渡しても、これほどの巨大〝企業〟は存在しない。そんな「メガ自治体」の購買力となると、想像しただけでも小売業界には涎モノだろう。

 おまけにヨドバシカメラ新宿西口本店には常々、帰宅途中の都庁職員が訪れる。彼らの狙いは「都庁職員優遇」という「都庁プライス」にある。都庁の中堅職員が言う。

「先日、念願の4Kテレビを購入したんですよ。都庁に勤めているということで、店頭価格から更に2割引してくれました。やっぱり助かりますよ。おまけにポイントも溜まりますからね」
■――――――――――――――――――――
【写真】ヨドバシカメラ公式サイトより「ポイント共通化手続きのご案内」より
http://www.yodobashi.com/ec/support/member/pointservice/gold/common/index.html
■――――――――――――――――――――
 これほどの割引は最安値を誇るアマゾンでも、全盛期の城南電気でさえも不可能だろう。ヨドバシカメラが、これほどまでの優遇策を提示するのは、彼らの財布を丸のみするつもりだからだ。店員に話を聞いてみた。

「もともとヨドバシカメラのヨドバシは、都庁が建った淀橋浄水場からきたとも言われています。同じ新宿ということで、ご縁を感じております。また都庁の皆さんは公務員ですし、潜在的な購買力は比較になりません。家電業界はポイント制を導入してから、表向きは店頭価格の値引きを行わないことになっています。なので大きな声では言えませんが、絶対に値引ができないということはないんです。それこそ売場でも、値引を決算できる担当者と、できない担当者がいますから。ただ、都庁の方なら、声をかけて下されば、担当者によっては割引をすることもあります。まあ、どこまでいっても内緒話ですけど」(ヨドバシカメラ西新宿本店の売り場担当者)

 なるほど。さすがにいつも2割引というわけではないらしいが、優遇策の存在についてはあっさりと認めるのだ。

 だが、東京都職員の役得は、これにとどまらない。ポイントカードも、我ら〝平民〟のものと異なるのだ。

 都庁職員は、マルチメディア館1階のサービスカウンターで都庁の職員証を提示し、ゴールドポイントカードを作ってもらう。この時、既にゴールドカードには「都庁様」であることがデータとして記録されるのだ。すると、我々のポイント還元率に比べ、更に2ポイントアップされる。

 10ポイント還元の商品なら12ポイント。1000円なら通常は100円のところを120円、10万円なら1万2000円である。ポイントは金銭にはあたらないかもしれないが、優遇措置には間違いない。都議なら誰でもいいので「立派な利益供与ではないか」と議会で質問して頂きたい。

 だが、むしろヨドバシ側は誇らしげなのだ。

「以前、猪瀬元都知事さんがいらした時も、私が担当したんです。テレビをお買い替えになられるということで、まとめて数台、お買い上げになられました。ええ、デジタルです。もちろん、しっかり対応させて頂きました。いつもテレビなどで拝見していましたけど、お話してみると、それほど怖い方ではなかったので、安心しました」

 高額の買い物になるほど、都庁プライスと、ポイント優遇措置は、17万人の職員の財布には大いなる魅力として映るはずだ。ポイントカードを家族に渡し、使わせることもできる。17万人の職員の家族、果ては親族となると……ヨドバシカメラの高笑いが聞こえるようだ。

 そんな都庁職員の人気商品を、売り子さんに囁いてもらうと、やはり1位は今が旬のデジタルテレビ。2位はパソコン、3位はデジタルカメラということだった。

 最後に蛇足かもしれないが、この優遇策のうち〝裏値引〟だけは、やはり西新宿本店だけのサービスらしい。一方、エクストラポイントのアップは全国どこのヨドバシカメラでもOKなのだ。

(完全無料記事・了)

2016年12月14日

【完全無料記事】「新型インフル」厚労省「無策」で死者100万人説

influenza2016-12-14-11-45-40

 新型インフルエンザ──その恐ろしさは、日本人の誰一人抗体を持たず、既存の治療薬が全く効かないところにある。そのため、ひとたび「パンデミック=感染症の世界的流行」が起これば、政府や自治体は最低でも60万人以上の死者が発生すると想定している。

 ところが、ある担当者は「いやいや、そんな数字では済まないでしょう」と囁く。新型インフルエンザが猛威を振るえば、学校や職場どころか、飲食店や風俗産業がひしめく繁華街さえ、全封鎖で壊滅状態になりかねない。

 東京都の防災担当者が打ち明ける。

「国は死者60万人と広報していますが、数字に根拠は存在しません。我々は100万人を越える想定も行っています」
■――――――――――――――――――――
【写真】厚生労働省のインフルエンザ啓発ポスターより
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/dl/poster25a.pdf
■――――――――――――――――――――
 日本最大の都市である東京都は人口1200万人強。都は新型インフルエンザのパンデミックが起きると、全都民の約30%が感染すると予測している。つまり患者数は370万人を越えてしまうのだ。

「新型だろうが何だろうが、インフルエンザって結局、ただの風邪でしょ?」──こんな疑問を抱く方もおられるだろうか。しかし、侮る勿れ。新型インフルエンザとは、特効薬のない未知のウイルスと定義すべきものなのだ。

 都の担当者は緊張を隠さない。『新型インフルエンザ対策行動計画』なる文書を引っ張り出し、「ここを読んで下さい」と声を強めて指差す。

新型インフルエンザが出現した場合、人類は免疫のない状態で新しいウイルスと直面することになる。都市化の進行、人口密度の増加、国際的な輸送・交通網の発達などにより、過去の流行と比較すると、より急速に世界中に広がり、より多くの患者・重症患者が発生することが予想される

ある学会で発表された報告が、新型インフルエンザ担当の役人を震え上がらせたことがあるという。

 これまでインフルエンザの有力な治療薬とみられていたスイス・ロッシュ社製の「タミフル」に耐性を持つウイルスが横浜市、鳥取県、栃木県、岐阜県などで検出されたのである。

 既存の薬が効かない。つまり「新型インフルエンザ」ではなく「無敵インフルエンザ」と考えるべきものだ。大学病院に勤務する医師が説明する。

「タミフルが効かないウイルス、いわゆる耐性株がなぜ現れたのかについては、まだ原因が分かっていません。ただ、おそらく原因は特定できないでしょう。耐性株の遺伝子を調べ、世界的な疫学データを照らし合わせる必要があります。特定できたとしても、数年はかかります。現場での最大の問題は、とにかく日本で耐性株が確認されたということです。新型の蔓延だけでも恐ろしいのに、耐性株の大流行にも怯えなくてはなりません」

 我々が頼るべき対策の最前線に立つ担当者も、不安を隠さない。

「耐性株が出現するという可能性は、もちろんこれまでにも指摘されてきました。しかし、現実のものになるとは……。対策として、これまで備蓄を進めてきたタミフルに加え、リレンザの確保も進めてきました。とはいえ、新型に効果があるのかは、全く分かりません」(東京都感染症対策課)

 国の備蓄計画では、タミフルとリレンザを合わせて数千万人分、さらに、医療機関等で数百万人分をそれぞれ確保している。東京都は最低でも数百万人分を確保して、パンデミック発生に備えている。だが、これも未知の新型に対するものではなく、あくまでも既存のインフルエンザウイルスに対抗するための対策だ。

 冬を迎えるたび、タミフルは自治体によって特効薬さながらにばらまかれている。信じられないことに全世界における生産量の70%以上は日本国内で使用されているのだ。

 だが、こうした対策こそが、パンデミックを後押ししかねないと、前出の医師は警告する。

「結局、ウイルスとワクチンというのは人類にとっては切っても切れない永遠のいたちごっこなんです。薬が開発されれば、必ずそれに耐性を持った、生き残るウイルスが出現します。だから薬の乱用は怖いんです。もちろん耐性株の出現は日本だけでなく、欧米でも報告されています。しかし日本はとにかく、世界で最も抗インフルエンザ薬の使用量が多い。ウイルスが変化を遂げる確率は高くなり、変化を遂げるスピードも早くなる可能性は否定できません」

 日本を代表する感染症の研究機関である国立感染症研究所も、耐性株の出現について次のように警告する。

「国内耐性株の22株中2株はオセルタミビル(註:タミフルのこと)服用5日後に検体採取されているため、薬剤による選択圧によって出現した可能性も否定できない(中略)耐性ウイルスは、新たに南アフリカやガーナ、チリなどからも報告があり、ここにきて急速な広がりを見せている。オランダからは死亡例も報告されており、専門家からは『耐性ウイルスの監視強化』を求める声が上がっている」

 いよいよ、インフルエンザウイルスが活発化する冬季を迎える。不気味さは増すばかりだが、日本は周囲を海に囲まれた島国という〝防御壁〟が存在した。地続きの国境を持つ欧米とは危機感が比べ物にならない。よくも悪くも、パンデミックの発生に無防備でいられたわけだ。

 しかし、ジェット機が輸送・交通手段として一般化するにつれ、地球のあらゆる場所は24時間以内で到着できるようになった。となれば、日本の海という最大の防衛システムも無力化しつつあると考えるべきだろう。

 国立感染症研究所の調べによれば、これまでに確認されているインフルエンザのパンデミックは、古くは1800年代に遡ることができるという。20世紀に入ってからも、第2次大戦前に1回、大戦後に2回が記録に残る。

 とりわけ凄まじい被害をもたらしたのが、1918年に発生したスペインインフルエンザのパンデミック。WHO(世界保健機関)の推定では、患者数は世界人口の25〜30%におよび、死亡者数は実に4000万人を超えたとみられている。

 日本の内務省(当時)の統計によれば、国内でも約2300万人が感染し、死者数は40万人近くにのぼった。この時、一部の国では「公共の場所で咳やくしゃみをすると罰金刑や投獄を科した。学校など公共施設は閉鎖され、集会も禁止」(国立感染症研究所)などの対応策を講じたのだという。現代の常識からすると「刑事罰」は信じられない措置だが、感染が死に直結する時代だっただけに、やむを得なかったのだろう。

 では東京でパンデミックが発生した場合、都はどのように対応するのだろうか。新型インフルエンザ対応マニュアルを見てみよう。

① 感染症対策課が発生情報を入手
② 健康安全課長が「室内関係者」に参集命令を出す
③ 都庁第一本庁舎21階C会議室に「健康危機管理室」を設置
④ 関係課長らで構成する「福祉保健局新型インフルエンザ対策本部」を設置

 更に「全庁体制の構築が必要と判断した場合」は──

⑤ 危機管理監に「危機管理対策会議」の開催を要請

のだという。

 しかしながら、「室」だとか「本部」だとか、組織整備ばかりに腐心している間にも、感染患者は爆発的に拡大。パンデミックが発生し、最終的には都知事が「流行警戒宣言」を出す。この段階で公共交通機関の運行が制限され、企業活動などにも自粛が要請されるが、時すでに遅し。冒頭で担当者氏が危惧を示したように、100万人の都民が死亡していてもおかしくないのだ。

 さて、耐性や新型ウイルスが日本国内に侵入するのを防ぐためには、当然ながら水際で食い止める必要がある。成田空港の検疫担当者が明かす。

「2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)時には、人体の体温を計るサーモグラフィを導入しました。しかし発症前で平熱なら発見は無理です。それに本来は個別に体温を計らないと、実は意味がないんです。感染症が発生している地域は把握していますから、そこから到着した飛行機を集中的に調べることは可能です。ですが、飛行機を降りて歩く間に他の乗客と混じってしまいます。正直、今の態勢で感染症やウイルスの流入を防げるのかと問われれば、残念ながら答えはノー」

 過去には防疫現場のずさんさを裏付ける事態も発生している。2003年3月、世界一周旅行クルーズに出ていた神戸市在住の男性がSARSの発生地である中国の港を出港後、船内で発熱してしまう。

 寄港したスリランカの港湾都市コロンボでは、日本人男性客にSARSの疑いがあるとして地元新聞が大々的に報道して大騒ぎになった。ところが、この男性は飛行機で関西国際空港に到着すると、検疫さえ受けずにノーチェックで入国していたことが明らかになったのだ。

 ザルのような日本の防疫態勢では、水際ストップは期待薄。これでは南アフリカで発見された未知のウイルスさえ、国内流入も時間の問題だろう。

 一方、厚生労働省の新型インフルエンザ対策室も東京都感染症対策課も「必要な情報はインターネットで閲覧できます」と胸を張る。だが、東京・港区の慈恵医科大学付属病院に勤務するある内科医師は、「ネット」を見ながら天を仰ぐ。

「ネットに発信している情報って、これだけ? これだけなら、現場では全く対処できません。厚労省の方々に逆に伺いたいのですが、新型インフルエンザと、タミフル耐性インフルエンザの違いを、どのように定義しているんでしょうか。うちの病院ではタミフル耐性の症例も経験していません。新型となると、どう対処すべきか分かりません。タミフル耐性のインフルエンザとは別のものなのかどうかさえ、こちらでは判断できないんです」

 いの一番に感染情報を収集すべき、国内防衛の中枢は「ネットを見よ」と、〝磐石の態勢〟を誇り、最前線の医療機関における認識は、あまりにも危機感が欠如している。こんな受身の公衆衛生行政では手遅れになってしまうと、身内である霞が関の中からも不安視する声が漏れる。

「厚労省は医師の技官が多いけれど、慎重姿勢という悪癖がある。昔から後手後手の対策が多いが、死者が出てからでは遅いんだ。『お上から情報を与えます』という姿勢が、どれほど時代遅れになっているのか気づいていない。公衆衛生行政とは、いかに迅速に情報を集め、医療現場に素早く指示を出すかが勝負だ。消費者行政と似たところがあるが、いずれにせよネットへの情報掲載など最低限の措置であって、『ネットを見ろ』なんて時代錯誤もいいところだ」(経済産業省の製造産業局幹部)

 1996年、24時間風呂でレジオネラ属菌が繁殖、死者が発生した時、陣頭指揮を執ったのは「レジオネラ症防止指針」を公表していた厚労省ではなく、経産省だった。新型インフルエンザでも対応マニュアルや情報をサイトに掲載すれば仕事は済んだとする発想は、厚労省の〝伝統〟に根差していることが分かる。

 パンデミック発生だが、「40年周期」なる説が存在する。世界的規模でのパンデミックが確認されたのは1968年の香港インフルエンザが最後。その時は世界中で100万人を超える死者が出た。

 この説に従えば、次回の発生時期は2008年。当時とは人間の移動量とスピードは比べ物にならないほど増加しているにもかかわらず、9年間、不気味な「沈黙」が続いていることになる。

1 2 3 10