「マキとマミ」1巻のネタバレと感想!試し読みはコチラから♪上司が衰退ジャンルのオタ仲間だった話

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登場人物

森山マミ(25歳)は入社三年の会社員。キャリアというほどではないけれど、きちんと仕事をこなして収入を得て、趣味を謳歌しているイマドキのオシャレなオフィスワーカーです。

そんな彼女が、バリキャリの主任(独身34歳、美人)間宮マキにある日突然呼び出されました。仕事上以外の接点が特になかった彼女からのランチのお誘いに『何かミスをしたんだろうか…』と内心ガクブルだったマミは、そのテーブルで、自分の目の前に差し出されたものを見て驚きました。

それは今や衰退ジャンルと言われてしまっている『五年前にシリーズ開発がストップした乙女ゲー”どき☆ジェネ”の最後に行われたイベントの会場限定キーホルダー』という、彼女にとっては超レアアイテムだったのです。

ちなみに乙女ゲーというのは、恋愛シミュレーションゲームのことで、彼女らは年齢やキャリアを飛び越えて同じ作品・ジャンルを愛するオタクどうしだったのです。

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1巻のネタバレ

二人が愛してやまない乙女ゲー『どき☆ジェネ』は5年前にシリーズの開発がストップしてしまった残念なジャンルでした。これは現実にもあることで、人気ジャンルがどんどん新しいゲームやメディアミックスでアニメ化、映画化していくのを尻目に、その衰退を肌で感じて寂しさを噛み締め、同人誌等の萌のはけ口を探して、マミは奮闘していたのです。

二人は、こうして知り合うより、巡り合うより前に既にお互いがTwitterでつながっていたことを知ります。マキは『どき☆ジェネ』に対して日々の萌を書き連ね、その素晴らしい考証で多くのフォロワーをもつネット上の有名人MAKIでした。マミは彼女のファンだったのです。

そしてマミは『職場ではオタクなことを隠していたというのに、”同類”だということがどうしてバレたのか…』と尋ねたところ『平たく言えば、ネットスキルが素晴らしかったから』とマキが答えます。

業務上垣間見えるネットリテラシーの高さ。レスポンスの速さ・巧みさ。参照画像などのサーチ力に感じる経験則。眉ひとつ動かさない軽快なタイピングスキル。…明らかにマミのそれらは一般人のレベルを軽く凌駕しており、マキは『長くネットの海を(萌を探して)泳いできた者には同類の日焼け跡がくっきりと視える』と言うのです。

そう、ネットを駆使して萌を語るオタクたちが日々していることは、無意識に恐ろしいレベルでネットスキルを向上させていく筋トレのようなものだったのでしょう。

こうして『衰退ジャンル』と言われてしまうゲーム『どき☆ジェネ』を愛する者同士が偶然同じオフィスで巡り合い、そして年齢やキャリアを越えた友情をはぐくむようになっていきました。

しかし、二人は同じオフィスで働いていたものの、業務ではそれほど濃密に接触するわけではありません。周囲からの無駄な詮索を避けるために、職場では『オタク』であることを隠し、擬態していたのです。




会話の端々、休日のイベントなどに関するワードや萌えキャラのこと、そして同人誌等々。別に恥ずかしいわけではないけれど、無用の摩擦を避けるために、二人は二人の間で存分に語り合える場所をもとめてオタク女子に優しいカラオケ屋訪れたり、マキの知り合いのカフェをオタク会話の前線基地としてみたり。

そんな日々を楽しみながら、お互いの萌を追求していくのです。同じゲームの中でもそれぞれに好きなキャラクターがいて、どうしてそのキャラが好きになったのか、という考察や、『どき☆ジェネ』以外のオタク歴を語り合ったり。人それぞれに萌があり、しかしマキとマミはお互いの萌を尊重し合い、熱い友情を育んでいくのです。

そんな二人の長いオタク歴の裏側には、ネットの世界の激変もありました。今では普通にTwitterやインスタグラム、LINEといったものでリアルタイムに反応したり、『いいね』がついてその作品に対する反応がどんどん出てくること、またpixivという、誰でもすぐに文章やイラストをアップできる『萌えのはけ口』となる場所が提供されているのですが…10年前、15年前はそうしたシステムはまだ構築されていなかったのです。

その時代、オタクたちが萌えたものをまとめて、感想や二次創作を吐き出すためには、HTMLというプログラムの概念を理解し、自らが個人サイトを開設、運営して行かなければなりませんでした。その当時のオタクのスキルは今よりもある意味高く、勉強しなければそういう活動が出来なかったのです。

マキやマミは思いました。もし今『どき☆ジェネ』が全盛を迎えていたのであれば、Twitterやpixivのタグは数万を超え、トレンド入りしていただろうに…と。

自分のジャンルがそんなネットの波に乗れなかったことが残念だ、とお互いに慰めつつ、しかし、衰退してしまった今でもそのゲームを愛し、そして推しキャラの声優さんを愛し、彼女らは日々萌えているのでした。

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感想

オタク女子の生態をここまでリアルに赤裸々に、しかもクールに分析して描いた本を他に見たことがありません。彼女らは凛々しく働き、清々しいほどに萌を追求していくのです。

そんなマキとマミは職業人としても立派で、仕事をきちんとして、得たお金を惜しみなく萌に投入していきます。『貢げるジャンルがあるのは幸せなこと』として、聖地巡礼をしたり、布教用のゲームソフトを揃えて自分が愛する世界を友達に教えたりしています。

もちろん、周囲の理解を得ることが難しいというオタクなりの悩みはつきませんが、そんな二人がたまたまめぐり合ってしまったことの奇跡はそんなものも吹き飛ばしていくのです。

ともすると周囲から固く見られがちだったマキが、マミのアドバイスでアイコンを変えて同僚と交わる回数が増えたり。未経験だったイベントに参加して新しい世界を広げたり。会社では上司と部下の二人ではありましたが、良いバランスでお互いにないところを補い合っていく様子がとても微笑ましいのです。

まさに『良き友』としての付き合いが始まった二人ですが、そこには萌の沼が広がっており、二人とも恐らく一生抜けられないだろうというオタクの業のようなものも垣間見え、オタク以外の人にとってはとても新鮮な一冊であり、オタクにとっては自分のこれまでの来し方、そしてこれから訪れる未来をのぞき込んでしまう、そんな一冊となっています。

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