【ドニーイェン / アクション集】パート4_Donnie Yen Best Fight Scenes Part Ⅳ 2019



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香港の映画スターには、スケールの大きい煽りがつくことが多い。『男たちの挽歌』などのチョウ・ユンファの場合は「亜州映帝」、『片腕ドラゴン』のジミー・ウォングの場合は「天皇巨星」などがある。そんな香港映画界で今「宇宙最強」と称される俳優がいる。それがドニー・イェンだ。そのアダ名のスケールの通り、彼は間違いなく現存する世界最高のアクション映画人だ。ここ日本では熱烈なファンから「ドニーさん」と呼ばれて親しまれているが、ジャッキー・チェンやブルース・リーに比べると、知名度はまだまだ低い。

 『スターウォーズ』シリーズへの出演が決定し、先日から主演作『カンフー・ジャングル』の日本公開が開始され、マイク・タイソンとの対決シーンで話題の『葉問3』の予告編も公開された。世界的に盛り上がりを見せる現状は、ドニーに入門するには絶好のタイミングだと言えるだろう。そこで、今回はドニーのキャリアをまとめ、その魅力と凄みを総括したい。この記事がドニーの入門窓口となれば幸いである。

 ドニーは1963年に生まれた。武術家の母から歩き出す頃には武術を仕込まれ、その後、中国の専門の学校に進学して武術を学ぶ。とは言え、真面目な優等生だったわけではなく、かなりヤンチャな生徒だったようだ。当時からブルース・リーの熱烈なファンだったドニーは、程なくして『マトリックス』で国際的に知名度を上げたユエン・ウーピンと出会い、映画界に入る。そして『ドラゴン酔太極拳』で主演デビューを飾る。その後、数年のブランクを経るが、再び映画に復帰。脇役でキレのあるアクションを見せながら、順調にキャリアを積み、ジェット・リー主演の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地大乱』で悪役を演じ、リーと演じた変幻自在の格闘シーンが高く評価された。しかし、本格的な大ブレイクは訪れなかった。悪役・脇役は多かったが、主演映画は少なく(傑作TVドラマ『精武門』では主演を務めたが)、いわゆる「知る人ぞ知る」という立ち位置に留まっていたのである。

 そんな現状を打破したかったのか、90年代後半になると、自ら監督し、主演した『ドラゴン危機一発’97』を発表する。「俺の活かし方は俺が一番よく知っているんだ」とばかりに、低予算ながら迫力あるファイトシーンを作り上げ、格闘映画ファンの間で大いに話題になった。勢いに乗って監督主演第2作『ドニー・イェン/COOL』を発表するが、ここでドニーの悪い癖が出てしまう。それこそがドニーの最大の個性である、過剰なほどのナルシズムだ。実際ドニーは二枚目であるし、映画スターともなれば、ナルシズムは大切な才能だ。だが、この映画ではそれが行き過ぎた。全編を通してドニーのPV的な要素が強く、肝心の格闘シーンはほとんどない。銃撃戦メインの映画だったが、予算の限界か、見せ場というには地味すぎた。元々低予算だった上に、制作中のトラブルも重なり、同作の現場はかなり過酷だったという。ドニーの監督主演シリーズは同作で打ち止めとなった。

 しかし、それでもドニーは歩みを止めなかった。ゼロ年代に入ると、ドニーは裏方として活躍を始める。香港映画は勿論、ハリウッド映画やドイツのTVドラマなど、様々な場所でアクション監督を務めた。また、チャン・イーモウ監督の超大作『HERO』ではジェット・リーと格闘シーンを演じ、アクション俳優としての現役感を強くアピールする。

 そして2005年、満を持してドニーは1本の映画に主演する。監督は人間ドラマに定評のあるウィルソン・イップ。脚本は現代香港ノワールの旗手ジョニー・トーとの仕事で知られるセット・カムイェン。共演はジェット・リーの後継者と目される期待の新鋭ウー・ジン、そして香港アクションの大御所サモ・ハン。まさに盤石の布陣で制作されたその映画こそ、『SPL/狼よ、静かに死ね』である。ウー・ジン、サモ・ハンとの総合格闘技をミックスした迫力あるファイト・シーンは大いに話題になり、映画はヒットした。

 そして、久しぶりに主演として現れたドニーは刑事役ながら、胸元がザックリ開いたシャツに、シルバーのアクセサリーという、およそ刑事に見えないファッションで登場し、変わらぬオレ様感を見せつけた。しかし、それは『COOL』の頃のように映画のバランスを崩してしまうものとは違う、あくまで映画全体のバランスの中でキラリと輝く、俳優ドニーの確固たる「個性」としての、より洗練されたナルシズムだった。

 これを皮切りに、ドニーは再び俳優業をメインにしていく。この頃には、アクション俳優としての類稀なる身体能力、俳優としての長い経験で得た演技力、そして裏方で培ったアクション演出の手腕、すべてが高いレベルで整っていた。ここにきて、ようやくドニーは完成されたのである。

 そして2008年、遂に大ブレイクを決定づける映画が発表される。『イップマン/序章』だ。実在した格闘家である葉問の活躍を描いた同作は、興行的・批評的にも大成功を収める。名実ともにドニーは、ジャッキー、ジェットと並ぶ「宇宙最強」のアクションスターになったのである。それは映画と真摯に向き合い続け、なおかつ自分を曲げなかった男の、数十年間に及ぶ長い苦労が報われた瞬間であった。

 ドニー・イェン、御年52歳。たしかに単純な身体能力の面で言えば、『マッハ!』のトニー・ジャー、『ザ・レイド』のイコ・ウワイス、『デッドロック2』のスコット・アドキンスなどにはかなわないだろう。しかし、ドニーにはアクション監督としての経験で得た、確かな技術がある。ドニーはアクションの見せ方を心得ている人物なのだ。常に革新的なアイディアを格闘シーンに持ち込み、見たことがない格闘シーンを作り上げることができる。時代劇、SF、現代劇、コメディ、ノワール、どのジャンルでも対応できるのも強い。恐らく現代最高の格闘シーンを演出できる映画人の一人だ。

 長い苦労を経て培われた確かな実力と、キャリアを通じて一貫する強烈なナルシズム(未だに劇中でよく服を脱ぐことを、ここに付け加えておく)。日本のファンはそれを理解した上で、リスペクトと親しみを込めて「ドニーさん」と呼ぶのである。

 最初にも書いたように、ドニーさんのムーブメントは来年以降、国際的な盛り上がりを見せていくことは必至だ。長い苦労を経て宇宙最強まで成り上がった男、ドニー・イェン。そのサクセス・ストーリーはまだ続いているのである。

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