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私(わたし)の幸せな結婚 あらすじネタバレ 8話
「旦那さまへ贈り物」
清霞 から櫛を与えられた美世は、お礼をしたいと思案しています。
ものを与えられたり尊重された経験がすくない美世にとって、清霞 から贈り物を与えられたことは予想外の喜びでした。絶対にお返しをしたいと思ったのです。
できれば清霞 が喜んでもらえるような品物がいい。清霞 の身の回りの世話をしてきたゆり江なら、彼の好みに詳しいだろうと考えた美世は、ゆり江にどういった品物がいいだろうかと訊ねます。すると意外なことに、美世が手作りした品ならば喜ばれるのではないかという返事が返ってきました。手製なんて粗末な感じがするし、渡してもみすぼらしいものだと見なされはしないかと躊躇する美世。
そんな不安を、ゆり江は否定します。美世のお手製なら何でも清霞 は喜んでくれる、というのがゆり江の意見でした。そして色々な手作り品の作り方がまとめられた参考書を美世に渡してくれるのでした。何を作って送って差し上げようか、美世は真剣に悩みます。吟味した結果、美世は清霞 の髪を結わえるための組みひもを作ろうと決めました。
材料を購入する必要があるため、近々、出かけても構いませんかと清霞 に外出の許可を願う美世。外出は危険ではないか、自分が同行してはいけないのかと清霞 は案じてくれました。外出当日、清霞 はお守りを美世に授けてくれます。自分を心配してくれたことがとても喜ばしく、口元を綻ばせる美世でした。
同時期の辰石家。最近、色々と計画していた物事が上手く行かないことが多いため当主の機嫌がよろしくない日が多く、そのため屋敷内の空気がピリピリしています。邸内にいる幸次は屋敷の雰囲気の悪さに辟易していました。世間的に、幸次は穏やかで滅多に激高したりはしない好青年だと見なされていますが、それは必ずしも正確な評価ではありません。
何事にも平静を保っていられるわけではなく、激情を抱えることもあるのです。目下、彼にとって忌々しいのは、結婚することになっている香耶の存在でした。幸次は斎森家の内部事情をある程度は把握していました。異能を伝える家系の娘でありながら異能を持ち合わせていなかった姉と、異能の才に恵まれていた妹。そのことを香耶は鼻にかけ、美世を使用人同然に扱っていました。
香耶は幸次によって想い人の妹であると同時に、その想い人を苦しめていた唾棄すべき存在だったのです。長い間、幸次は美世を大切に思っていました。しかしその美世を長年、虐待していた張本人である香耶と結婚し、生涯を共にしなければならないのです。そう思うと気が重くなってしまいます。
しかしながら、美世を守ることが肝心なのだとも幸次は信じています。香耶の近くにいれば、美世に誰も害を及ぼさないよう、斎森家を監視し続けることができるのです。そう考えると、香耶と結婚することも悪いことではなく、自分にとって意義があるように思われてきます。すべては美世のため、と自分に言い聞かせながら、幸次は今日も好青年の仮面を被り続けるのでした。
幸次と香耶は連れ立って買い物に向かいました。同時刻、美世はゆり江を連れて、雑貨屋に到着していました。清霞 に合いそうな色合いの紐を見繕うためです。なかなかよい製品が見つからず、迷いますが、そういう時間も清霞 のために悩んでいるのだと考えると、とても尊い時間であるように思われるのでした。
よさそうな紐を見つけた美世に、ゆり江は良い色を見つけることができてよかったですねと自分のことのように喜んでくれました。美世は、これから組みひもを編む工程が待ち遠しくなってきました。決して値段の張る糸ではなく、美世の技術も高いものではありませんから、既製品のように、満足の行く仕上がりになるとは思えません。それでも、受け取った清霞 がどんな反応を見せてくれるだろうかと想像すると、喜んでもらえたらいいなと期待してしまうのです。
塩を買う必要があると言って、ゆり江が美世の近くから離れて行きました。なかなか帰ってこないので、美世は何となく不安になってきました。
待ち続けていると、聞き覚えのある声が響きました。後ろを見ると、香耶がいました。傍らには幸次の姿もあります。
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私(わたし)の幸せな結婚 8話感想
斎森家で送っていたつらい毎日の記憶が次第に薄れ、前向きになりはじめた美世。
自分の贈り物で人を喜ばせることを期待しているのは、気持ちが良い方向に変わりつつあるよい徴候と言えるでしょう。
一方、辰石家の描写では幸次の内面が明らかにされました。
このような恋愛要素のある物語において、「主人公を見守り続けてきた幼馴染」のポジションは大抵の場合、報われることはなく、単なる「いい人」で終わることが大半ですが、本作では、一味違う扱いのようです。
どうやらただの好青年ではなく、内側に激情と鬱屈した心を抱えているらしいと判明した幸次が、次回以降、どのような振る舞いを見せてくれるのか大変気になります。
姉妹が再開した場に居合わせたことで、幸次にも、何か変化が訪れるのかもしれません。
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